川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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468第3編経営第1章持続可能な経営戦略第1節 上水道1 事業のあらまし 水道事業は、大正10年(1921)に多摩川の表流水を水源として給水を開始して以来、100年が経過した。この間、市域の拡大、人口の急増、産業活動の進展等による水需要の増大に伴い、従来からの多摩川水系に加え、相模川水系を水源とする数次の拡張事業を施行した。更に昭和44年(1969)5月には供給体制の万全を期するため、神奈川県内広域水道企業団の設立に参加し、新たに酒匂川水系からの配分水量を確保した。また、平成11年(1999)度から段階的に企業団相模川水系建設事業に伴う宮ヶ瀬ダムからの受水量を増加し、平成14年(2002)度には多摩川伏流水の取水を停止した。 その後の水需要は、人口が年々順調に増加したものの、家事用では節水機器の普及等に伴い横ばい傾向となる一方、大口使用では産業構造の変化により減少したことから、給水能力と配水量がかい離することとなった。 こうした動向を背景に、平成18年(2006)に「川崎市水道事業の再構築計画」を策定し、給水能力の見直しを主軸とした浄水場の統廃合等の取組を進め、平成24年(2012)3月に潮見台浄水場を廃止し、平成28年(2016)3月には新しい長沢浄水場が完成し、生田浄水場を廃止した。 経営面においては、昭和56年(1981)9月の料金改定以降、社会経済情勢が安定したこと等から順調に推移したが、平成7年(1995)度~10年(1998)度の4か年の財政収支計画において、料金収入等事業収益の伸び悩み、企業団受水費の改定による負担増、建設改良費の増嵩等により、平成10年(1998)度末には多額の累積資金不足額が見込まれる状況となった。そのため、平成7年(1995)度〜10年(1998)度の4か年の財政健全化計画を策定し、平成7年(1995)10月1日から水道料金の改定を実施した。この料金改定の後、より一層の事業経営の効率化を推進するとともに、建設改良事業の見直し等を行った結果、平成10年(1998)度末には累積資金不足額が解消し、財政の健全化を達成することができた。 その後、宮ヶ瀬ダムの本格稼働による受水費の負担増や水需要構造の変化による水道料金収入の減少のため、財政的に厳しい時期があった。その一方で、職員定数・人件費の削減等による経営の効率化、宮ヶ瀬ダム本格稼働後における企業団の建設・拡張投資が一巡したことによる受水費負担の軽減の効果等により、平成21年(2009)度末時点で、約150億円の累積資金残高を計上した。 こうしたことから、将来の施設整備へ資金を充当した上で、事業環境の変化を踏まえた料金体系の見直しや行財政改革の効果の一部を市民へ還元するため、平成22年(2010)4月に減額改定を実施した。 川崎区幸区中原区高津区宮前区多摩区麻生区計面積(㎢)40.25 10.09 14.81 17.10 18.60 20.39 23.11 144.35 総人口(人)※234,327171,487260,313230,680233,347213,397178,5471,522,098使用栓数(栓)129,78586,900141,725118,679106,618118,17182,801784,679※総人口、使用栓数は令和3年(2021)3月31日時点のデータ第3編経営第1章持続可能な経営戦略

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