川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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526第3編経営第3章料金の変遷とお客さまサービスの拡充 昭和26年(1951)3月の値上げは、朝鮮戦争の勃発に伴う諸物価の高騰によるもので、物価庁の指令に基づくものだった。各種別とも全体的に41%の値上げを行い、メーター使用料も1.5倍に引き上げた。 昭和28年(1953)4月の値上げは、物価上昇に加え、第4期拡張事業の公債利子増加が経営を圧迫したために行われた。平均26.6%の料金値上げとともに、メーター使用料も25%から30%の引き上げを行った。 物価統制令の水道料金に対する指定統制は、昭和27年(1952)12月12日限りで廃止され、各地方自治体で自主的に決定が出来ることになったが、水道事業の公益性と独占性及び法制制度的背景を考慮し、事業運営の適正を期するとともに、事業の健全な発達を図るため、料金決定については引き続き厚生省(現:厚生労働省)が行政指導を行うこととなった。⑸ 建設資金の増大に対応する値上げ(昭和40年(1965)4月改定) 戦後のインフレによる料金値上げには終止符を打ったが、市勢の発展に伴う水道使用量の増加は大きく、第4期拡張事業完了の直後から第5期拡張事業に取り掛かり、この完了を待たずに昭和36年(1961)度から第6期拡張事業(総額83億5,800万円)の施行を開始した。また、昭和38年(1963)度には西部丘陵地区の配水整備事業にも着手したため、建設資金に充当した起債の利子が増大し、翌年に経常損失が生じた。更に、昭和40年(1965)3月には第7期拡張事業(総額237億6,400万円)も始まったことで、当年度純損失の継続的な発生が見込まれたことから、事業経営の健全化のため12年間据え置いた料金を改定し、値上げすることとした。⑹ 用途別料金制の廃止 川崎市の水道料金制度は、創設以来、一貫して用途別料金制度を採用してきたが、これは水道事業の持つ極めて強い生活必需性から、経済上の理論からではなく、営造物使用関係としての 行政的規律を受け、主として負担能力という課税上の原理に基づき、社会的あるいは政治的考慮が払われてきたことが背景にある。 しかし、昭和40年(1965)4月の料金改定で用途別料金制度を廃止した。その理由は、消費者の負担能力や社会的理由から料金に差別を設けることの理論的裏付けが困難であり、恣意性の混入も否定できず再検討が求められていたことにある。また、昭和27年(1952)の地方公営企業法の制定により、料金は独立採算性のもとに公平、公正なものでなければならないことが明確にされたこと等も一つの要因である。ただし、生活用水保護の思想に基づく政策的配慮の必要性を鑑み、改定に当たっては共用栓はもちろん、一般家庭用水の料率改定を最少限度とすることとした。 改定の内容は、第1種から第5種までの用途別を一括して専用栓とし、すべて基本料金を1か月10㎥まで160円とした。超過料金は一律1㎥につき25円とし、公衆浴場の超過料金についてのみ1㎥につき20円とした。また船舶給水料金についても改め、更にメーター使用料は廃止した。⑺ 逓増制料金体系の採用(昭和44年(1969)6月改定)①改定の理由 上昇の一途をたどった水需要は、産業の伸長、人口の増加等による市勢の発展と生活様式の向

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