川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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606第3編経営第4章健全な財政基盤の確保他の諸設備の建設改良費及び企業債償還等は自己資金を充てた。なお、第4期拡張事業を昭和31年(1956)度に完成させたが、翌年には第5期拡張事業に、昭和36年(1961)度には第6期拡張事業にと相次いで着手したため、企業債償還金が翌年度から急速に増加し、利益剰余金の減少と相まって昭和38年(1963)度からの2年間は建設改良費の減額を余儀なくされた。 6 景気悪化や渇水による収入減 昭和40年(1965)度において水道料金の改定を実施し、当年度経常利益2億331万4,908円を計上したが、翌年度には一転して経常損失が1億3,315万8,681円となった。 更に昭和43年(1968)度には、経済不況や異常渇水等の影響もあって所定の料金収入が減収となったことが響き、経常損失は13億3,683万1,834円まで膨れ上がった。昭和43年(1968)度の収益的収支面では、事業収益が34億9,742万7,857円、事業費用が48億3,425万9,691円となり、遊休資産14億3,962万3,014円の処分を行ったが、当年度未処理欠損金10億3,707万5,158円を計上せざるを得なくなった。なお、同年度から鷺沼プール開場に伴うプール事業収益2,968万4,550円が新しく加わった。また資本的収支面では、相次ぐ拡張事業により企業債償還金は、昭和40年(1965)度に比べ3年間で約1.9倍の10億3,472万1,820円となった。 元利償還金の増大もあって昭和44年(1969)6月には、水道料金の改定を実施したため損益収支面における経常利益は、昭和46年(1971)度まで計上されたが、昭和47年(1972)度から50年(1975)度まで経常損失を出した。拡張事業に伴う起債により、支払利息及び企業債取扱諸費は毎年増加し、昭和48年(1973)度には26億404万9,401円となった。 一方、昭和44年(1969)度から48年(1973)度の間、利子補給として一般会計から、毎年度約1億円の補助金を受けた。昭和44年(1969)度から47年(1972)度までの純利益については、潮見台浄水場用地の企業団への譲渡等による期間外収入を含めて、年度末の未処理欠損金や資本的収支における財源不足額の補填に充当された。なお昭和48年(1973)度からは、企業団受水費6億8,445万7,375円が新しく計上された。 資本的収支をみると、昭和44年(1969)度の財源不足額は16億3,575万565円、昭和48年(1973)度には11億7,707万7,594円と多額になっており、これについては一時借入金で措置した。財源不足の大きな原因は、第6期、第7期拡張事業等、建設投資の継続による企業債償還金が急増していることにあり、この状況が続けば水道財政は限界に達する様相を呈していた。7 企業団受水に対応した料金改定 企業団受水に対応するため昭和49年(1974)度に料金改定を行い、給水収益は69億6,668万3,403円、前年度比23%増となった。その後、受水費の増加や経済不況に伴う給水需要の落ち込みによる給水収益の低迷に対処するため、昭和51年(1976)度、53年(1978)度と料金改定を相次いで行い、昭和55年(1980)度の給水収益は、138億8,003万8,495円と昭和49年(1974)度の約2倍となった。この間、受水費も昭和49年(1974)度に31億8,547万6,180円だったが、単価改正もあり昭和55年(1980)度には約3倍の97億8,281万4,550円と大幅に増加した。 営業外収益では、昭和49年(1974)度に水道利用加入金を新設し、初めて5億9,410万円を

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