川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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60910年(1998)度の4か年の財政健全化計画を策定し、平成7年(1995)10月1日から水道料金の改定(改定率25.0%)を実施した。その後、事業経営の効率化を推進するとともに、建設改良事業の先送り等を行った結果、平成10年(1998)度末には累積資金不足額を解消し、財政の健全化が達成できた。12 更なる経営の効率化 更なる経営の効率化を目指して、平成12年(2000)度以降、組織の統廃合を含む効率的な執行体制の見直しにより職員数の削減を行った。決算人員については、平成12年(2000)度と平成21年(2009)度を比較して291人の削減(削減率30.0%)を行った。給与制度については、行財政改革に基づき、退職時特別昇給の見直しをはじめとし、各種手当の見直し等を順次行った。これらの取組によって人件費は、前記同年度と比較して年間約36億円の削減となった。また、宮ヶ瀬ダム本格稼働後における企業団の建設・拡張投資が一巡したことによる受水費負担の軽減の効果等により、平成21年(2009)度末時点で、約150億円の累積資金残額を計上した。  こうしたことから、安全安定給水のための施設整備へ資金を充当した上で、事業環境の変化を踏まえた将来の目指すべき料金制度に向けた料金体系の見直しとこれまでの行財政改革の効果の一部を料金負担の軽減として市民へ還元するため、平成22年(2010)4月に−2.7%の減額改定を行った。また、同月から平成27年(2016)度末までの特例措置で、月額50円の減額措置も行った。 平成22年(2010)度以降も行財政改革等による経費節減の効果が表れ、収益的収支については平成23年(2011)度から平成28年(2016)度まで、約7億円から13億円の純利益を計上した。ただし、平成26年(2014)度は後述する新地方公営企業会計基準の適用により、41億3,132万6,541円の純損失を計上した。 平成18年(2006)度から28年(2016)度までは、給水能力と配水量のかい離を是正するため、浄水場の統廃合による基幹施設の再構築を段階的に行い、その関係で平成29年(2017)度は浄水場等の大規模施設の除却が生じたこと等から11億 9,477万4,283円の純損失を計上した。 平成30年(2019)度及び令和元年(2020)度においても、収益的収支については水道料金収入等が横ばいとなる中、事業運営の効率化等により、各年度それぞれ29億 6,745万2,462円、32億3,016万8,161円と安定した純利益を計上した。13 新地方公営企業会計基準の適用 公営企業を取り巻く環境は、事業・サービスの拡充が求められた時代と比べて、人口減少社会、インフラの強靱化・更新・縮小へと転換する中で、経営判断に必要な損益の認識、資産や負債の把握等を正確に行う必要が強くなってきた。また、企業会計基準は見直しが進展し、事業の財政状態及び経営成績をより適切に表示できるものとなり、民間企業との比較分析を容易にするためにも企業会計制度との整合を図ることが必要とされた。 見直しに当たっては、現行の企業会計原則の考え方を最大限取り入れ、かつ、負担区分原則に基づく一般会計等負担や国庫補助金等の公的負担の状況を明らかにする必要がある地方公営第1節 上水道

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