専修大学 地域通貨たま防衛隊チームです。 これから3大学の地域連携事業に関する発表を始めます。よろしくお願いします。 まずは簡単に活動メンバーの紹介をしたいと思います。 4年尾藤巧、3年青木翔、岩間優希、奥津里花、松田敬充、2年秋山寛太の6名で活動してきまし た。 発表構成はご覧の通りです。 まず初めに私たちの事業テーマと活動指針について説明致します。 3大学地域連携事業において、私達は「生田緑地などの地域資源を活用した賑わいと魅力ある まちづくり」を事業テーマとしました。 その中で私達は地域通貨「たま」を題材に、多摩区内での認知度向上及び普及を目的に活動し てきました。 次に地域通貨、地域通貨たまについて説明致します。 地域通貨とは「ある特定の地域やコミュニティーのみで利用できる通貨のこと」を指します。例え ば、愛知県のおむすび通貨など全国で約180の地域通貨が現在も稼働しています。 そして、神奈川県川崎市の多摩区内で利用出来る地域通貨が地域通貨「たま」です。 この通貨は助け合いの精神を大切にしており、地域コミュニティ内での助け合いに応じて、たまの 受け渡しを行います。 例えば、子供の面倒を見てもらえば、お礼とともに地域通貨を渡す。逆に多摩区内でボランティア をした際にお礼とともにもらうといったような方法です。 また、もらった後は多摩区内の加盟店で利用することが出来ます。 この地域通貨たまの認知度向上及び普及が活動の目的です。 私たちは、活動にあたり地域活性化のサイクルを意識して  一般的に、地域を活性化させる流れとして3段階あります。 まず最初に地域通貨たまを用いることで地域交流と相互コミュニケーションの場を提供します。 そのような場の醸成により希薄化した地域コミュニティの再構築に繋がります。 そして、地域コミュニティの再構築が、地域活性化に繋がります。 このような地域活性化のサイクルを、地域通貨たまに活かすことで、普及に繋げられると考えま した。 こうした活動を3大学地域連携事業が始まる前の2021年度から活動を行ってきました。 そのためまずは、2022年度の活動のベースとなる2021年度の活動について説明致します。 私たちは、専修大学の学内プログラムである専修リーダーシップ開発プログラム(以後SLDP)9 期のプログラム生として地域通貨たまを普及するための活動に携わってきました。 運営の母体はNPO法人ぐらす・かわさき事務局です。 そして活動にあたり小学校低学年とその保護者を認知・普及のターゲットとして設定しました。 小学校低学年をターゲットとした理由として、小学生という若年層から知ってもらうことで、保護者 にも認知してもらうことが可能になるからです。 また、保護者を巻き込むことによって、日常生活に地域通貨たまの利用と定着につながると考え たからです。 実際に、2021年度はたま楽市というイベントのプロモーション・企画立案を通じて、地域通貨たま の普及活動を行ってきました。 次にたま楽市に向けたプロモーション活動について説明致します。 たま楽市に向けて、地域通貨たまとスタンプラリーを掛け合わせた「たまンプラリー」を実施しまし た。 この、たまンプラリーでは地域通貨たまの加盟店を回りスタンプを集めて、たま楽市への来場で お菓子等の景品と交換できるといった取り組みを行いました。 スタンプラリーで、親子ともに楽しみながら加盟店と親子が接する機会の創出と同時に、たま楽 市までの導線として活用しました。 他にも集客効果を高めるためにたま楽市の告知をするチラシを作成しました。 この作成したスタンプラリーとチラシを近隣の小学校二校(東生田小学校、三田小学校)と加盟店 に、合わせて約1200枚配布を行いました。 つぎにたま楽市の企画・運営について説明致します。 たま楽市では、地域通貨たまを使用しながら「地域や人々との関わり」をつくること、小学生に「地 域通貨たまを親しんでもらう」ことをコンセプトとしました。 「地域や人々との関わり」に関しては、たま楽市内で販売されている野菜や地元の方が制作した 手作り品を地域通貨たまを使ってやりとりすることができるような出店を行いました。 小学生に地域通貨たまに親しんでもらうことに関しては子供たち自身でけん玉を作って遊べる 「手作りけん玉ブース」、アーチェリーを使って風船を当てる「的当てアーチェリー」、サッカーボー ルでペットボトルを倒す「キックボウリング」、皿回しをメインとした「ジャグリング体験コーナー」を 企画しました。 結果として、たま楽市当日の来場者数は前回の2.65倍となる318人になりました。 加えて、株式会社タウンニュースに、私たちの活動に関する記事を掲載いただきました。 2021年度の活動についてまとめます。 こうした活動を通じて、「規模の制限」と「認知度の低さ」という運営に関する2つの課題に気付き ました。 2022年度では、これらの課題解決を活動の軸としました。 2つの課題と方針について具体的にご説明させていただきます。 まず1つ目は「規模の制限」という課題についてです。 昨年度のたま楽市は、根岸陸橋という橋の下にある小さな公園での開催を行いました。 ご説明の通り、318名の方にご来場いただくことが出来ました。その一方で楽市後に行われた反 省会では、規模の制限がなければさらに多くの方に来場して頂けたのではないかというような反 省点があがりました。 そのため、2022年度は会場の規模を大きくすることでより多くの方に地域通貨を親しんでいただ けるよう来場者数の増加を目指しました。 2つ目は、「認知度の低さ」という課題についてです。 加盟店へのヒアリング調査を行う中で、地域通貨たまが全く普及してない現状に気が付きまし た。具体的には「地域通貨をどこで使えるのか」や「どのように使うのか」、「入手の仕方がわから ない」などといった声を多く頂きました。 こうした声に対し楽市後の反省会では、利用者に対する加盟店の情報であったり、使い方に関す る情報発信が足りていなかったのではないかという反省点が挙がりました。 そのため、2022年度は様々な方法を用いて情報発信をし、認知度向上を目指すことを決めまし た。 以上の2つが課題の詳細と2022年度の活動の方針についてです。 次に2022年度の活動内容についてご説明致します。 今年度は私たちSLDP9期生と10期生と連携して活動を行ってきました。 2022年度は、地域通貨たまの認知度向上とたま楽市の開催という2つの軸で、活動を行いまし た。 1つ目に、認知度向上の流れについてです。 これは加盟店へのヒアリング調査を基に、新規マップの作成・配布・インスタグラム投稿という流 れで活動を行ってきました。2つ目に、たま楽市の開催の流れについてです。これはフィールド ワーク・模擬出店・たま楽市の開催という流れで活動を行ってきました。以下スライドで、それぞ れ詳しく説明いたします。 まず地域通貨たまの認知度向上とたま楽市開催における事前準備について時系列順にご説明 致します。私たちはヒアリング調査とフィールドワークをおこないました。 まず、ヒアリング調査についてです。 昨年度までの活動を通じて、加盟店と運営の連携不足によって、既存の加盟店地図の整合性に 問題がありました。具体的には加盟店ではない店舗の掲載や店舗の所在地が違う等です。そこ で実際に加盟店に足を運び、ヒアリング調査を行いました。具体的には、加盟店継続の意向確 認やおすすめの商品やサービスなどお店のアピールポイントを取材しました。 このヒアリング調査をもとに、地域通貨たまの加盟店マップであるたまっぷをリニューアルをしま した。新規マップでは、最新のヒアリング調査で得た課題の解決のために正確な店舗情報を掲載 することと、見やすい地図の選定、エリアごとの店舗区分を意識して作成しました。また、ターゲッ トである小学生に親しみを持ってもらえるようなデザインを採用しました。こうした点から利用しや すくみやすいことを意識しながら、新規マップのリニューアルを行いました。 更に紙媒体のたまっぷに加えて、SNSを用いた情報発信にも今年度、新たに着手しました。これ までは、地域通貨たまが加盟店であまり利用されていない状態にありました。 そこで、加盟店での地域通貨たまの利用促進と情報の更なる拡散を目指してインスタグラムでお 店情報の発信を行いました。 具体的な投稿内容としては、店舗の写真やオススメの商品・サービス、お店のアピールポイント や地域通貨たまの利用条件などをまとめました。また、エリアごとに配色を変化させたり、ハッ シュタグの機能を活用し、より多くの人に情報が行き届くように工夫しました。インスタグラムを有 効活用することで若い世代に対してもアプローチをかけました。またこのInstagramのQRコードを たまっぷに載せることで、マップとInstagramを連動させ、アナログとデジタルの利点を兼ね備え た情報発信を行ってきました。 また、たま楽市のプロモーション活動として行ったチラシの作成について紹介したいと思います。 チラシの作成においては子どもが親しみやすいポップなものを作成しました。作成後は掲示と配 布を行いました。まず専修大学や生田緑地などにて計10か所にチラシを掲示しました。また、JR の登戸駅や多摩区の小学校を中心に計2000枚の配布を行いました。このように、ただ作成する だけではなく、掲示、配布と形態を変えることで、当日のプロモーションにつなげることができまし た。 次にフィールドワークについてです。フィールドワークではまずは視察を兼ねて、ほかの地域通貨 のイベントへ参加しました。 具体的には、越谷レイクタウンで開催された「こども夢の商店街」に参加しました。「こども夢の商 店街」とは、こどもがそれぞれオリジナルのお店を出店して職場体験をするというものです。子供 は労働の対価として愛知県発祥の地域通貨である、おむすび通貨をもらうという運営体制が取ら れていました。 このフィールドワークからは、ワークショップ形式にすることで来場者と運営者が一体 となってイ ベントを盛り上げることができるということを学びました。そしてたま楽市のターゲットである小学 生を巻き込んだ出店に向けた着想を得ることができました。 本番のたま楽市に向けて、他の地域通貨のイベントから学んだことを元に、模擬出店を行いまし た。 模擬出店では、2つのイベントに参加し、出店を経験しました。具体的には、8月の縁日イベントで 射的とジャグリング体験の出店。11月の緑化センター祭りではジャグリング体験の出店を行いま した。これらの出店経験を通じて、子供たちとのコミュニケーションの難しさや、運営をスムーズに するための説明書の必要性、ジャグリングなどで子供たちの興味をうまくひくことで集客につなげ ることが出来るということを学ぶことが出来ました。こうしたフィールドワークでの視察や模擬出店 からの経験から、たま楽市の成功に向けたヒントを得ることができました。 最後にたま楽市の開催についてです。これまでご説明してきた事前準備を活かし、11月に集大 成としてたま楽市を開催しました。 昨年度の課題を受けて、会場規模の拡大や多摩区民の憩いの場を目的として生田緑地にご協 力いただきました。また、今年度の開催の目的である地域コミュニティの再構築、地域住民の交 流促進を達成するために、ターゲットは変更せず、小学生とその保護者に重きを置いた出店を計 画しました。物販としては地元野菜、手づくり品、昔遊び体験などの出店によって、来場者と出店 者との交流に働きかけました。また、今年度は新たにパフォーマンス部門を設置し、ジャグリング や朗読劇、クイズといった小学生の関心や生田緑地を通りかかった人のたま楽市に対する関心 を引くようにしました。 当日はこのような形で出店を行っていました。 左上の写真は子どもたちを中心に地域通貨たまのキャラクターを描いてもらうワークショップで す。そして左下は岡本太郎美術館様ご協力のくじらの飾りをつくるクラフトワークの様子です。こ れらをはじめとしたワークショップでは、ターゲットである小学生を巻き込んだ参加型の出店を行 いました。これは、こども夢の商店街への視察から得たヒントを活かしました。来場者参加型の形 態を採用することで、イベントの満足度向上につながりました。 当日の様子について更に、ご説明します。左から、今年度新しく設置したパフォーマンス部門のク イズです。次に真ん中の写真はジャグリングパフォーマンスの様子です。パフォーマンス部門の 新設によって、学生と子どもたちの交流の場や当日、生田緑地に偶然通りかかった人の集客に つながりました。最後に一番右の写真が地元の野菜の販売の様子です。JAセレサ川崎を通じて 地域の農家さんの野菜を提供してもらい、保護者に向けてアプローチとして多摩区の魅力を広め ることを実現しました。これらの出店によって、ターゲットである小学生とその保護者はもちろん、 幅広い世代の地域住民がたま楽市に来場することにつながりました。 次に今年度のたま楽市の来場者アンケートの結果を紹介します。 アンケートをみると昨年のたま楽市の来場者が去年から継続して、来てくれたことや、今年初め て参加した人に関しても親子でお祭りに参加できることに地域への愛着や暮らしやすさを感じた という声、そして大学生や出店をしていた地域の人との交流に楽しさを感じたという嬉しい意見も ありました。 このようにアンケートを見ると、今年度のたま楽市では継続来場者・地域コミュニティ参加のきっ かけ作りをすることができました。 次にたま楽市の来場者数の推移をご説明します。 2018年が120人、2021年は318人、2022年は1033人と学生が関わって、広告を打ってから多く の地域住民がお祭りに参加したということができます。以上のようにターゲットを子どもとその保 護者に設定し、物販やパフォーマンスという興味を引くアプローチをかけることで、来場者数を大 きく伸ばすことが出来ました。 今年度の活動についてまとめます。 2022年度の活動を通じて2つの課題解決に取り組みました。 まず「規模の制限」に関しては、たま楽市開催場所を生田緑地というより大きな場所で開催しまし た。地域住民が集う生田緑地で開催することで、これまで以上の来場者に来てもらうことが出来 ました。結果として地域コミュニティの再構築や地域住民の交流促進に寄与しました。 次に「認知度の低さ」に関しては、加盟店地図のリニューアルやインスタグラムの投稿を行う中 で、利用者に対し加盟店情報の発信を行い、地域通貨たまの認知度向上及び利便性向上につ なげました。 こうした今年度の活動を通じて生田緑地などの地域資源を活用した賑わいと魅力あるまちづくり に一歩寄与できたのではないかと思います。 これまでの活動を通して、地域の活性化に必要なことについて総括をします。地域の活性化は、 地域住民のみでは活動量に限界があり、従来とまったく同じやり方では変化する社会情勢に適 応することができず、実現に至らないことに気付きました。そのため地域住民や区役所の方々、 その地域に関係する多様な他者が協働しながらコミュニティを形成する必要があります。加えて これまで以上に若い世代が地域コミュニティに参加しやすい仕組み作りをしていくことが重要で す。 そうすることで多様な社会の変化に対応した持続的な賑わいと魅力ある街づくりを実現させるこ とができると私たちは考えました。 これで発表を終わります。ご清聴ありがとうございました。