川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
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47第4節第3期拡張事業度が限度で、それ以上の取水は不可能という状態であった。そこで、本拡張事業の水源は、他に求めることとなり、多摩川本流及び二ヶ領用水について調査を進めた。 多摩川は、至る所で砂利採取が行われていたために、河水の汚濁はもちろん、河床も次第に害され、大型の取水設備の新設は困難な状態にあった。また、二ヶ領用水も水量は豊富であったが、周辺の住宅増加に伴い年々汚濁が進み、水道の水源として必ずしも適当ではなかった。そして、更に調査を進めたが他に適当な水源が無く、結局二ヶ領用水から分水を受けることとした。 この二ヶ領用水からの分水は、上河原取水口地先の多摩川堤外地において伏流水を取水するもので、2回にわたる揚水試験の結果、水質・水量ともに良好なことが確認された。また、分水については、稲毛・川崎二ヶ領普通水利組合と協議を行い、昭和7年(1932)8月22日に決定した。 主な決定内容には、1日の分水量(3万3,660㎥)、分水を行うための工事費用を川崎市が負担すること、また関係町村が上水道を計画する際、川崎市は便宜を図ること等が盛り込まれた。稲毛川崎二ヶ領用水分水ニ関スル件 本組合上河原取入口地先ヨリ川崎市上水道取水ノ為左記条件ヲ以テ川崎市ヨリノ分水協議ニ応スルモノトス  昭和7年8月22日提出 同日原案可決                  稲毛川崎二ヶ領普通水利組合                   管理者 川崎市長 中 屋  重 治記1 川崎市上水道ノ取水最大量ハ14個(一昼夜ニ付33,660立方米)以内トス2 分水ノ際久地分量樋ノ改造ヲ為ス其費用ハ川崎市ヨリ寄附スルモノトス3 分水ノ際上河原取入口ノ改造ヲ為ス其工事費ハ川崎市ヨリ寄附スルモノトス4 年々ノ上河原及宿河原堰ノ工事費ヲ合計シテ其2分ノ1ハ川崎市ヨリ寄附スルモノトス5 第1項ノ取水量ヲ超過スル場合ハ更ニ協議ノ上更改スルモノトス6 関係町村ニ於テ上水道計画ヲ為ス場合川崎市ニ分水ヲ要求シタルトキハ川崎市ハ出来得ル限リ便宜ヲ与フルモノトス2 計画の概要⑴ 規模給水区域川崎市一円計画給水人口20万人1人1日最大配水量250L1日最大配水量5万㎥⑵ 計画給水人口と配水量 昭和23年(1948)度末を目標に、計画給水人口を20万人に設定した。1日最大配水量5万㎥は、

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