川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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528第3編経営第3章料金の変遷とお客さまサービスの拡充新しく設けた。共用栓については従来どおりとした。また公衆浴場用の超過料金については、昭和51年(1976)3月31日まで従来どおり20円に据え置いた。全体の改定率は41.4%となった。③水道利用加入金制度の導入 拡張事業、配水整備事業等は、現在の利用者と将来見込まれる新規利用者の需要に対応するための投資であるという考え方から、両者への料金賦課の公平な配分が必要となってくる。拡張事業等に要する巨額な建設投資をすべて料金として回収する場合、現利用者に対しては相対的に不利な料金賦課となり、新規利用者に対しては相対的に有利なものとなるため、不公平が生まれる。このため、水道法第14条供給条件の一つとして昭和49年(1974)4月から「水道利用加入金制度」を導入し、極力新旧利用者間の負担の公平を期すことにした。 この加入金は、工事申込者から徴収し、工事申込者(個人)が引き続き1年以上、川崎市に住所を有し、自ら居住する建築物に、メーター口径25㎜以下の給水装置を設置する場合は徴収しないこととした。⑼ 水需要と料金収入の激減等に対応(昭和51年(1976)4月改定)①改定の理由 昭和49年(1974)4月に平均41.4%の料金改定を行ったが、前年秋の石油ショックに端を発した経済混乱やそれに続くインフレと不況の進行によって、水道事業を取り巻く環境は一段と悪化した。この結果、会社工場等大口需要を中心とする水需要は激減し、料金収入も落ち込んだ。更に人件費や物件費等は高騰を続け、水道財政は大きく圧迫を受けた。これは他都市の水道事業も同様であり、特に受水費の単価改定は、経費の大幅上昇に繋がった。 水道事業財政も一段とひっ迫し、円滑な事業経営は難しくなった。そこで、長期的な予測が困難なこと及び昭和53年(1978)度に見込まれる企業団受水単価の最終決定を勘案して、昭和51年(1976)度からの2か年の新財政計画を策定した。②料金体系 企業団受水による急激な需要者負担の増大を緩和するため、その一部の約25億円を昭和53年(1978)度以降に繰り延べる措置をとった。 その理由として以下のようなことがあげられた。1.現行1㎥につき40円が、昭和51年(1976)度から58円50銭の大幅値上げになること2.受水体制を構築する第8期拡張事業の施行及び昭和51年(1976)度からの第4次配水整備事業、浄水場等整備事業の建設改良費や人件費・物件費等諸経費の上昇を勘案した結果、翌年度末における累積資金不足額は約168億円に達する見込みであること3.この累積資金不足額を全額解消するためには、現行料金に対し100%を超える増収が必要となること 料金体系は、多大な消費の抑制効果をも考慮して、従来どおり逓増方式を基調とした。基本水量10㎥までを160円から300円に引き上げ、超過料金の段階には101〜200㎥を追加し全部で9段階とした。公衆浴場用の超過料金は1㎥25円とし暫定措置をはずした。共用については基本水量5㎥まで110円、超過1㎥につき25円と改定幅を最小限にした。市外用については、この改定から専用と同じ額とした。全体の平均改定率は87.6%となった。

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