川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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667第2節 川崎市水道事業の中長期展望 (平成18年(2006)3月改訂)1 背景 水道事業の最大の課題である給水能力と配水量のかい離は拡がる傾向となり、平成13年(2001)4月に中長期展望を策定した翌年の包括外部監査においても、過大な給水能力が給水原価を引き上げる特殊要因として分析された。 また、平成16年(2004)6月には厚生労働省が「水道ビジョン」を策定し、水道事業の現状と将来の見通しを踏まえた今後の重点的な課題と具体的な施策等が示された。翌年1月には「水道事業ガイドライン」が日本水道協会規格として制定され、業務指標の活用による事業評価や事業計画における目標管理、経営情報公開等のツールが整備された。 これらを踏まえ、水道事業の課題の解消に向け新しい視点に立った取組を推進・強化するため、平成18年(2006)度から平成21年(2009)度を中期的な計画期間として設定するとともに、その先を見据えた水道事業の方向性についても示すこととして、中長期展望の改訂を行った。2 概要 お客さまへのサービスを実現するため、「お客さまとの対話を大切にした飲み水づくり」を基本理念として、施策体系における目標に「安定給水の確保と安全性の向上」、「環境への貢献」、「経営基盤の確立」を掲げた。目標の確実な達成を実現するため、その方向性と具体的な施策の位置づけを明らかにし、この施策体系に基づき今後の事業運営を行うこととした。 施策の推進に当たっては、今後の事業目標を明確にするとともに、施策の進行管理を定量的に行うため、「水道事業ガイドライン」に基づき、業務指標をそれぞれ明示した。 具体的な取組としては、中長期展望の策定から数年が経過し、水道事業を取り巻く環境も大きく変化するとともに、川崎市においても長期水需要予測の結果が出たことから、もっとも大きな課題となっていた給水能力の見直しによる事業規模の適正化に向けた取組を進めることとして、水需要予測に基づいた給水能力の見直しを行うことにより、浄水場の廃止を含めた浄水機能の効率化を図るとともに、適正な事業規模を踏まえた施設更新や組織機構・事務執行体制の再編など、事業経営の効率化を最大限に図り、使用者負担の軽減に向けた取組を進めることとした。また、中長期展望を具体化するための実施計画として、再構築による水道事業の将来のあり方を具体的に示す「水道事業再構築計画」を策定することとした。3 川崎市水道事業の再構築計画(平成18年(2006)8月策定) 中長期展望では、将来の的確な需要予測に基づき、安全安定給水を確保した上で適正な規模に見直すことを重要な課題として掲げた。 この給水能力の見直しを主軸とした事業再構築は、将来の計画水量を縮小するとともに、水源や施設形態のあり方等について、地域特性や環境への配慮、経済性、効率性等を踏まえた上で適正な規模に見直し、より効率的・効果的な執行体制への再編を図り、健全な経営基盤の確立を目第2節 川崎市水道事業の中長期展望(平成18年(2006)3月改訂)

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