川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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612第3編経営第4章健全な財政基盤の確保円だったものが、昭和48年(1973)度には17億6,295万1,319円と膨れ上がった。昭和44年(1969)度における資本的収入不足額5億149万1,858円については、損益勘定留保資金等で補填した。次年度以降も同じく収入不足額が生じ、昭和48年(1973)度には7億3,951万2,324円を計上し収入不足額の一部を一時借入金で措置した。6 納付金制度の設定と経済不況下の経費増 既存水源の一部が原水の汚濁や地下水位の低下で枯渇したため、上水道から補填水として日量9万6,000㎥の分水を受けることとし、昭和49年(1974)9月1日から水道料金の改定とともに新しく納付金制度を設けた。しかし、経済不況下における諸経費の増加により、同年度における純損失は2億3,733万4,318円で、前年度からの繰越欠損金を合わせた累積欠損金は、3億2,312万6,343円となり、これは翌年度へ繰り越した。昭和50年(1975)度においても、金融費等諸経費の増加は財政を圧迫し、同年度の純損失は3億9,296万6,784円、累積欠損金は7億1,609万3,127円となった。 一方、資本的収入不足額は、昭和49年(1974)度が8億495万8,329円、翌年度は6億1,645万8,602円を計上した。これには損益勘定留保資金を充て、なお不足する額は一時借入金で措置した。7 分水負担金の増額 枯渇水源確保のための分水負担金の増額等、諸経費の増加による財政の圧迫に対するため、昭和51年(1976)4月に料金改定をした結果、同年度における純利益10億4,102万651円を計上した。これにより前年度からの繰越欠損金は解消され、当年度未処分利益剰余金は3億2,492万7,524円となった。昭和53年(1978)度以降においても、企業団受水費の大幅増額に伴う分水負担金の増額によって財政悪化が予測されることから、同年5月に納付金の改定を行った結果、純利益は昭和54年(1979)度まで計上された。しかし、昭和55年(1980)度にいたっては、契約水量の減少もあり、逆に純損失2億8,139万989円を計上したが、この額は繰越利益剰余金によって吸収された。 資本的収入では、建設企業債、借換企業債が昭和44年(1969)度から53年(1978)度まで続いて計上された。これは資本的支出の工業用水道整備事業、浄水場等整備事業や企業債償還金に充てられた。 昭和54年(1979)度、55年(1980)度は、建設企業債を発行せず自己資金のみで浄水場等整備事業や企業債の償還を行ったが、昭和55年(1980)度から財政が悪化し、昭和56年(1981)度において工業用水道事業会計は純損失が生じることが見込まれた。8 料金改定により健全財政を維持 前述のような理由によって昭和56年(1981)9月から料金改定を実施した結果、昭和57年(1982)度に純利益3億9,354万5,130円、58年(1983)度に3億9,085万3,371円、59年(1984)度に1億6,403万5,602円を計上した。

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