川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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402第3節 工業用水道整備事業1 背景 本整備事業の主な内容は、長沢、生田両浄水場における汚泥処理施設の建設と配水本管の布設替え(ヒューム管から鋼管)であった。 汚泥処理施設は、昭和45年(1970)に制定された水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号)の中で浄水施設が「特定施設※」として指定されたことに伴い、排水規制により公害防止対策を充実させるため建設するものであった。 配水本管の布設替え(ヒューム管から鋼管)については、漏水防止等のため、昭和43年(1968)度から配水本管改良事業として着手したが、これに長沢・生田両浄水場における汚泥処理施設の建設工事を加え、「工業用水道整備事業」として整理統合し工事を進めることとした。 本整備事業は、経済界の混乱による物価の高騰や工法の一部変更に伴い、事業費の増額や工事期間延長を行った。※特定施設…浄水能力1万㎥/日以上の浄水場の沈でん、ろ過施設及び脱水能力10㎥/日以上の脱水施設2 工事内容 主な工事の内容は次のとおりである。①排水処理施設湿式造粒脱水式(長沢・生田浄水場)②導水管口径300〜500㎜、延長4,001m ③送水管口径1,200㎜、延長57m   ④2号配水本管口径1,000㎜〜1,350㎜、延長9,309m⑤配水支管口径200〜1,000㎜、延長4,846m 当初、長沢浄水場の汚泥処理施設に脱臭装置はなかったが、試運転時に臭気を発したためこれを設置した。生田浄水場の脱臭装置は、オゾン方式から、より効果的な燃焼脱臭方法に変更した。 第1集水槽〜平間浄水場間に布設する導水管(口径500㎜)のうち、綱島街道を横断する部分について、交通量を勘案して押し込み工法に変更した。 扇町の配水支管(口径800㎜)は、延長500mのうち300mをヒューム管による泥水式セミシールド工法(土被り10m)での施行を計画していた。しかし湧水が多く軟弱地盤であったため、土被りを18mに深くするとともに鋼製セグメントを用い、湧水対策として全面圧気と薬液注入を併用するシールド工法で施行した。 また、1−2号配水本管(口径1,350㎜)は、調圧塔を設けてヒューム管をループ状に布設していたのに対して、鋼管に変更して布設替えすることで平間浄水場から直接送水することが可能となった。布設替えは、1−2号配水本管のうち県道川崎府中線から大師河原の産業道路までの区間だけとなった。第2編工業用水道第3章工業用水道の拡張から維持管理への転換

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