川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
448/810

410⑶ 沈でん方式の検討 超高速凝集沈でん池はほかの沈でん方式と比べ、生成フロックの分離速度が極めて速いため、設備の省スペース化が実現可能である。今回、建設面積が大きく確保できないこと、また、高速凝集沈でん池では低濁度時にも薬品注入が必要であり維持管理費用もかさむことから、経済性にも優れ、建設に必要な用地面積も小さくてすむ超高速凝集沈でん池を採用した。⑷ 沈でん池数の検討 処理水量が連続的に変動した場合に、池の稼働・停止が少なくてすむ池数となる3池とした。(67,000㎥/日×3池)⑸ 薬品注入設備の検討①超高速凝集沈でん方式 超高速凝集沈でん池では、ほかの沈でん方式でも使用するポリ塩化アルミニウム(以下「PAC」という。)のほかに、マイクロサンド(沈降促進材・硅砂)と高分子凝集剤を使用している。これは、PACを注入することで微細なフロックの核を形成するところまでは、高速凝集沈でん池と同じであるが、そこにマイクロサンドと高分子凝集剤を添加し、マイクロサンドにフロックを絡め、緩やかなかくはんにより、径が大きく密度の高い安定したフロックを作成し、沈降を促進させるためである。②マイクロサンド マイクロサンドは、粒径が120µm〜150µmと非常に細かく、シリカ含有量が99%以上と純度の高い特殊なものを使用している。これは、ガラスの原料としても使用されているものであり、オーストラリアのケアンズ近郊から輸入して調達している。また、沈でん処理後、沈降したマイクロサンドは、回転式の汚泥掻寄機で中央のホッパーに集められ、循環ポンプによりサイクロン式のマイクロサンド回収装置に送られ、回収されて再利用される。⑹ 工事施行の経過 超高速凝集沈でん池築造工事は、平成16年(2004)8月に着工し、平成18年(2006)3月に完成した。4 工事期間起工 平成14年(2002)度竣工 平成21年(2009)度5 事業費及び財源 総事業費38億1,805万3,000円をもって完成した。財源は、自己資金の9億9,474万9,000円、国庫補助金3億5,630万4,000円ほか24億6,700万円を起債に求めた。マイクロサンド第2編工業用水道第3章工業用水道の拡張から維持管理への転換

元のページ  ../index.html#448

このブックを見る