川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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462経済産業省は同年3月25日に「福島第一・第二原子力発電所の事故に伴う工業用水の対応について」を通知し、ここで原子力安全委員会が定めたもの及び食品衛生法に基づく指標値を示し、工業用水についてもこれら指標値を超える放射性物質を含む工業用水が受給者に供給される可能性が判明した場合には、その旨を随時情報提供するよう求めた。 これに対して川崎市としては、水道水と同様に工業用水の放射性物質の測定を行うこととした。平成23年(2011)4月から6月まで月1回の頻度で、生田浄水場及び長沢浄水場の工業用水送水の放射性ヨウ素、放射性セシウムについて横須賀市上下水道局所有のNaIシンチレーションスペクトロメータで検査を実施した。同年7月に水道水質課にNaIシンチレーションスペクトロメータが配備された以降は、平成27年(2015)3月まで水道水質課で月1回の頻度で実施した。なお、検査結果は開始当初からすべて不検出であった。第4節 水質目標値1 浄水処理目標値 工業用水道の水質測定は工業用水道事業法第19条に規定され、その測定回数、項目、方法については同法施行令第1条に定められている。しかし上水道と異なり、水質基準については全国的な普遍性のある数値が定められていなかったため、昭和44年(1969)、日本工業用水協会としての統一的な供給標準水質値が設定された。 川崎市では、供給規程に基づく水質基準は制定していないが、昭和29年(1954)に浄水処理の数値目標を次のように設定していた。浄水処理目標値(昭和29年(1954))項目水温濁度pH硬度蒸発残留物塩素イオン鉄シリカ目標値20℃以下10度以下6.5〜7.590ppm以下300ppm以下15ppm以下1ppm以下25ppm以下 上記数値の中で浄水処理によって処理可能な水質項目は濁度、pH、鉄のみで、他は原水水質によって定まるものであり、これを浄水処理で基準以下にすることは、当時の施設や経済的問題により不可能であった。そこで第4期拡張事業の完了を機に、昭和41年(1966)、水源の水質や浄水処理施設を勘案し、しかも工場側の各用途における最大公約数的な数値をもって次の浄水処理目標値を設定した。浄水処理目標値(昭和41年(1966))項目水温濁度pH硬度蒸発残留物塩素イオン鉄目標値25℃以下10度以下5.8〜8.690ppm以下300ppm以下30ppm以下1.0ppm以下 この目標値のうち、特に濁度と鉄は平間浄水場の配水系統でしばしば大きく超えることがあった。しかし、第4期拡張事業により昭和40年(1965)後半から改善され、更に昭和49年第2編工業用水道第5章工業用水道における水質の取組

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