川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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570第3編経営第3章料金の変遷とお客さまサービスの拡充④貸付制度の対象者 資金の貸付を受けることが出来る者は、職業を有する者または独立の生計を営んでいる者で、資金の償還能力があると認められる者とし、借受けの申請に当たっては、納税証明書等の提出を求めた。また、貸付金は金銭消費貸借契約という性格上、万が一、債務不履行があった場合でも、給水装置の所有権は市には属さない。そこで、一般通念的に考えられる人的担保として連帯保証人1名を立ててもらうこととした。⑤貸付制度の実績 貸付実績については、昭和45年(1970)度から平成12年度までで1,495件の貸付を行い、昭和49年(1974)度においては188件という年間最多貸付の実績を残した。⑹ 給水装置改良資金融資制度①間接融資の導入に至る経過 昭和45年(1970)に導入した上記の給水装置改良資金貸付制度は、近年における貸付実績の衰退を見るまでもなく、形骸化がうかがわれていた。 議会からも貸付対象範囲の拡大、貸付限度額、貸付利率及び貸付方法等、更には、平成11年(1999)7月から実施した直結給水の範囲拡大にも対応すべく見直しを求められ、水道局としては、より多くの市民の方々が利用できる制度改正を平成13年(2001)度中に実施することとした。  平成11年(1999)7月からの直結給水の範囲拡大とは、増圧給水設備を設置する直結給水方式が3階建てまでと限られていたものが、10階建て程度の建物にまで拡大されたことで、これによりマンション等の受水槽の衛生問題の改善、維持管理費の軽減、受水槽スペースの有効活用が図られることとなった。 受水槽式から直結増圧式給水に切り替える給水装置工事の費用は約450万円、直結増圧式給水への切り替えと同時に全体の給水装置工事を併せて行った場合は、最大約1,600万円と試算される高額なものである。 給水装置改良資金貸付制度は、水道局による直接貸付制度であり、水道局の予算の範囲内で貸付を行うという制約がある。また、その貸付限度額は30万円であり、受水槽式から直結増圧式給水に切り替えるような高額な工事には対応していない。 しかし、以後、受水槽式を直結増圧式給水に改良する工事の需要増が見込まれることや、平成15年(2003)度に鉛に関する水質基準の見直しによる鉛給水管の取り替え工事の需要増も見込まれる状況となった。そこで、水道局の予算による制約の解消を図るために、金融機関を介した間接融資を導入し、工事費相当額を限度として、必要な額を借受人の償還能力の範囲内で貸付けられるよう間接融資制度を導入した。②損失補償契約と債務負担 間接融資制度の導入に当たっては、金融機関と一定の損害を担保することを内容とする損失補償契約を締結する必要がある。これは融資を受けた者が融資の全部または一部が返済不能になって、当該金融機関が損失を被ったときに、水道局が融資を受けた者に代わって、その損失を補償するもので、その内容については「川崎市給水装置改良資金融資に関する契約書」の中

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