ハートリレー第39回 ママたちの強い味方! 地域に寄り添う温かな居場所
「みんなの保健室ネコノテ(梶ヶ谷)」

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 このように、地域に寄り添う温かな居場所を提供する「みんなの保健室ネコノテ(梶ヶ谷)」について、主催の日比 百合花さんからお話を伺いました。

地域に寄り添い、温かいつながりを育む取り組み

 主催の日比 百合花さんは、看護師として約5年間の臨床経験を積んだ後、デイサービスで約10年間勤務し、その後も介護関連業務や派遣看護師として活躍してきました。現在はフットケアサロンを運営し、フットケア指導士として地域の健康維持に貢献するとともに、認知症キャラバンメイトとしても活動を続けています。
 日比さんの活動を支える原動力は、人と繋がることやイベントを開催することが好きだということ。「最初にどのような活動があるのかを調べ、自分にできることを考えました」と語ります。また、地域活動への思いは、ご自身のご家族の経験から生まれました。母親が60代後半で前頭側頭型認知症と診断された時、ご近所の方々の見守りがとてもありがたく、「地域のちょっとした支え合い」の大切さを実感し、自分が暮らす街でも同じような場を展開したいと考えるようになり、みんなで少しずつ支え合える関係づくりや、つながりを育むことを目指すようになりました。
 そのため、「みんなの保健室」では認知症だけでなく、生活に関するあらゆる悩みを聞く機会を提供することを目指しており、地元の地域包括支援センターのスタッフも参加するなど支援の輪が拡大しています。実際に顔を合わせることで生まれる関係性はとても大切で、そうした場があるだけでも十分に価値があると考えています。

つながりが生んだ暮らしの保健室

 活動を始めた当初、「暮らしの保健室」や「認知症カフェ(コミュニティカフェ)」を開きたいという想いを胸に、行政へ相談し、研修を受け、さまざまな場を見学しました。そんな中、友人たちにも相談を重ねるうちに、素敵なご縁が生まれました。ご紹介いただいたのは、溝の口にあるおはぎ専門店「あんずき」さん。温かい雰囲気のこのお店で、「小さな暮らしの保健室」として「みんなのカフェ」を開設することができたのです。
 また、活動当初からInstagramを活用し、情報発信を続けていました。ある日、そこに「薬局ネコノテ」オープンの知らせが。気になって訪ねてみると、素敵な出会いが待っていました。薬局ネコノテでは単に薬を提供するだけでなく、地域の人々が気軽に集まり、心を落ち着かせることができる場をつくることを大切にしていました。そんな温かい場で活動の幅を広げていきたいと考え、キッズスペースを活用させていただけないか相談したところ、オーナーの温かいご厚意で実現することに!
 こうして生まれた場は、人と人とのつながりが紡ぎ出した、地域に根ざした居場所です。小さな輪が少しずつ広がり、誰もが安心して集える空間を育てていけたら——。そんな想いを大切にしながら、これからも活動を続けていきます。

安心して集える空間

リラックスして相談できる空間

薬局ネコノテオーナー・坂田江里奈さんの想い
薬だけに頼らない健康づくり 〜漢方と対話で支える薬局の挑戦〜

 「病気になったら薬を飲む」——それが当たり前の現代ですが、私はずっと疑問を抱いていました。薬を飲んでもなかなか治らない症状や、根本的な治療が必要なケースも多い。そんなとき、私は漢方の力に目を向けました。
 この気づきが、私が薬剤師として新たな道を切り拓くきっかけとなりました。国際中医師の資格を取得し、調剤薬局での業務に加え、漢方の知識を活かした健康相談にも取り組んでいます。
 また、単に薬を処方するだけでなく、人々が心から安心できる場をつくりたいという想いもありました。ちょっとした雑談が、心を癒やし、健康を支えることもあるのではないか——そんな想いから、私の薬局は「人が集い、気軽に話せる居場所」としての役割も大切にしています。
 さらに、看護師でありフットケア指導士でもある日比さんが月に一度来てくれることで、特別な悩みがなくても気軽に立ち寄れる場所になりました。「ちょっと話を聞いてもらいたい」「誰かとつながっていたい」——そんな気持ちを受け止める場として、誰もが気軽に立ち寄れ、安心して話せる場——そんな場所を目指しながら、これからも地域とともに歩んでいきたいと考えています。

薬局ネコノテ

薬局ネコノテ

ほっと一息つける場を、もっとたくさんの人に届けたい

 『この活動をしていると、「楽しいなぁ」「癒やされるなぁ」と感じることがたくさんあります』と語る日比さん。訪れたママさんたちがホッとひと息つきながら、自分を大切にする時間を過ごしてくれることが何より嬉しく思います。ですが、この素敵なひとときをもっと多くの方に届けるには、より効果的な発信方法が必要だと感じています。今は、訪れてくれるママさんとのご縁に支えられていますが、「情報が届きにくい方」にも知ってもらえるように発信を工夫していきたいと考えています。
 この活動は、私だけでなく、薬局の薬剤師、一緒に活動してくれている地域包括支援センターのスタッフ、その他、参加してくれているみんなが社会的処方のリンクワーカーとしてそれぞれのスキルやできることを持ち寄って、支え合いながら成り立っています。みんなそれぞれのペースで、無理なく関わりながら、温かい輪が広がっていくのを感じられるのが嬉しいところ。
 「自分自身も楽しみながら、孤立する人を一人でも減らしたい。そして、誰もが支え合える地域をつくっていきたい」——日比さんの温かな想いが、今日も地域に広がっています。

取材を終えて 「みんなの保健室ネコノテ(梶ヶ谷)」で感じたこと
今回取材を担当した、「しもさくサロン」竹内 敬二さんよりメッセージ

 取材が終わりそうな頃、お母さんと赤ちゃんが入ってきて「私、日比さんとネコノテさんに助けられたんです。」と涙ながらにお話をされて、それを聞いている日比さんももらい泣きして、私もつい涙が出そうになりました。初めての出産と育児で不安を抱えたお母さんたちを、温かく見守り手助けする素晴らしい人たちと素敵な場所がここ梶ヶ谷にありました。とても心温まる取材でした。有難うございました。

日比 百合花さん、竹内 敬二さん

日比 百合花さん、竹内 敬二さん

「みんなの保健室ネコノテ(梶ヶ谷)」のことをもっと知りたい

  • 場所:神奈川県川崎市高津区末長1-23-25 坂田ビル2階(薬局・サロン ネコノテ内)
  • 開催日:毎月第一金曜日 12時~16時
       ・開催日の時間内にお立ち寄りください。
       ・予約不要(確実にお話し希望の場合にはご予約をお願いしています)
  • 問合せ:070-8514-1517(日比)

                 
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取材先

「みんなの保健室ネコノテ(梶ヶ谷)」

 
日比 百合花さん

取材者

写真 取材者

しもさくサロン
竹内 敬二さん

下作延第一町内会で高齢者の孤立を防ぎ、楽しく交流を深められる場所を提供する「しもさくサロン」を開催しています。