川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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529⑽ 続く大幅な減収(昭和53年(1978)5月改定)①改定の理由 昭和51年(1976)4月に財政的危機を打開するために、2か年の財政計画による料金改定を行ったが、石油ショック以来の長期にわたるインフレと不況による水需要の鈍化は料金収入の減収をもたらした。加えて諸経費の高騰が重なったため、前回改定時に策定した財政健全化計画は大きく後退し、翌年度末には約63億円の累積資金不足額が見込まれる状況となった。更に企業団の財政危機を打開するため、昭和52年(1977)8月に各構成団体の給水量の増量が決定し、これらが水道財政に追い打ちをかけ、昭和54年(1979)度末には約143億円の累積資金不足額が見込まれた。そこで水道財政の健全化を図り、給水サービスの万全を期すために水道料金及び水道利用加入金の改定を行うこととした。②料金体系等 水需要の動向及び企業団受水料金の改定等に不確定要素があるため、改定における財政計画の期間は、昭和53年(1978)度からの2か年とした。 また、累積資金不足額約143億円をすべて水道料金で解消することは、需要者に急激な負担を与えることになるので、その一部の約32億5,000万円を繰り延べ、改定率を39.2%とした。同時に水道利用加入金の改定(平均改定率140.5%)を行った。 料金体系については従来の料金体系を踏襲した。基本料金は現行の10㎥までを基本としたが、改定幅は各区分ともほぼ均等のアップ率とし、公衆浴場用は1㎥30円とした。また、共用栓はその使用実態から改定幅を最小限度に抑えた。 水道利用加入金は、口径13〜25mmまでを5万円から12万円に値上げしたのをはじめ、 各段階で改定した。また、水道利用加入金を徴収しない範囲として、従来の市内在住「1年以上」を「3年以上」に改めた。⑾ 受水費の負担増(昭和56年(1981)9月改定)①改定の理由 前回の料金改定では、基本的な考え方として、昭和53年(1978)度から5か年計画により経営の健全化を図ることを前提に、財政計画期間を前期と後期に分けていた。しかしながら、企業団受水料金の改定が1年延期されたことに伴い、後期計画の昭和55年(1980)度予定の料金改定を見送ったことや水需要の低迷に伴う料金収入の減少等で、昭和55年(1980)度末には、約71億円の累積資金不足額が見込まれた。翌年度以降も料金収入の大幅な増加は見込めず、加えて、昭和56年(1981)4月から企業団受水料金の改定(改定率12.37%)に伴う受水費の負担増及び諸経費の増加等で昭和59年(1984)度末には約350億円の累積資金不足額が見込まれた。 このような財政危機を打開し安定給水を図るために、これまでも経営の効率化に努めるとともに、全国の水道事業体と協力し国に対し財政援助の強化を要望してきた。しかし、いずれも限界があり、水道財政の健全化を図り給水サービスの万全を期すために、水道料金並びに水道利用加入金の改定に踏み切ることとした。第1節 上水道

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