ハートリレー第30回 視覚障がい者が作るアクリルたわし。
夢はお店を持つこと「ミニショップ アイメイト」

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点字に親しんでもらうポチ袋も

 アクリルたわし以外にも、ストラップやペットボトルホルダーなどや、注文があれば大きなものやエプロンなどの布製品も製作します。たわし以外はウールの毛糸も使います。毛糸は基本的には買うそうですが、使わなくなったり余った毛糸を寄付してくれる方もいるそうです。

写真 ミニサイズのデザインが可愛いストラップ

ミニサイズのデザインが可愛いストラップ

写真 保温効果もありそうなペットボトルホルダー

保温効果もありそうなペットボトルホルダー

 手編み製品以外にも、代表の大漉(おおすき)さんが点字を使って製作する「ポチ袋」も隠れた人気商品。皆さんに点字に親しんでもらえるように、たとえばバイオリン、マリンバ、コントラバス…などの楽器の名前、カレーライス、コロッケ、ハンバーグ…などの料理の名前や花の名前のような、大漉さんが思いついた文字と「ミニショップ アイメイト」という文字を点字で打っているそうです。そして打ち上がったものをポチ袋に仕上げるのも、もちろんボランティアです。

写真 点字を打つ代表の大漉さん

点字を打つ代表の大漉さん

写真 表面に点字が打たれたポチ袋

表面に点字が打たれたポチ袋

みんなが集まれる場所を作ろう…の気持ちで始めました

 「ミニショップ アイメイト」の代表の大漉さんに、そもそもどうしてこの取り組みを始めたのか尋ねてみると「10年ほど前に、何かみんなでできることはないかなという話になったんです。とにかく視覚に障がいを持った人たちが集まれる場所が欲しかった」「アクリルたわしを作ることがスタートではなくて、集まる場所を作ることがまず第一の目的でした」という答えが返ってきました。

 みんなで集まって、視覚障がい者ならではの苦労や、悩みなどを話しながら、少しでも解消したり、気持ちが楽になったりできる場所にするというのが目的ということです。「皆さん、本質的には明るい方なのですが、目が不自由なことで、いろいろ大変なことがあるので、工夫できる点などを情報交換します」と大漉さん。

 「最終的には、たわしの売上でマンションの一室を借りて、小さなお店を構えるのが夢」ということがあるのでグループの名称に「ミニショップ」とついているんだなと納得。メンバーの皆さんもただ時間つぶしをしている感覚ではなく、利益を上げるために働くという自覚があるようです。大漉さんはいうなれば社長さん。メンバーの方からは「大漉さんに使っていただいています(笑)」というジョークも出ていました。

 リーダーとして、大切な活動紹介と販売の場である「たかつ区健康福祉まつり」「橘ふるさとまつり」などへの出展交渉は、大漉さんが右腕として信頼しているボランティアの関口さんと行います。この経営感覚が活動が長く続いている大きな要因の一つなんだなと感じました。

写真 代表の大漉さん。リーダーとして皆さんを引っ張っています

代表の大漉さん。リーダーとして皆さんを引っ張っています

取材を終えて

 アイメイトさんが作業している部屋のドアを開けて先ずはビックリ!皆さんまるで目が見えていらっしゃるのでは?と思うほどかぎ針をスムーズに動かして編みものをしていらっしゃいました。

 机の上には動物バージョン、くだものバージョン、葉っぱなど、たくさんのアクリルたわしが並んでいて、見ているだけでも楽しくなります。同じ種類でも色使いや目や口の付け方によって一つとして同じものがない、世界に一つしかないというところが手作りの醍醐味だと感じました。

 月2回の作業の日はガイドヘルパーの方と会場に集まり、夕方まで一緒に作業をされるとのこと。細かな作業や色使いのアドバイスはヘルパーさんが担当。取材中も次々と可愛らしいアクリルたわしが完成していました。

 手間ひまかけて作るアクリルたわしが1個100円は安いのではと質問すると「材料が値上がりして大変だけれども、一人でも多くの方に買って頂きたい、喜んでいただきたい、一つでもたくさん売れるように」との思いから値上げはしないで頑張っているとのことでした。そして販売に行く先々で「目がご不自由なのに、素晴らしいですね!」と皆さんがかけてくださる言葉が、何よりも嬉しく励みになるというお話が、とても心に残りました。

(NPO法人 ダンスラボラトリー 木村)

 

「ミニショップ アイメイト」のことをもっと知りたい

  • 活動場所:
    第1水曜/北部身体障害者福祉会館1階 集会室(高津区溝口1-18-16)
    第3土曜/NPO法人 川崎外出支援センター
        (多摩区宿河原1-20-12モモヤマハウス102号室)
  • 活動内容:
    アクリルたわし・ストラップなどの製作、販売(イベントで実演販売もしています)
  • 作業日:毎月第1水曜と第3土曜の2回 午前10時〜午後4時
  • 問合せ:ミニショップ アイメイト 代表 大漉純子 044-987-4146

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取材先

「ミニショップ アイメイト」

 
大漉 純子さん

取材者

写真 取材者

NPO法人ダンスラボラトリー
木村さん

ダンスラボラトリーは、障がいの有る無しに関わらず、ダンスを通してバリアのない社会の実現を目指しています。