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幸区こども・子育て講演会動画「コロナと共に生きる子どものこころ ―輪(わ)とレジリエンスの視点から―(2)」テキスト情報

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 さて、ここで皆さんと一緒に、そもそも子どもたちの健康って何とか、子どもたちの心の健康ってどういうことというところをざっくり見たところで、じゃ、今回のコロナ禍、コロナウイルス感染症の流行という一連の出来事が、子どもたちの心にどういう影響を与えたか見ていきましょう。

 これまでの多くの調査の中で、子どもたちにとってコロナウイルス感染症は、体の面では、症状の重症化だったりとか入院だったり死亡は多くはないことが分かってきていました。それ自体は良いことではあるんですけれども、ただ一方で、敵は感染症そのものではなく、それによって取られているいろいろな感染対策とか社会の変化、そういったものが子どもたちの健康に大きな影響を与えている。つまり、子どもの世界だったり子どもを取り巻く世界、より大きな世界が全部変わっていくということで、子どもたちのウェルビーイングに大きな影響を与えていることが大切かと思います。

 私たち成育医療研究センターの中にあるコロナ×こども本部という、医師だったりいろいろな研究者たちが、有志で集まっているこういったプロジェクトチームがあるんですけれども、ここでは、こういったコロナ禍のような社会が危機になったときに、どうしても届きにくい状況になってしまう子どもとか、その周りの人の声を何とかしっかりと拾い上げて、こんなときこそ子どもたちの声を中心に、こういった子どもに関わることをつくっていこう、そういったような意欲でつくられたものです。

 私たちが対象としているお子さんは、小学校から高校生ぐらいのお子さんまでで、オンラインでのアンケートを通して、集計した結果をいろいろなところに発信しています。ただ、私たちのアンケートにはもちろん限界もありまして、オンラインでのアンケート調査ですので、オンラインでSNSとか通して呼びかけるわけですが、答えたいといった方だけ答えてくれています。そのため、インターネットのアクセスがない方とか答える元気がそもそもない人とか、逆に特に言うことないなという元気がある人とか、そういったような人たちは含まれていない可能性があるんです。なので、こういった限界があることを踏まえて、今回のアンケートで何%とかいう数字も出るんですけれども、それは日本全体が何%ということではないかもしれません。それでも、こういった子どもたちの声を何らかの形で皆さんに届けていくことは、非常に意義があると信じておりますので、今日、結果をぜひ御覧いただきたいと思っています。

 私たちのアンケートは、最後に行ったのがもう1年ちょっと前ですので、少しデータとして古くはなっているんですけれども、特にコロナが大変だったときに取られたデータになっています。最初に行われたのは、まさに最初のところの全国一斉休校があったとき、その後の外出の自粛とかがひどかったときに第1回を行って、そこから第2回、3回、4回、5回、6回、7回と行ってきて、さまざまな質問を行ってきています。これまで延べで4万5000人ほどの子どもと保護者の方が答えてくださっています。

 では、中身に行きますと、コロナによる子どもの心への影響の短期的・長期的な影響は世界中で指摘をされています。日本の子どもたちはどうか。私たちのアンケートを中心に見ますと、まずストレス症状と頻度というところで、こちらは第6回調査の結果です。コロナ×こどもアンケートでは、新型コロナウイルスに関するストレス症状を約10項目について繰り返し尋ねています。その一部ですが、例えば、コロナのことを考えるとすごく嫌な気持ちになるのが38%、「さいきん集中できない」という子は26%、「すぐにイライラしてしまう」が28%、「寝つけない・よる目が覚める」が20%、「ひとりぼっちだと感じる」子どもは11%、自分や家族を何らかの方法で傷つけてしまう子は14%いました。直近の自傷行為をしたと答えている小学生、中学生も15%ぐらいいらっしゃって、これは非常に高い数字が明らかになったなと思っています。

 押しなべると、7割以上の子どもたちが何らかのストレス症状を抱えていて、これは、実は最初の一斉休校のときからおととしの12月ぐらいまで、ずっと高い数字で推移しているんです。なので、コロナの流行状況に波があるけれども、子どもたちがずっとそのストレスにさらされていることは非常に留意すべきことだと思っています。

 うつ症状があるかどうかということを尋ねてみますと、思春期の子どもたち、小4以上の子たちに尋ねると、実は中等症以上のうつ症状がある子どもは16%ぐらいいるんじゃないかということが分かっています。これは、実は世界的な調査でも、子どもたちのうちの20%ぐらいにうつ症状があるんじゃないか、25%ぐらいの不安症状があるんじゃないかということも言われているので、あながち外れた数字ではないと思うんです。うつ症状などの心のしんどさを抱えている子どもたちは、決して皆さんの周りにも少なくないということが分かると思います。

 少し子どもたちの声に耳を傾けてみましょう。ストレス症状について教えてくれた子たちがいました。小4の女の子「死にたい気持ちが多い」、小2の女の子「なぜイライラしてしまうかわからなくてイライラする」、小2の男の子「体と心がおもいどおりにならない。いつもつかれたかんじだし、ねむれなかったりこわいゆめをみたりする。がっこうにあさからいけないひとかあるとともだちやせんせいになにかいわれたりしてどんどん学校にいきたくなくなっちゃう」、小5の女の子「なにか、疲れてしまう」、中3の女の子「鬱っぽくなっててきつい」。

 しんどさの背景について教えてくれた子たちもいました。小4の男の子「きゅうしょく中にともだちと話せなくなって、話したらしかられるようになった」、小5の女の子「運動不足」、小6の女の子「なんでもコロナだから……ばっかりで自分の行動や気持ちを制限されている気がした。大人は大人で、いろいろ大変なのかなと思って、相談しづらくなってしまった。みんな常に笑っているときも心の中でイライラしている気がした」、小5の男の子「コロナになって悪口や差別されている人がいる」。

 保護者の皆さんからもいろいろな声が寄せられています。「母親の姿が少しでも見えないと不安で『ママどこー!』と呼ぶ以前は自分でできていたことも『できない!ママやって!』と言う」、「学校に行くと気持ちが悪くなる」、「無気力。意欲がない。家にいる事が中心になっている」、「学校行事や部活の大会が全て中止になり楽しみや張り合いをなくしてしまっている。やる気を無くしている感じがする」、「怒りっぽく暴力的」。そういったような声が聞かれました。

 皆さんの周りのお子さんや保護者の方も、きっといろいろな思いを抱えながら、この3年間過ごしてきたのかなと思います。

 こんな中ですと、やはり学校というものもなかなか大変な子たちも多いですね。「さいきん1週間、学校にいきたくないことがありましたか?」というのを2021年の夏休み明け、9月に聞いていると、「いつも」、「たいてい」、「ときどき」学校に行きたくないなと感じる子は4割ぐらいいました。その前の年の調査でも3割ぐらい、依然として高い数字が続いていたことが分かります。去年はお伺いしていないんですけれども、文部科学省の調査では、不登校の数が過去最高というのも出てきていて、いずれにしても、子どもたちにとって学校に行くことがよりしんどくなってきているのかもしれません。

 学校に行きたくないことについての子どもたちの声を聞いてみます。感染が怖いという声もありました。「感染するかもしれないところに毎日通うのも怖いし、正直休校にしてほしいくらい」、「マスクがくるしくて鼻を出していると、お友達にちゅういされるのがいやです」、「学校は何の感染対策もしていないと感じる。感染者が出た時も休校にならなかったし、怖い。周りの友達は割と楽観的で、そういう悩みをオープンにできない。大人もそうかもしれないけど、意識の差が浮き彫りになって、それを隠して過ごすのがつかれてしまう」。

 また、いろいろな新しい生活の中での不満や疲れについて教えてくれた子もいました。「学校のコロナ対策に参加したい。決められたことしかしないのはおかしい」、「コロナを理由になんでもかんでも中止にしないでほしい」、「学校の勉強がむずかしくてでも教えてもらえなくて 時間割も7時間もあってしんどい」、「友達と笑い合うことも、部活に取り組むこともさせてもらえず、ちっとも幸せではありません」、「コロナのお休みでコミュニケーション力が落ちて本当にコミュニケーションがとれない」といったような声が聞かれています。

 学校に行っていても、マスクの裏でいろいろ言えないことがある子どもたちは多いのかもしれないなと思います。

 では、そういった子どもの心の不調に関して、子どもたち自身がどのように捉えているのかというところをちょっと見ていきましょう。これは第7回の調査で、子どもたちに深刻なうつ状態にある太郎君という人のエピソードを読んでもらいました。

 「太郎君は、この数週間、いつもとちがって、なんだか悲しくなったり、つらい気持ちになったりすることが多くなりました。いつもより体がだるく、つかれていて、夜はしっかりねむることができなくなっています。あまり食欲もなく、体もやせてきています。勉強も手につかず、成績も落ちてきました。決めなくてはいけないことも、なかなか決められず、これまでできていた毎日の勉強や習い事などが、とてもつらく感じるようになってきています」。典型的なうつ症状ですね。皆さん、どうでしょう。太郎君は助けが必要な状態だと思いますか。ちょっと助けが必要そうですね。

 子どもたちも95%ぐらいの子は、太郎君は助けが必要かなと答えてくれています。でも、ここ大事なんですけれども、一方で、もし自分が太郎君だったらどうしますかと質問すると、誰かに相談するのは60%、4割の子どもたちが誰にも相談せず様子を見ると答えているんです。自分の状態が悪いと分かっていても、相談しない、あるいはできない子たちがいかに多いかということがここで分かると思います。

 さらに、子どもたちは相談についてどういうふうに思っているか聞いてみました。ピンクのほうが「相談せず様子をみる」と言った子で、青いほうが「相談する」と言った子たちですけれども、「相談せず様子をみる」と言っている子どもほど、「良い助言をもらえそう」と思わなかったり、「真剣に聞いてもらえなそう」と思っていたり、「気持ちを表現できなさそう」と感じていることが分かります。相談できない子ほど大人に相談する期待が低い・表現へのハードルが高いことが分かります。こちらは別の調査で、実はこういうふうにうつ状態というか、心の調子が悪い子どもほど、相談しないという傾向にあることも分かっていて、私たちが待っているだけじゃだめなんだなということが感じられます。

 相談については、子どもたちからもいろいろな自由記載で答えが上がっています。大人たちがより子どもの意見を聞くためにはどうしたらいいと思いますかと聞いてみると、「どうしたらいいかよく分かりません」、「なにがふあんなのかがわからない」、「それをかんがえるのはむずかしい」、「わからなくて困っているから教えてほしいですそれに相談するのは難しいから手伝ってください」、「話してもどうにもならないことだってある」と、子どもたちが声を発する、相談することがいかに大変なことなのかということを教えてくれている答えが多くありました。

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