川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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598第3編経営第3章料金の変遷とお客さまサービスの拡充水資源の新規開発ないし高度利用に関する水配分についての覚書覚  書 県下市町村を包括する広域の地方公共団体の長としての神奈川県知事内山岩太郎(以下「甲」という。)と川崎市長金刺不二太郎(以下「乙」という。)は、県内水資源の新規開発ないし高度利用に関する水配分につき開発水量日量286万1,000立方メートルを前提として次のとおり意見の一致をみたので覚書を締結した。第1条 昭和50年における乙の配分水量は次のとおりとする。1 上  水  道 日量 25万6,200立方メートル2 工業用水道 日量 27万6,300立方メートル    計   日量 53万2,500立方メートル第2条 将来において、給水事情が悪化し緊急事態が発生した場合における各水道事業者間の水の一時的融通交渉について、甲は側面から協力するものとする。第3条 東京分水の返還については、甲、乙共同して鋭意努力するものとする。第4条 川崎市中の島地先における二ヶ領用水の工業用水道水源の取水確保については、甲は、乙からの協力依頼に応ずるものとする。 この覚書の成立を証するため、本書2通を作り甲、乙記名押印して各自その1通を所持する。 昭和41年12月27日甲 神奈川県知事 内山 岩 太 郎乙 川  崎  市  長 金刺 不二太郎 しかし、相模川高度利用事業による寒川取水堰からの遠距離導水は用水コストに影響を及ぼすため、川崎市は同事業への参加を辞退し、酒匂川総合開発事業から水量配分を受けることとした。この酒匂川総合開発事業は、水道用水の広域的利用を図ることを目的に、神奈川県内広域水道企業団による水道用水供給事業とされたため、工業用水としての受水は不可能となった。⑵ 川崎市工業用水道利用者協議会からの増量陳情 昭和41年(1966)度に、川崎市は工業用水道の需要について会社側の実態調査をしたところ、1日13万1,620㎥(昭和42年(1967)度〜昭和52年(1977)度)の増量希望が提出された。川崎市工業用水道利用者協議会は、これに基づいて川崎市長あてに工業用水道の増枠陳情を行った。この後、昭和43年(1968)1月に再度増量希望のアンケート調査をしたところ、1日22万1,610㎥と増量希望に拍車がかかった。そして同年3月26日には、神奈川県知事あてに水源開発事業の促進並びに川崎市に対する工業用水道割当の増加陳情が重ねて行われた。この陳情の中で、「川崎市の工業用水供給可能量が現状のまま推移すると、京浜工業地帯の産業活動に重大な支障をきたすことが憂慮される」と訴えている。

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