川崎市水道百年史 川崎市上下水道局
94/810

563 昭和16・17年(1941・1942)度配水管増設工事⑴ 計画の概要 昭和13年(1938)度に着工した配水管増設工事は、延期を重ねて昭和17年(1942)度に完成した。昭和16年(1941)3月には、後述する暫定拡張事業及び将来の大拡張を目途とする第4期拡張事業にも着手する等、当面の給水の円滑化を図るとともに、将来の需要増加に対しても万全を期していた。 しかし、日中戦争の激化とそれに続く太平洋戦争勃発に伴う大会社工場の新設・増設による川崎市の発展は著しかった。更に、これら工場の多くは国防を目的とする生産拡充関係の重要工場であり、主として新市域に建設されたため、配水管の新設または、改良工事を行わなければ給水が不可能な状態にあった。 これらの需要に対処するため、昭和16年(1941)度と翌年度の2回にわたり、配水管増設工事を施行することとした。⑵ 事業認可の経過 当初の計画額は、以下のとおり市議会で可決された。 昭和16年(1941)度計画分 60万円昭和16年(1941)3月12日 市議会可決 昭和17年(1942)度計画分 37万8,000円昭和17年(1942)2月25日 市議会可決 それぞれ主務大臣へ工事施行認可及び起債許可を申請したが、戦時下のため起債は削減され、いずれも10万円だけが許可された。⑶ 工事施行の経過 戦争の激化とともに、労力・資材とも極度に不足し、工事は困難を極め、昭和16年(1941)度計画分は3か年を費やし昭和19年(1941)度にようやく完成した。しかし、昭和17年(1942)度計画分は、昭和19年(1941)度までに25%しか施行できず、中止せざるを得なくなった。⑷ 事業費及び財源 起債額の削減により変更した計画額は、起債額に自己資金3万円、2万8,000円をそれぞれ加えて以下のとおりとなった。 昭和16年(1941)度計画分 13万円 昭和17年(1942)度計画分 12万8,000円最終的な工事費は以下のとおりとなった。 昭和16年(1941)度計画分 11万9,810円15銭 昭和17年(1942)度計画分 3万2,035円第6節 暫定拡張事業1 背景暫定拡張事業 第3期拡張事業計画以来、隣接町村との合併は、わずか数年間に10か町村を数え、市域は著しく拡大し、人口も昭和14年(1939)末には約26万人まで急増した。また、会社・工場の第1編上水道第3章水道の拡張時代の到来

元のページ  ../index.html#94

このブックを見る