川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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608第3編経営第4章健全な財政基盤の確保9 資産の増加と資本の充実 水道事業では、給水需要の増加に合わせてダムや浄水場が建設・拡張され、給・配水管路も網の目のように布設されていった。これらすべての施設が固定資産となり、この増加は水道事業等の公共事業体に多くみられる特徴である。 川崎市においても昭和55年(1981)度末に終了した第8期拡張事業まで、伸び続ける水需要に対応するために多額の建設投資を行った。第2導水ずい道、潮見台浄水場、鷺沼配水池の新設あるいは配水塔の増設及び4号・5号・6号配水本管の布設等による管網の整備等を行い、昭和40年代から昭和50年代にかけて固定資産の著しい増加がみられた。 短期間に多額の資金を必要とする建設投資を自己資金で賄うことは困難であり、企業債の発行によって資金を調達した。このため昭和40年(1965)度に約186億円の企業債残高が、昭和55年(1980)度には約539億円と3倍近くの増加となった。 一方、自己資本金については、昭和47年(1972)度から54年(1979)度までは不定期に、昭和57年(1982)度からは毎年増加したが、これは料金改定等で生じた利益剰余金を企業債の元金償還の財源に充てることにより、相当額を自己資本金に組み入れたことが理由で、事業財政の健全化の表われであった。このことは、水道事業経営分析による自己資本(自己資本+剰余金)構成比率(%)をみると、昭和55年(1980)度20.39%、56年(1981)度20.95%、57年(1982)度26.77%、58年(1983)度31.66%、59年(1984)度36.52%と健全化へ向けわずかずつであるが、確実に好転したことでも示された。10 バブル崩壊による不況と建設改良費の増加 1990年代は、バブル崩壊後の不況が続き、その影響で水道料金収入が減収となった。業種別でみると特に生産加工での使用量は、平成2年(1990)度1,813万8,354㎥(48億9,299万6,526円)であったが、平成6年(1994)度では1,409万2,989㎥(38億4,525万2,199円)で大幅な落ち込みとなった。給水収益の対前年度実績との比較をみると、平成3年(1991)度は1億346万5,290円、平成5年(1993)度は9,974万4,814円、平成6年(1994)度は1億5,184万7,666円の減収となり、経済不況で、水道財政にも大きな影響をもたらした。 バブル崩壊後の水道料金収入が落ち込む中、平成5年(1993)度以降の新たな建設改良費として、第1導水ずい道改良事業、川崎縦貫道路関連施設整備事業、相模貯水池大規模建設改良事業が実施されたこと等により、平成3年(1991)度末における累積資金残額87億3,054万6,601円は、平成6年(1994)度末には15億4,492万4,640円の累積資金不足額となり、厳しい財政状況となった。11 財政健全化を図るため14年ぶりの料金改定 経営面においては、昭和56年(1981)9月の料金改定以降、社会経済情勢が安定的に推移したこと等から順調に推移してきたが、平成3年(1991)度以降、料金収入減により事業収益の伸び悩み、企業団受水費の改定による負担増、建設改良費の増加等により、平成10年(1998)度末には多額の累積資金不足額が見込まれる状況になったことから、平成7年(1995)度から

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