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サンキューコールかわさき

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2 子どもの意見表明・参加の促進

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 「はじめに」の(2)で示したとおり、今回の答申にあたっては、子どもの意見表明・参加を中心に検討した。さらにそれを進める目標として(1)子どもの権利をめぐる意識の向上、(2)子どもの意見表明・参加の促進、(3)参加しにくい子どもへの支援の3つの柱を立て、それぞれ重点課題を示した。それぞれの目標や重点課題は、現在の取組をより充実させる視点で検討した結果であり、市の施策として十分取り組めるものと考えている。具体的な取組では、取組の手法等にも意見を示しているが、子どもの権利保障を具体化していく上で重要と考えたためである。

目標1 子どもの権利をめぐる意識の向上

視点

 子どもの意見表明・参加を推進するためには、子どもの権利とりわけ意見表明・参加の権利をめぐる意識の変革・向上が欠かせない。子どもの意見表明・参加を子どもの権利としてとらえ、保障していくことが重要であり、そのための戦略的な広報や体系的な教育、学習、研修などが求められる。
 また、子ども自身の参加意欲が低い現状にあることから、参加意欲の喚起、参加手法の開発等に取り組むことも重要である。

具体的な取組(重点課題)

 市は次のような取組をすることが重要である。

1:啓発・広報の充実

  1. 啓発・広報の目的は明確化、効率化、情報の共有化を図りながら、関係局との調整により戦略的な広報計画を作成する。
  2. 子どもの権利に基づいた施策を進めるために、行政職員の意識向上を図る研修を充実させる。
  3. 地域で活動する市民、市民グループ等との連携を強化するなど、かわさき子どもの権利の日事業を充実させる。
  4. 子どもの権利への理解の促進を図るため、子どもにかかわる市民グループを掘り起こし、市民グループや青少年育成団体等のゆるやかなネットワークづくりを支援する。
  5. より地域に根ざした事業展開を推進するための行政区レベルでの取組を検討する。
  6. 青少年育成団体、PTA、民生委員児童委員や地域のおとなが、子どもの権利について学習することを支援する。
  7. 市内の事業者の子どもの権利に関する意識向上を図るための啓発のあり方を検討する。
  8. インターネット・情報技術による国内外への広報を充実させる。

 

2:子どもによる啓発・広報への支援

  1. 川崎市公式ホームページ上の「こどもページ」の一部を子ども自身が作成することを視野に入れながら、子どもモニター制度を充実させる。
  2. 育ち・学ぶ施設及び主に子どもが利用する施設における広報紙づくりに、実践例の紹介などを通して、子ども参加が進められるよう支援する。
  3. 子ども自身による自主的な広報の取組ができるように条件整備(物品の充実、スキル向上のための講座等の開催等)を進める。

 

3:権利教育・学習の充実及び子ども自身が子どもの権利を学ぶことへの支援

  1. 子どもの成長過程にあわせた学習がより進められるように資料・教材等の研究開発を進める。
  2. CAPプログラム(注2)やその他の学習手法等の研究を進め、講師派遣事業を充実させる。
  3. 川崎市子ども会議の子どもたちの自主的な権利学習を支援する。
  4. 川崎子どもの権利に関する週間での取組の強化を支援する。

(注2)CAPプログラムとは、「Child Assault Prevention(子どもへの暴力防止)」の頭文字をとったもので、子どもが自分自身の権利について理解し、その権利を奪おうとするあらゆる暴力に対し、自分を守る力をつけるための実践的プログラムです。

 

4:育ち・学ぶ施設での子どもの権利教育・学習を支える人への支援の充実

  1. 育ち・学ぶ施設の職員に対して、子どもの権利、特に子どもの意見表明・参加についての研修や学習の積み重ね、実践交流を支援する。
  2. 指導資料「子どもの権利学習を進めるための教育課程の編成」の活用を促進し、学校現場における権利学習の年間計画への導入を促し、権利学習に取り組みやすいように支援する。
  3. 教職員用「子どもの権利Q&A」を充実させるなど、教職員の子どもの権利についての共通理解を促進する。
  4. 学校現場等に人権尊重教育を浸透させるため、「人権尊重教育推進担当者研修会」等の研修において、権利学習についての実践交流や実践報告会を実施するなど学校現場等の取組を支援する。

目標2 子どもの意見表明・参加の推進

視点

 子どもの意見表明・参加により取組や事業が進展するような実践を社会に広げていくことが子どもの権利保障の推進にとって重要であり、子どもの意見表明・参加の仕組づくりや条件整備が求められる。同時に、子どもの主体形成を支えるおとなの存在が重要であり、子どもの活動を支えるサポーター等の支え手への支援が必要である。
 また、権利侵害を受けた子どもにとっては、子ども自身が解決の主体となり、自尊感情を回復させ育んでいくことが重要であり、相談・救済活動に子どもの意見表明・参加の視点を導入する必要がある。

具体的な取組(重点課題)

 市は次のような取組をすることが重要である。

育ち・学ぶ施設における子どもの意見表明・参加

1: 「ともに学び支えあう学校づくり」のための子どもの意見表明・参加の促進

  1. 学校での日常的な活動のなかで子どもの意見表明・参加が促進されるとともに、そのことが学校教育推進会議の運営等に反映され、また学校教育推進会議における子どもの意見表明・参加の成果が学校におけるさまざまな活動に生かされるよう学校の取組を支援する。
  2. 学校教育推進会議における、事前の情報提供、構成員の選出方法、構成員の子どもとおとなの比率、子どもが意見を言いやすい会議の運営方法、会議で話し合われた内容の生かし方等の事例紹介や実践交流を通して、子どもの意見表明・参加の成果が学校や地域で共有されるように支援する。
  3. 学校の基本方針や計画の立案の際に、子ども、親・保護者、住民の意見を聴く機会を設ける学校の取組を支援する。
  4. 学校において「習熟度別学習指導」等を導入する際には、子どもの意見表明・参加が十分配慮されるよう支援する。
  5. 子どもが自ら学びの主体となるような授業づくりに子どもの参加を図っていくうえでの具体的な課題を整理し、どのような取組が必要とされているかを研究する。

 

2:子どもの処遇にかかわる重要な手続きの際に本人の意見表明の機会の保障

  1. 学校や児童養護施設における子ども自身の処遇や子どもの将来に大きな影響を及ぼす事柄の決定において、子どもの意見表明・参加が保障されるよう、十分な情報提供と適正な手続きについての明文化が促進されるよう支援する。
  2. 児童養護施設や児童相談所において、子どもの意見表明・参加が保障されるよう、子どもの代弁者の関与について検討する。

 

3:保育園における子どもの意見表明・参加の促進

  1. 保育園での遊び等日常的な生活において、子どもの意見表明・参加を促進するよう保育園の取組を支援する。
  2. 保育園において、親・保護者や卒園児の参加などを通して、子どもの意見が尊重されるように「(仮称)保育推進会議」の設置を進める。
  3. 保育園の職員が、乳幼児期の子どもの意見表明・参加の意義を学び、子どもの意見を受けとめ尊重するための研修を充実させ、または研修を支援する。

主に子どもが利用する施設での子どもの意見表明・参加

4:主に子どもが利用する施設(子ども夢パーク、こども文化センター、青少年施設等)での子どもの意見表明・参加の促進

  1. 子ども夢パークにおける子どもの意見表明・参加の実践が地域に広がるための活動を支援する。
  2. こども文化センターにおける中高生の活動を促進し、居場所の機能を充実させるために、中高生の意見を尊重した設備や運営を充実させる。
  3. こども文化センター及びわくわくプラザでの「子ども運営会議」の設置を進める。
  4. 主に子どもが利用する施設における職員や子どもの日常活動をサポートするスタッフ等の力量向上のための研修体制を整える。
  5. より安心できる子どもの居場所づくりのために、少し上の年齢の子どもの話し相手による「子どもサポート制度」を研究する。
  6. 主に子どもが利用する施設の運営等に子どもの意見を反映させる手法の研究を支援する。

まちづくりへの子どもの意見表明・参加

5:市政、地域、まちづくりへの子どもの意見表明・参加の促進

  1. 川崎市子ども会議の子どもたちと、地域教育会議の子ども会議や地域で活動する子どもたちとの連携・交流を支援するなどして、川崎市子ども会議ならびに地域教育会議の子ども会議の活動を支援する。
  2. 川崎市子ども会議に誰もが参加できるように、またその成果が子どもたちに共有できるように、育ち・学ぶ施設の協力を得ながら、広報の工夫を図る。
  3. 川崎市子ども会議サポーター養成講座の充実を図る等子どもの支え手である「サポーター」への支援を強化する。
  4. 子どもの生活や将来に多大な影響を及ぼす市の重要施策や計画を審議する委員会等に子どもの意見を反映させる手法を検討する。
  5. 子どもワークショップの実践例を活用する等、まちづくり事業への子どもの意見表明・参加を促進する。

 

6:子どもの自主的・自発的な活動を支援するための条件整備

  1. 川崎市子ども会議への参加、主に子どもが利用する施設等の運営会議や事業の企画・運営への参加等において、参加する子どもへの交通費等実費弁償の手立てなど、子どもの参加の条件整備を充実させる。
  2. 子どもの支え手である「サポーター」を支える「コーディネーター」の役割等について研究する。
  3. 国内外における子どもの活動の連携を支援する。

権利侵害からの救済、回復における子どもの意見表明・参加

7:権利侵害からの救済、回復における子どもの意見表明・参加に関する支援

  1. 子ども自身が解決の主体となり、自尊感情を回復していくプロセスを大切にした相談・救済活動を充実させる。
  2. 子ども自身からの相談を促進するために、人権オンブズパーソン制度や相談機関の広報を充実させる。
  3. 相談・救済機関にかかわる職員が子どもの意見表明・参加を支える力量を高めるための研修を充実させる。
  4. 学校、家庭、地域、関係機関のネットワーク化を促進し、子どもの権利擁護体制を充実させる。
  5. 子どもの居場所である子ども施設に人権オンブズパーソンが出向き、子どもの声を聴きながら相談等を実施することにより、より子ども自身が相談しやすい人権オンブズパーソンの活動を充実させる。

目標3 参加しにくい子どもへの支援

視点

 参加しにくい子どもが意見表明・参加していくためのニーズは大きく多様である。個別の必要に応じた支援を効果的に実施していく方法を検討していく必要がある。また、子どもの意見表明・参加を促すために、施設・設備や人の意識を含め、子どもが生活するあらゆる環境のバリアフリー化を検討していくことが重要である。

具体的な取組(重要課題)

 市は次のような取組をすることが重要である。

1:多様な文化的背景をもつ子どもの意見表明・参加に関する支援

  1. 外国人児童生徒の学習言語指導及び学力保障を充実させるため、帰国・外国人児童生徒教育巡回非常勤講師の派遣を充実させる。
  2. 多文化共生をめざす教育の一環として、「民族文化講師ふれあい事業」を充実させる。
  3. 学校、幼稚園、保育園のたより等の情報提供において、多文化への理解や言語に配慮した情報提供の充実を支援する。
  4. 育ち・学ぶ施設及び主に子どもが利用する施設の教職員を対象とした、多文化への理解を深めるための研修を充実させる。
  5. 地域での多文化共生をめざす教育・学習を支援する。

 

2:障がいのある子どもの意見表明・参加に関する支援

  1. 育ち・学ぶ施設及び主に子どもが利用する施設のバリアフリー化を促進する。
  2. 障がいのある子どもへの理解を促進するための啓発事業を充実させる。
  3. 学校や地域において、さまざまな障がいのある子どもを含めた子ども同士の交流を進め、子どもの活動に心のバリアフリーの視点を導入する。
  4. 点字広報等、障がいに応じた参加支援を充実させる。

 

3:児童養護施設等で生活している子どもの意見表明・参加に関する支援

  1. 施設で生活する子どもへ子どもの権利について周知し、権利認識を高めるために、児童養護施設における「権利ノート」の活用について支援する。
  2. 里親家庭で生活する子どもに対し、子どもの権利について周知するために、「権利ノート」の作成に取り組み、活用方法について検討する。
  3. 児童相談所の一時保護所で生活する子どもが安心して意見表明ができるように、年齢別、性別、かかえる問題内容別の処遇や生活環境についての配慮等を検討する。
  4. 児童相談所では、一人ひとりの子どもの気持ちを受けとめ、子どもの意見表明・参加を進めるために職員の専門性を強化する。
  5. 児童養護施設において、子どもが安心して意見表明ができるように、生活単位の小規模化を図るよう施設関係者に働きかける。
  6. 児童養護施設等の職員が子どもの権利への意識を高めるための研修を支援する。
  7. 里親家庭において、子どもが安心して意見表明できるように、里親が子どもの意見を受けとめ尊重するための研修を充実させるとともに里親を支援する。

 

4:不登校の子どもの意見表明・参加に関する支援

  1. 学校、"ゆうゆう広場"、"えん"及び民間のフリースペース等で、その特徴を生かした子どもへの支援を充実させるため、関係者、スタッフの交流などを通して連携を強化する。
  2. 地域で不登校の子どもを支える環境づくりを進めるため、学校、家庭、地域の連携した活動を支援する。
  3. 不登校の子どもが今いる場所(家庭、子どもの居場所やフリースペース等)や地域において、その子どもが意見表明・参加しやすいように情報提供を充実させる。

 

5:乳幼児の意見表明・参加に関する支援

  1. 保健福祉センターや市民館等における取組を通して、乳幼児をもつ親等への子どもの権利、特に子どもの意見表明・参加に関する学習機会を充実させる。
  2. 医師、保健師、看護師、保育士、栄養士等の乳幼児にかかわる専門家や乳児院等の児童福祉施設の職員が、乳幼児の意見を受けとめ尊重する力量を形成するための研修を充実させる。
  3. 乳幼児を持つ親等が、子どもの最善の利益を優先した子育てができるように、保健福祉センター、保育園、地域子育て支援センター、総合教育センター幼児教育センター、市民館等の子育て支援事業を充実させる。
  4. 地域の子育て支援活動を行う市民グループ等への支援を充実させる。