川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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525第四十一条 消費水量前条ノ定限ヲ超過シタルトキハ其超過水量ニ対シテハ左ノ割合ヲ以テ使用料ヲ計算ス第一種 一石ニ付 金参銭五厘第三種 一石ニ付 金壱銭八厘第二種 一石ニ付 金弐銭第四種 一石ニ付 金五銭⑵ 不景気による料金値下げ 大正14年(1925)9月に、創設水道事業の起債額の一部を無利子で引き受けた明治製糖等5社に対する料金値上げをし、料金種別に新たに船舶給水を加えた。 昭和2年(1927)4月に料金種別に工場で使用するものを新設し、船舶給水料金は1石につき1銭の値下げをして4銭とした。 大正9年(1920)2月の世界大恐慌に大正12年(1923)9月の関東大震災が追い打ちをかけ、またその後昭和2年(1927)の金融恐慌、昭和4年(1929)ニューヨーク株式の大暴落を引き金とした世界恐慌、翌年の米価や生糸価格等の大暴落による農村恐慌等が続き、我が国の経済は深刻な不況に陥った。このような時勢に即応して、昭和6年(1931)4月の改正では、工場5社への料金は据え置きとし、専用栓、共用栓、湯屋営業用、臨時工事用、船舶用の基本料金、超過料金を値下げした。昭和11年(1936)10月の改正では、専用栓のみ基本料金を16%、超過料金を12%値下げした。また、翌年9月の改正では、全般的に超過料金を12%〜16%値下げした。⑶ 「石」から「立方メートル」へ(メートル法の採用) 昭和6年(1931)4月の改正では、値下げと同時に、創設以来、「石」を単位として定められていた料金にメートル法を採用した。これは、度量衡法の改正に伴うものである。ただし、超過料金については、即時1㎥を単位とすることは量的に違いが大きいため、とりあえず0.1㎥を単位とした。例えば、第1種家事用の基本水量は、40石までを44石までとしてメートル法に換算し、8㎥までとした。また、超過料金は1石につき3銭であったが、メートル法に換算し、0.1㎥につき1銭7厘とした。 昭和11年(1936)10月の改正では超過料金の単位を1㎥とし、翌年9月の改正では「石」単位の並記を削除し「立方メートル」だけの表示とした。⑷ インフレによる相次ぐ値上げ(太平洋戦争後) 太平洋戦争後は、戦災による給水人口の激減及び水道施設の破損に伴う漏水によって料金収入は大幅に減少した。また、急激なインフレによる諸物価の暴騰は経費の支出を大幅に増加させるととともに、職員給与ベースの改定を必要とした。これらは水道事業の経営を一層困難にし、水道料金は値上げに次ぐ値上げを余儀なくされた。ただし、水道料金はインフレに対応して物価の安定を確保し、国民生活の安定を図るために、昭和21年(1946)3月に制定された物価統制令によって統制された。戦後直後からの料金改定は、以下のとおりである。 昭和21年(1946)4月の改定では、料金は一挙に戦前の4倍となり、同時に一般専用栓等の基本水量を引き上げた。しかし、この料金も日本経済の混乱の中で維持できず、以後わずか3か年足らずの間に6回の値上げを行った。第1節 上水道

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