川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
680/810

642第3編経営第6章社会貢献活動第2節 国内貢献1 首都圏水道事業体支援プラットフォームの取組⑴ 事業の設立 全国の水道事業体は、水道施設の老朽化・耐震化に伴う更新費用の増大や、人口減少に伴う料金収入の減少、更には技術継承の難しさといった、様々な課題への対応を迫られている。こうした状況を踏まえて、厚生労働省は、水道の基盤強化を図ること等を目的に、第196回通常国会に水道法改正案を提出し、第197回通常国会において可決成立した(平成30年(2018)12月12日公布)。 一方で、東京都水道局は多摩地区水道事業の都営一元化、横浜市水道局はPFIによる浄水場の再整備、川崎市上下水道局は将来の水需要に合わせてダウンサイジングも盛り込んだ浄水場の統廃合と再編等、水道の基盤強化に資する取組をそれぞれ実施してきた。このような背景から、東京都・横浜市・川崎市は、首都圏の水道事業体を対象に、水道事業の基盤強化に資する支援を連携して実施していくため、平成29年(2017)2月に「国内水道事業体に対する支援事業に関する覚書」を締結し「首都圏水道事業体支援プラットフォーム」(以下「プラットフォーム」という)を設立した。また、令和元年(2019)11月に神奈川県企業庁が新たにプラットフォームに加わり、支援事業体は4事業体となっている。⑵ 事業の概要 首都圏の水道事業体からの要請に基づき、支援事業体の特性や得意分野に応じて、より効果的な支援が実施できるよう役割分担を行っている。川崎市では、浄水場の統廃合を主軸としたダウンサイジングを行うことで、将来の水需要を踏まえた適正規模での更新を図るとともに、施設の耐震化を実現した。このノウハウを活かし、浄水場の再構築に関する実施計画・各種基本設計・詳細設計等の資料提供や研修等を実施することとしている。⑶ これまでの実績 平成29年(2017)11月の事業開始からこれまでに、プラットフォーム(東京都・横浜市・川崎市・神奈川県企業庁)において、研修や実地訓練、資料提供等、様々な形式で、20件以上の支援を実施した。  支援実施後のアンケートでは、「今まで他事業体の技術者の方と接する機会に恵まれなかったため、非常に有意義な時間となった」、「現在、浄水場の再整備を検討しているが、先進的にダウンサイジングを含めた浄水場の再整備を行った事例に基づき、具体的な支援をいただくことができた。今後の再整備を事業実施していくに当たり、大変参考となった」、「支援事業体の先進的な取組について知ることができ、研修へ参加した各事業体の意識に変化があった」等の感想が寄せられている。 本事業は、中小規模事業体の基盤強化に資する取組として、改正水道法の趣旨にも合致すると高い評価をいただき令和元年(2019)度、日本水道協会の水道イノベーション賞の大賞を受賞した。 今後は、本事業の認知度を更に向上させていくために、引き続きPRに取り組んでいくとと

元のページ  ../index.html#680

このブックを見る