川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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527上に伴う生活用水の増加とともに更に伸び続けた。このような状況に対処するため、第6期拡張事業に続いて恒久的な配水の安定を期して昭和40年(1965)から第7期拡張事業を行い、また市内水圧の平均化のため昭和38年(1963)から第1次配水整備事業(総額23億円)を施行した。 これらの事業に要する多額の建設資金は起債によって賄われ、元利償還の料金収入に対する割合は、昭和42年(1967)度95.1%、昭和45年(1970)度125.9%と急増し、このような建設投資の継続による企業債元利償還額の増大が水道財政悪化の最大要因となり、昭和42年(1967)度末には20億1,400万円の資金不足額の計上を避けることが出来なくなった。更に翌年度末には、なお20億200万円、昭和48年(1973)度末には119億4,000万円の累積資金不足額が見込まれたが、水需要に対する措置や、配水施設の整備等は、継続していかなければならなかった。 この打開策として、水道事業に対する国庫補助及び起債条件の改善等の国の財政援助措置について、政府その他の機関に対して関係諸団体と強力な運動も展開していたが、多額の累積資金不足額を解消するために料金の値上げに踏み切った。②逓増制料金体系 改定の内容は、増え続ける水需要の抑制と、使用者にかかる負担が最小限になるように配慮し、更に市民生活に直結する業種への影響を考慮して段階制の逓増制料金体系を採用することになった。 専用の場合、1か月基本水量10㎥まではこれまでどおり160円に据え置いた。超過料金は6段階の逓増制をとり、11〜20㎥までは1㎥につき25円、21〜30㎥は1㎥につき35円と、使用水量が多くなるに従って料金が高くなるよう設定し、601㎥以上では1㎥につき49円と11〜20㎥のほぼ倍にした。公衆浴場用については超過料金1㎥当たり25円とこれまでより5円の値上げとしたが、昭和49年(1974)3月31日までは従来どおり20円に据え置いた。共用については、これまでと同じ基本5㎥までが60円、超過1㎥について15円とし、市外用については専用の25%増しとした。また、船舶用については昭和45年(1970)5月から港湾局に移管されるため廃止と決まったが、それまでの間は、前回改定時と同額とした。⑻ 企業団受水に対応(昭和49年(1974)4月改定)①改定の理由 神奈川県内広域水道企業団からの一部通水が、不測の事態で1年延期され、昭和49年(1974)4月からとなった。この一部通水のタイミングで改定となったが、改定の理由は、企業団受水の1㎥当たりの単価が40円であったこと、この受水体制である第8期拡張事業(総額255億円)の施行及び昭和46年(1971)度以来継続施行中の第3次配水整備事業等の建設改良費及び人件費等諸経費の上昇を勘案した結果、昭和51年(1976)度末における累積資金不足額は約111億円に達する見込みであること、更にこの累積資金不足額の解消については、現行料金に対し41.4%の増収を必要とすることであった。②料金体系 一般家庭用を主体とする小口需要については、市民生活に及ぼす影響を考慮し、基本料金と超過料金50㎥までを据え置き、その他の領域については、逓増方式を基調としながら多量消費に対する抑制効果を考慮した。このうち601㎥以上の超過料金区分については、三つの区分を第1節 上水道

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