川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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559第1節 上水道給水装置は、水道利用者の費用で設置・管理されており、水道メーターを除いたすべてが、水道利用者の財産である。⑴ 給水装置工事の変遷①直営施行 給水装置工事は、創設時から川崎市による直営施行が原則であった。これは水道施設の管理、保護の必要性からである。ただ、給水装置の利用者が自己の材料を使用する場合は、あらかじめ材料の検査を受け、また、自らメーター以下の装置を設置する場合は設計の承認を受け、工事完成後その検査を受けることとして認めていた。②公認業者 戦争直後は、戦災により市の中心部がほとんど焼失したため給水装置も壊滅的な状況であったが、復興が進むにつれて給水工事件数が増加し、直営のみでは到底その需要に応じきれなくなった。この状況を打開するため、昭和22年(1947)1月に水道工事店の公認制度を採用し、23店舗を公認業者として認定した。 川崎市の給水工事の代行者である公認業者は、工事設計、検査(中間・完成)、使用材料、工事費等について、市の厳重な規制のもとに置かれた。 その後、川崎市では業者の育成を図るため、工事の責任施工を義務づけ、毎年1回の業者実態調査、保証金納付制度、公認業者資格審査委員会の設置等、業者の指導を積極的に行った。 この結果、公認業者の技術や経営面が充実してきたため、昭和37年(1962)6月に責任施工や予備材料払下げ禁止等の保護的な規制を廃止し、昭和40年(1965)4月からは、材料の規格を定め現地検査を強化することにより、材料の払下げ制度を全面的に廃止した。③公認業者規程の全面改正 昭和40年代における人口増加や下水道の普及及び生活水準の高度化等により、給水工事件数は増え続けた。この状況下で、昭和46年(1971)10月に公認業者規程を全面的に改正した。公認業者を水道局の代行店的な性格から請負業者として位置づけ、「一般の申し込みを受けて、水道局長の定める給水装置工事の施行方法により給水装置の設計及び施行を請け負う者」と規定し、公認業者の選考も毎年1回行うこととした。このため公認業者数も年々増加し、昭和59年(1984)度には148店舗となり、ほとんどの給水工事を公認業者が施工した。 この規程改正後には、工事申し込み時の「工事見積書」の提出や、公認業者店舗内への「標準工事価格表」の掲示義務づけ等の規制を緩和した。④指定給水装置工事事業者 民間活動に係る規制の改善及び行政事務の合理化を目的とした水道法の一部改正(平成10年(1998)4月1日施行)により、全国一律の指定要件に基づき、水道事業者が給水装置工事事業者を指定する制度が新設され、給水装置工事事業者に対する規制が緩和された。この改正に伴い、川崎市の公認業者は、一定の経過措置を経て「指定給水装置工事事業者」として指定されることとなった。

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