このように終始楽しく笑いに満ちたしもさくサロンについて、開催されている民生委員児童委員の竹内敬二さんからお話を伺いました。
「しもさくサロン」について
しもさくサロンは、高齢者の孤立を防ぐために、楽しく交流を深められる場所を提供するということではじめた居場所づくりです。毎回、下作延第一町内会の町内会館で、隔月の年6回開催して、時間は14時~16時の2時間です。参加費はおひとり100円です。
下作延第一町内会のなかの福祉部に所属する、民生委員児童委員が運営しています。民生委員児童委員としても高齢者の見守りということが強く求められているので、この取り組みを始めることになりました。
プログラムは概ね、「1.健康のお話」、「2.ストレッチ」、「3.休憩」、「4.ゲーム」、「5.まったりクイズ」、「6.懇談」、「7.カラオケ」、「8.北国の春・歌と体操」です。最近では「ボッチャ」が人気で、よくやっています。そして、メインの「懇談」では、参加者をいくつかのグループに分けておしゃべりをしながら交流する時間を設けています。参加者の中では、ひとりで来られる方も多くいるのですが、この「懇談」の中から新たな交流が生まれているようです。
対象者については、下作延第一町内会エリアにお住いの65歳以上の方です。とは言え、参加したい人なら誰でも来ていただいて構いません。毎回の参加者数は、平均17名くらい。コロナ禍前は20人程度でしたが、コロナ禍後は少し減ってしまいました。周知してもう少し参加者数を増やしたいと思っています。
参加者への呼びかけ
参加者への呼びかけについては、町内会の回覧板と掲示板を活用しています。また、下作延第一町内会のホームページにもアップしています。ホームページにはお知らせだけでなく、毎回の報告もアップしています。 また、申し込みは電話で受け付けています。当日はお菓子を用意するので、事前に人数を把握するため事前受付を行っています。申し込みなしで来られる方もいるので、お菓子は少し多めで準備しています。余った場合は、クイズの賞品などに活用しています。
PRのためのチラシ。
毎回回覧板、町内会掲示板、町内会ホームページでお知らせしている。
開催のきっかけは、いこいの家が遠いため自分たちでやろうとなったことから
2018年からしもさくサロンが始まりました。そのきっかけは、川崎市では各地区の「いこいの家」で民生委員児童委員が中心となって、ひとり暮らし高齢者の会食会をやっていますが、下作延第一町内会エリアから最も近い「いこいの家」が歩いて行くには遠いこともあり、この地域からの参加者はほとんどいませんでした。そこで、当町内会にお住まいの高齢者が歩いて参加できる居場所を自分たちでつくろうと、町内会と福寿会の賛同を得てしもさくサロンを始めました。
立ち上げにあたっては、他の地区で行われている取組の見学に行き、参考にさせてもらいました。
毎回のプログラムを民生委員児童委員で作成
開催する1か月前にスタッフの民生委員児童委員で集まって、次の準備のための打ち合わせを行っていています。そこでクイズを考えたり、どんな歌を歌おうか考えます。毎回ゲームの内容や歌の選曲を考えることが大変で、歌については歌詞カードを作る作業も結構大変です。クイズの内容も、打ち合わせまでにみんなでクイズ案を考えてきて、「これは難しすぎるだろう」、逆に「簡単すぎるだろう」みたいな議論をやっています。
ただ、もう6年もやっているので、昔出したクイズや曲などを使いまわしすることもあります。企画がマンネリになることが課題だと思っています。
今回のしもさくサロンで出されたクイズ
課題はどのようにお誘いするか
参加者数の伸び悩みが課題です。特にひとり住まいや夫婦のみ世帯の高齢者には、このような場に来てもらうことが大事だと思っています。しかし、外になかなか出られない高齢者が多く、そのような人に出会って直接お誘いすることが難しくなっています。民生委員児童委員の役割のなかに、ひとり暮らし等の高齢者宅を訪問し、面談形式で健康状態や生活状態などの聞き取り調査がありました。そこでしもさくサロンのお誘いもしていました。しかし、コロナ禍になってから面談形式ではなく、調査票を郵送して書いてもらう形式になりました。このため、直接お誘いができない状態が続いています。やはり、直接お会いしてお誘いするのが効果的だと思います。
良かったことは、民生委員児童委員の存在を周知できたこと
地域として良かったことは、高齢者同士の交流が図れたことだと思います。地域の中で、あいさつがしあえる関係性になりました。
また、民生委員児童委員の存在を地域の人に知ってもらえたことが良かったと言えます。民生委員児童委員は、地域住民からあまり知られていなくて、知っていてもどのように相談したらよいのかわからないという人も多いようです。しもさくサロンを始めてから民生委員児童委員の認知度も上がったし、何気ない会話の中で悩みごとがポロっと出されたりしています。民生委員児童委員が「相談してください!」と言っても、なかなか相談しにくいことや何を相談したらよいかもわからないと思います。このため、普段の会話のなかから、困りごとや悩みごとがポロっと出てくる環境づくりが大事だと思います。
参加者にインタビューしました
女性の参加者の方は、「下作延第一町内会には行事がいろいろあり、親子運動会や盆踊り、お祭りなども参加すればそれなりに毎月地域のみなさんに会えるのですけど、歳を取ってきたこの頃は、このしもさくサロンのように、このような場所に集まって、お話を聞いたりゲームをしたり、歌を歌ったりというのが一番自分に合っていて楽しいです。お菓子を食べてお茶しておしゃべりをするのが本当に楽しい。だから二ヶ月に一度と言わず、もうちょっと頻繁にあればうれしいんですけどね。」と仰っていました。
ボッチャで優勝した男性の参加者の方は、「今回のボッチャチームは、しもさくサロンにコロナ禍前から参加している方と、久しぶりに参加された方の混成チームで楽しかった。しもさくサロンには、町内会の掲示板を見て申し込みをし、参加しました。久しぶりにみなさんにお会いして、やはりしもさくサロンは楽しいと感じました。この町内には長く住んでいますが、コロナ禍で外に出られなかった時も道端で会うこともあったけれど、やはりこういう場で会うのが良いなって思う。家がこの会場から近いので、杖をつくようになっても来るんだ。」と笑いながら仰っていました。
スタッフにもお話を伺いました
「コロナ禍前は参加者が20人超えることもありましたが、コロナ禍を経て少なくなってしまいました。今日は14人でしたけど、もっと人数が少なかったときはゲームをすることも大変でした。」
「毎回企画会議を行い、クイズや歌を決めたり配る資料の印刷をしたり、サロンのデコレーションの準備しています。また、地域包括支援センターとも調整を行います。2時間というなかでけっこう盛りだくさんですけど、お菓子やお茶を飲みながらの歓談も盛り上がっているのでとてもうれしいです。」
「今日はいつもより男性の参加者が多かったようで、みなさん顔なじみなのでちゃんと溶け込んで楽しんでいるようでした。喜んでいらっしゃる顔を見るのがうれしいです。」
「スタッフになったきっかけは、民生委員児童委員になったときに一緒にやろうと声掛けをされたことです。この地域で高齢者の居場所づくりを広めていきたいと思っていたので、声を掛けていただいたときはまさにこれだと思いました。できるだけこのような場を数多く作っていくことが私たち民生委員児童委員の使命だと思っています。」
「このサロンの自慢は、みなさんの笑顔と美味しいお菓子だと思っています!」
連携の種が生まれました
今回の取材のなかで「マイWay」と「しもさくサロン」の連携の種が生まれました。
マイWayには若年性認知症の利用者さんが通われてますが、常日頃から利用者のみなさんには社会的貢献ができる機会があると良いと思っています。そこで、マイWayと下作延第一町内会の町内会館はとても近い距離にあるので、しもさくサロンや地域にお住いの高齢者のみなさんへ何かお手伝いできると良いと思います。今後、どんなことができそうか、一緒に考えていきます。
福祉部 竹内 敬二さん、マイWay 渡辺 典子さん
取材を終えて
「しもさくサロン」さんの活動拠点である下作延第一町内会館は、私たち、マイWayの事業所から歩いてすぐの場所にあります。会館の2階に上がると、すでに賑やかな声が聞こえてきました。温かく迎えてくださり、自己紹介からクイズ、そして皆さんが楽しみにされている“ボッチャ”から、お待ちかねの懇談の時間は話も尽きず。あっという間の2時間でした。同じ町内に住む近所づきあい、というよりも、まるで「同窓会」のような雰囲気。参加された方の笑顔溢れるとても素敵な時間で、皆さんがこの会を楽しみにされているのが良く分かりました。 同じ町内で活動をしながら、これまでなかなか機会がありませんでしたが、この取材をきっかけに新たな交流が出来たら嬉しいなと思っています。有難うございました。
(特定非営利活動法人 マイWay 渡辺)
「しもさくサロン」のことをもっと知りたい
- 場所:川崎市高津区下作延6丁目17−1
- 利用日:1月、3月、5月、7月、9月、11月
- 定員:20名
- 問合せ:下作延第一町内会 福祉部
電話 090-2145-7953(竹内) - ホームページ: https://shimosaku1.com/(下作延第一町内会)