川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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654第3編経営第8章施設の有効利用に向けた取組第1節 鷺沼配水池上部の有効利用1 背景 水道第6期拡張事業の一環として、昭和40年(1965)6月に着工した鷺沼配水池の築造工事と並行して、配水池上部に庭園式のプールを建設し、昭和43年(1968)に「鷺沼プール」として開設した。これは、配水池建設のための用地取得に当たり、区画整理組合から環境、景観の点を考慮した施設づくりによる地域貢献を求められたことを受け、配水池上部の有効活用を検討し、実現したものである。 プール本体は軽量化と地下配水池への漏水を防ぐため、鋼板製構造とし、プールの周囲には、緑の芝生と植木を配して施設全体を庭園風にまとめ、総敷地面積4万㎡の中に、幼児用から大人用まで5面のプールを有し、総水面積5,070㎡、収容能力8,000人の施設とした。東急田園都市線鷺沼駅から徒歩3分という交通至便のところに立地していたこと等から、最盛期の昭和59年(1984)には49万人以上の来場者を集めた。 この鷺沼プールは、利用者からプール使用料を徴収する水道局のプール事業として運営を開始した。プール使用料は当初、時間制とし2時間まで、大人200円、小人100円とした。その後、度々プール使用料の改定を行い、平成8年(1996)度には、附帯事業としてのプール事業の採算性の確保と事務の効率化を目的として、それまでの時間制から1日制に変更し、大人1,000円、小人400円とした。鷺沼プールにぎわう鷺沼プール しかし、時代とともにプール使用料のみによる初期投資回収が困難となり、また、レジャーの多様化等による入場者数の減少、施設の老朽化に伴う修繕費の増加等を理由として、プール事業の赤字が水道事業財政を圧迫した。 プール事業の効率化及び経費削減を図るため、平成8年(1996)度のプール使用料の改定に際し、水道局と財団法人川崎市水道サービス公社の共同体制でプール運営に当たった。しかし、使用料改定後、天候等の影響もあり大幅に入場者数が減少し、経営を改善することができなかった。平成12年(2000)6月15日には、「水道事業経営問題協議会」に対して「水道事業の附帯事業としてのプール事業のあり方について」を諮問した。これに対して、5年後を目途にプール事業を廃止すること、地元にも親しめる施設への転換を図ること等の答申を受けた。

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