川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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454加して行うこととした。4)回収鉄塩を凝集剤として利用する。硫酸添加によって生じた鉄塩溶液は硫酸第二鉄となっているため凝集剤として回収利用し、これにより沈でん処理は更に良好となる。なお、後塩素処理は行わないためマンガントラブルは生じない。6 拡張事業終了後の配水水質 全般的にみて昭和38年(1963)までは各浄水場の単独配水の占める割合が少なく、水質のよくない平間浄水場系が各配水系に混合されていたので濁度、鉄分以外の水質に大きな差はなかった。ところが昭和39年(1964)に第3期拡張工事が完了し、生田系の配水量が増加したが、平間浄水場の新施設建設により配水操作を行ったため、一部の配水系で平間系の混合割合が増加した。平間系は濁度、鉄分以外にも塩素イオン、全硬度、蒸発残留物、導電率等が著しく劣り、各配水系の水質差が大きくなった。昭和40年(1965)には配水水質の均一化を図り再度配水操作を行ったので、各配水系の水質差は少なくなったものの依然として平間系の混合割合が大きい1、2号配水本管の鉄分濃度は幾分高かった。拡張事業終了後の配水水質の比較(昭和40年(1965))1号配水本管2号配水本管3号配水本管平均最高平均最高平均最高濁度7.4126.7122.64.3鉄(ppm)1.13.21.02.30.250.94 昭和49年(1974)、平間浄水場は水質悪化により二ヶ領用水の取水を停止し、上水を補てん水として工業用水への利用を開始した。上水補てん水は、平間浄水場のL型調整池で受水、亜硫酸ナトリウムを注入して残留塩素を除去した後、工業用水として配水した。 また、昭和31年(1956)6月に制定された工業用水法により、川崎市においては昭和32年(1957)に東海道線以東、昭和37年(1962)から東横線以東が揚水規制の指定地域となっていたが、昭和55年(1980)からは、水道事業者に対しても地下水の取水が規制されることとなった。これにより創設当初から取水していた水質のよくない平間さく井は取水を停止することになり、工業用水の水質は大きく改善された。第2節 水質試験の変遷1 水質試験の開始 上水道は創設時から水質試験室があった。しかし創設時の工業用水道においては、浄水処理は簡単な池による貯水を兼ねた自然沈でんの浄水処理であったため、18年間は水質試験を行わずに取水・配水していた。その後、将来において工業用水道水源としての淡水の獲得が窮迫するであろうと予想し、昭和29年(1954)に建設省(現:国土交通省)の補助金を得て「下水処理水の工業用水としての再生利用についての研究」を2か年実施した。その際、補助金の一第2編工業用水道第5章工業用水道における水質の取組

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