川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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544第3編経営第3章料金の変遷とお客さまサービスの拡充35区域のうち25区域を前記の第一環境事業株式会社と、また、10区域を新たに株式会社宅配とそれぞれ契約を締結した。株式会社宅配については、東京都において検針事務を誠実に遂行している実績等から、契約の相手方として指名した。昭和60年(1985)7月1日には、株式会社宅配33区域と第一環境事業株式会社32区域の計65区域を委託し、直営検針員28名分の検針区域を残して、初めての検針委託化計画が完了した。 その後、未収金対策のため料金係への未収担当職員として2営業所(川崎、高津)に8名ずつ計16名を集中配置する等、直営検針の維持を図りながら徐々に検針委託区域を拡大し、最終的には平成4年(1992)2月1日に検針業務を全面委託した。また、料金係の充実として、検針業務のうち、検針終了台帳検算業務、随時精算業務、新開検針台帳調査業務、検満メーター取替伝票処理業務、口座振替勧誘業務を委託した。なお、全市を2分し、委託先を2社とした理由は、市民サービスの向上等の観点から複数委託による相互けん制と競争利益を追求することにあった。⑵ 集金の委託①集金業務の個人委託 従来、地方公営企業法では政令で定めるところにより、料金徴収事務を委託することが出来るとされていた(法第21条)が、水道料金についての政令がなかった。一方、地方自治法では、私人の公金収支を厳重に制限していた(旧法第243条第3項)が、昭和38年(1963)6月の法律第99号の改正で「普通地方公共団体は法律又はこれに基づく政令に特別の定めがある場合を除くほか、公金の徴収若しくは収納又は支出の権限を私人に委任し又は私人をして行わせてはならない。」(同法第243条)とし、公金の委任徴収について、法律またはこれに基づく政令に特別の規定をすれば、いかなる公金も一般的に委託徴収する道が開かれた。 昭和41年(1966)7月には地方公営企業法が改正され、公金の徴収または収納事務を私人に委託することが可能(33条の2)となった。委託集金の効果は、経費の節減、職員の増加の抑制、また、高齢者にも再就職の場を提供でき、実務面においては収納関連事務を簡素化できる等である。 水道局では、昭和43年(1968)6月1日から、料金の集金事務のうち、隔月集金分を私人(個人)との委託契約として実施した。試験的ケースという意味で、中央、中原、高津、稲田営業所にそれぞれ2名ずつ計8名と契約した。その後、集金区域の基準を検針員1名に対し委託集金員1名を原則として逐次範囲を拡大し、昭和45年(1970)10月1日には集金事務の全面委託化を終了した。 この集金業務の個人委託は、口座振替による支払い件数が増加したことから平成4年(1992)4月1日に廃止となった。集金委託者が胸に付けた記章委託集金員

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