川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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569第1節 上水道⑷ 給水装置情報の電子化 お客さまから申し込まれた給水装置工事に関連する情報は、給水装置工事台帳として簿冊化し、各行政区を所管する三つの事業所において、紙媒体により保管管理していた。 これらの給水装置工事台帳は、給水装置を維持管理するための基礎データであり、永年保存であるため、増え続ける台帳の保管スペースの確保が年を追うごとに難しくなっていた。また、お客さまから提出された申請書等の原本を紙媒体により保管しているため、災害発生時においてお客さまの貴重な情報が消失するリスクが懸念された。 省スペース化及びバックアップ体制の確立とともに、検索性向上に伴う問い合わせ対応の迅速化等、市民サービスの向上を図るため、給水装置工事台帳約70万冊の電子化を行うこととした。なお、この電子化の作業は、業務委託により行うものとして、平成30年(2018)度から業務に着手し、5か年計画として実施している。⑸ 給水装置改良資金貸付制度①貸付制度の目的 給水装置改良資金貸付制度の導入目的は、「市民生活の経済的側面にサービス効果を創出すること」により、布設された水道の改良を奨励するもので、給水装置を改良しようとする市民に対し、その工事に要する資金の一部の貸付を行うため、昭和45年(1970)に条例で制定した。②貸付制度の対象工事 貸付制度の制定趣旨を具体的に限定する必要性から、対象となる給水装置は「住居の用に供する水の供給を受けるためのもの」とした。また貸付対象工事については、①「老朽給水装置を取り替える工事」、②「給水装置の分岐を変更する工事」、③「住居の改善に伴って既存の給水装置を改良する工事」、④「共同で使用する給水装置から専用で使用する給水装置に変更する工事」とし、本制度の目的が給水装置を改良するための資金を貸付けることから、改良工事以外の新設工事と区別をした。③貸付制度の内容 制度導入時の貸付限度額及び償還回数は、それぞれ5万円、20回で、償還方法は元金均等月賦償還とした。貸付限度額の設定に当たっては、水道局からの直接貸付を前提に、限られた原資をより多くの市民に貸付が出来るよう、改良資金に係る一助との性格付けをし、貸付に当たっては、一般家庭の改良工事において5万円以下の工事費の占める割合が全体の85.4%であることから、5万円以下とした経過がある。 その後、工事費の上昇率を加味しながら昭和47年(1972)に貸付額を5万円から8万円、翌年に8万円から15万円に、更に、昭和51年(1976)には25万円、昭和56年(1981)には30万円まで貸付限度額の改正を行った。これに伴い、償還回数も昭和48年(1973)に貸付限度額の引き上げと並行して30か月以内に、更に、昭和56年(1981)に36か月以内と改正し、いずれも毎月の償還に要する出費を出来る限り抑制するための措置とした。 次に、貸付利率については、川崎市の他の貸付制度において、政策的方針として、低利の水準が昭和45年(1970)当時、年3.6%と統一されていたため、これに同調した。

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