川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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613 資本的支出では、浄水場等整備事業に加え昭和56年(1981)度から浄水施設等整備事業が新たに加わり、資本的収入不足額は、同年度で8億3,667万1,608円、その後も同様に不足額を計上したが、いずれも損益勘定留保資金等で補填した。そして昭和59年(1984)度末における財源残高は、12億1,466万4,322円となり、昭和56年(1981)度から引き続いて健全財政を維持することが出来た。 昭和60年(1985)度以降の財政状況は、昭和60年(1985)度に1億731万6,852円の単年度資金不足額であったが、建設改良費の減により翌年度以降は単年度資金残額の計上となった。昭和61年(1986)度は3億4,741万9,472円、62年(1987)度は4億1,810万478円、63年(1988)度は6億1,561万285円の単年度資金残額を計上し、平成元年(1989)度以降も順調に推移した。このため、平成4年(1992)度末における累積資金残額は35億4,120万447円となり、健全財政を維持することが出来た。9 資産の増加と資本の充実 第4期拡張事業によって施設能力の拡大は一応終了したが、引き続いて配水本管改良事業、工業用水道整備事業、浄水場等整備事業等により、老朽化した浄水場の諸施設の増補改良、配水本管の鋼管への布設替等を行ったことにより、昭和44年(1969)度から52年(1977)度頃まで固定資産は増加していった。 これら設備投資の資金は主として企業債であるが、企業債を発行しなかった年もあり、昭和40年(1965)度に約65億円の企業債残高が、昭和59年(1984)度には約55億円に減少している。 また、経営分析による自己資本構成比率(%)をみると、国庫補助が多いこともあって昭和55年(1980)度49.34%、56年(1981)度49.88%、57年(1982)度52.11%、58年(1983)度52.93%、59年(1984)度56.03%となっており、健全な経営状態が続いた。10 バブル崩壊による不況と建設改良費の増加 1990年代はバブル崩壊後の不況が続いたが、料金を責任消費水量制としていることから、水需要の低迷による事業財政への影響を最小限に抑えられたこと、効率的な事業運営により経費の節減に努めたこと等により、健全財政を維持することが出来た。しかし、契約工場の減少による年間契約水量の落ち込み、平成5年(1993)度以降企業団受水料金の改定により水道事業への分水負担金が増加したこと、建設改良費で新たに、川崎縦貫道路関連施設整備事業、相模貯水池大規模建設改良事業が実施されたこと等により、平成5年(1993)度では8億7,324万5,243円の単年度資金不足額、更に翌年度においても4億6,438万3,687円の単年度資金不足額が生じ、その後の事業運営に影響を及ぼすこととなった。11 新たな財政健全化計画の策定 昭和56年(1981)9月の料金改定以降、財政状況は比較的安定していたが、建設改良費の増加、水道事業への分水負担金、その他諸費用が増加したことにより、平成10年(1998)度末には多額の累積資金不足が見込まれる状況になった。このため、平成7年(1995)度から10第2節 工業用水道

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