川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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587第2節 工業用水道④平成7年(1995)10月の改定 昭和56年(1981)9月に工業用水道料金及び納付金を改定し、4か年(昭和56年(1981)度から59年(1984)度)の財政健全化計画の最終年次には、財政の健全化を達成できた。目標年次経過後においても、効率的な事業運営により経費の節減に努めたこと、社会経済状況が安定的に推移したこと等により現行料金を維持した。 収入面では、料金を責任消費水量制としていることから、水需要の変化による事業財政への影響は最小限に抑えられた。しかし、支出面においては、水道事業への分水負担金、相模貯水池大規模建設改良事業費、川崎縦貫道路関連施設整備費、その他諸経費の増加等により、平成10年(1998)度末に約31億円の累積資金不足額が見込まれるようになった。このため、財政の健全化を図り、事業の適正な運営を期すため、平成7年(1995)10月1日に料金改定(改定率12.2%)を実施した。なお、この改定による財政収支計画期間は、平成7年(1995)度から平成10年(1998)度までの4か年である。併せて、「給水確保臨時措置」を解消し、納付金の水道料金への一本化を図り納付金を廃止するとともに、下水処理水を給水する場合の水道料金を廃止した。⑽ 減量承認制度と減額改定、二部料金制の導入 平成7年(1995)度からの4か年の財政収支計画により、計画期間末である平成10年(1998)度末時点での財政の健全性が維持された。その後、バブル景気崩壊後の景気低迷を受けて企業経営の合理化に伴う会社・工場の撤退や、回収水利用等の水利用の合理化等の影響を受け、契約水量と実使用水量とのかい離が大きい使用者が出現しつつあった。 工業用水道では、責任消費水量制により契約水量に応じて料金を徴収しているため、原則として契約水量の減量を認めていなかったことから、使用者から契約水量の見直しの要望が寄せられた。そこで平成15年(2003)度から、新規契約または増量契約による増量があった場合に、工業用水道事業財政の健全性の確保を前提として、当該新規・増量水量分の契約水量の減量を承認する減量承認制度を開始した。 一方、職員定数や人件費の削減等による経営の効率化、今後の施設更新に備えた建設改良費の抑制等により、平成21年(2009)度末時点で、約56億円の累積資金残額を計上した。 こうしたことから、事業環境の変化を踏まえた料金体系の見直しと平成22年(2010)度における給水能力の見直しにより使用者負担を軽減するため、平成22年(2010)4月に料金改定(改定率△10.7%)を実施した。また、責任消費水量制は踏襲しつつも、使用者負担と上下水道局の収入確保のあり方を考慮し基本料金と使用料金による二部料金制を導入した。

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