ハートリレー第40回 手話でつながる新しい世界 学びの喜びと広がるコミュニティ~「手話サークル さくらんぼ」~

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 たかつハートリレー第40回で紹介するのは、北部身体障害者福祉会館で手話を学んでいる「手話サークル さくらんぼ」の紹介です。

手話を学ぶきっかけはさまざま 広がるつながりの輪

 取材に伺った日はレベル別に4つのグループにわかれ手話を学習していました。参加者に手話を学びはじめたきっかけや、参加して良かったことなどを伺いました。
 手話に興味を持ち、学び始めるきっかけは人それぞれですが、共通しているのは「手話を通じてろう者とコミュニケーションをとりたい」という思いです。
 例えば、オンライン講座で手話を学んでいた際に、「手話サークル さくらんぼ」の存在を知り、参加を決めた方がいます。また、職場に手話を使う方がおり、「手話で会話してみたい」と思ったことがきっかけとなった方もいます。
 幼少期にテレビドラマで聴覚障害者の主人公を見た経験が心に残り、大人になってから手話を学び始めた方もいます。NHKの番組や福祉施設の講座を通じて「独学ではなく、実際に手話を使う場で学ぶことが大切だ」と感じ、サークルに参加した方も少なくありません。
 医療関係の仕事をしていた際に患者さんから手話を勧められたことがきっかけになった方、家族の病気を機に「声を使わないコミュニケーションの大切さ」を実感し、学び始めた方もいます。さらには、電車内でろう者が手話で会話をしている姿を見て、その美しい動きに惹かれたことが学びの一歩となった方もいます。
 このように、手話を学び始めるきっかけはさまざまですが、学び続ける理由は共通しています。それは「手話を学ぶことで、より多くの人とつながれる」という実感です。

初心者コース

初心者コース

初心者コースでは手の動かし方から単語の意味などを学ぶ

手話を学ぶ魅力とポイント

 手話サークルに参加する最大の魅力は「生きた手話を学べること」です。本や動画では得られない、実際の会話の中で使われる表現や、表情・身振り手振りを通じたコミュニケーションの大切さを実感できます。特に「手話サークル さくらんぼ」では、ろう者の会員が多く、さまざまな手話表現に触れられるのが大きなメリットです。
 また、手話は地域や個人によって表現方法が異なります。最初は戸惑うこともありますが、交流を重ねるうちに違いを理解し、その多様性を楽しめるようになります。
 手話は単なる言語ではなく、豊かな表情やジェスチャーを伴うものです。ろう者は顔の表情や体の動きを使って気持ちを伝えるため、手話を学ぶことで、相手に伝わる表現力が磨かれます。これは、日常のコミュニケーション力の向上にもつながります。
 さらに、手話を学ぶことで、ろう者の生活や社会で直面する課題への理解が深まります。例えば、マスクを着用すると口の動きが読めず、簡単な会話も困難になることがあります。こうしたエピソードを知ることで、「知ることで優しくなれる」という意識が芽生え、共生社会の実現につながるのではないでしょうか。

中級クラス

中級クラス

中級クラス

中級クラス

中上級者コースではニュースの記事などを用いて伝えるための表現力を高める

手話を学ぶ喜び

 手話を学んで最も嬉しい瞬間は「伝わった!」と実感できたとき。最初は戸惑うこともありますが、ろう者と直接交流する中で、少しずつ自分の手話が通じるようになります。その瞬間の喜びは、学び続ける大きなモチベーションになります。
 また、手話は表情や身振りを通じて感情がダイレクトに伝わるため、会話の中で「心が通じ合う」感覚があります。さらに、さまざまなろう者と交流することで、異なる表現方法を知る楽しさもあります。
 手話を学ぶことで、ろう者の文化や生活への理解が深まり、「少しでも役に立ちたい」「もっと知りたい」という気持ちが自然と生まれます。そして、サークルでの交流を通じて仲間との絆が深まり、手話を学ぶ楽しさがますます広がります。

手話を学ぶ中での苦労 乗り越えることで広がる世界

 手話を学ぶ中で直面する課題もあります。特に難しいのは「人によって表現が異なること」です。本で学んだ手話が、実際の会話では違うと指摘されることもあります。手話には地域や個人による違いがあり、一つの単語にも複数の表現方法があるため、覚えるのに苦労することもあります。
 また、ろう者同士の手話のスピードについていくのも最初は大変です。ゆっくりした動作であれば理解できても、自然なスピードでは手の動きが速く、読み取れないことが多々あります。そのため、実際の会話の場数を踏むことが大切です。
 日常生活の中で手話を使う機会が限られていることも課題です。サークルの時間以外ではなかなか手話を使えず、せっかく覚えたことを忘れてしまうこともあります。しかし、間違いを恐れず積極的に手話を使うことで、少しずつ上達していきます。

【聴覚障害者標識・耳マークについて】

・聴覚障害者標識

聴覚障害者標識平成20年6月1日から、聴覚に障害のある方が、普通自動車の運転免許を取得できることになりました。この標識を付けた自動車は、聴覚に障害のある方が運転しています。ご理解と心くばりをお願いします。
詳しくは警察庁Webサイトをご参照ください。
https://www.npa.go.jp/koutsuu/menkyo20/tyoukaku.htm


・耳マーク Ear symbol

聴覚障害者標識聞こえが不自由なことを表すと同時に、聞こえない人・聞こえにくい人への配慮を表すマークです。
詳しくは一般社団法人 全日本難聴者・中途失聴者団体連合会Webサイトをご参照ください。
https://www.zennancho.or.jp/mimimark/mimimark/

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取材先

「手話サークル さくらんぼ」

 
玉村 しのぶさん

取材者

写真 取材者

みんなの保健室ネコノテ
(梶ヶ谷) 日比 百合花さん

地域の皆さまが健康や暮らし、介護、福祉、子育てなど、さまざまな相談を気軽に行える場を提供しています。