このように、参加者が生き生きと楽しみながら手話を学んでいる「手話サークル さくらんぼ」について、代表の玉村しのぶさんからお話を伺いました。
「手話サークル さくらんぼ」について
「手話サークル さくらんぼ」では、聴覚に障がいのある方も、そうでない方も、一緒に楽しく手話を学んでいます。手話は、単なるコミュニケーション手段ではなく、表情や身振りを通じて気持ちを伝え合う温かい言語です。「伝えたい」「知りたい」という気持ちがあれば、手話はどなたでも学ぶことができます。
サークルでは、ろう者が直接指導してくださるため、実践的な手話を学ぶことができます。はじめは戸惑うこともあるかもしれませんが、参加者同士で助け合いながら、楽しく学べる環境が整っています。
また、毎月開催される交流会では、実際に手話を使いながら、さまざまなテーマで話し合ったり、外出行事を開催することもあります。手話を学ぶことを通じて、新しい仲間と出会い、理解を深めることができるのも大きな魅力です。
残念ながら「手話サークル さくらんぼ」は常に満員状態のため、手話に興味のある方、地域のコミュニケーションの輪を広げたい方は、夜のサークルくろーばーの会もあります。いかがですか? 手話を学ぶことで、新しい世界が広がるかもしれません。皆さまのご参加を心よりお待ちしています。
手話は顔の表情も重要。コロナ禍で口元が見える透明マスクを導入した。
ろう者よりメッセージ 手話でつながる心の架け橋
手話はろう者にとって母語であり、第一言語です。上手・下手は関係なく、気長に学んでくれることが何より嬉しいです。手話を覚えようと努力してくれる気持ちが、私たちにとって大きな喜びです。
「手話サークル さくらんぼ」に参加して30年になりますが、多くの方が手話を学び続け、上達していく姿を見るのはとても嬉しいことです。最初はぎこちなくても、続けることで自然と手話が身につき、表現する楽しさを感じるようになるはずです。
手話には地域や個人による違いがあります。だからこそ、いろいろなろう者と交流しながら学ぶことが大切です。「手話サークル さくらんぼ」には多くのろう者がいるので、それぞれの手話に触れながら、自分に合った表現を見つけることができます。
手話を学ぶことは、ろう者との架け橋となるだけでなく、社会全体の多様性を理解することにもつながります。これからも、手話を通じて多くの人とつながり、一緒に学び合っていきたいと思います。
取材を終えて 「手話サークル さくらんぼ」で感じたこと
今回取材を担当した、みんなの保健室ネコノテ(梶ヶ谷)日比百合花さんよりメッセージ
指導担当のろう者や受講生の皆さんが、生き生きと活動している姿がとても印象的でした。参加者の熱量が伝わり、活気にあふれた素敵な場だと感じました。
このサークルでは、ろう者と健聴者が共に学びながら、手話で「伝えよう」「理解しよう」と工夫を重ねています。その気持ちがお互いに通じ合い、温かいコミュニケーションが生まれていると感じました。
普段、私たちが話す言葉も「伝わること」が何より大切ですが、手話も同じく大事なコミュニケーションの手段です。伝えること、理解しようとすることの大切さを、改めて実感しました。
特に、手話では表情が重要な役割を果たしていることに気づきました。認知症ケアにおいても、表情を使って気持ちを伝えることは欠かせません。手話で会話をしている皆さんの豊かな表情を見て、その表現力の大切さを改めて感じました。
また、「手話サークル さくらんぼ」が多くの人に支持され、長く続けている人が多いことも印象的でした。手話の上手・下手ではなく、気軽に学びながら継続できる環境が整っていることが、このサークルの魅力なのだと納得しました。
さらに、手話の単語一つをとっても、人によって表現方法が異なる点も興味深かったです。そのため、多くのろう者と触れ合うことで、多様な表現を学べるのだと感じました。
障がいの有無に関係なく、皆が一緒に時間を共有し、過ごせることの素晴らしさを実感しました。そして、私が携わっている認知症ケアでも、手話の要素を取り入れられるのではないかと考えました。例えば、9月の「認知症月間(世界アルツハイマー月間)」(認知症啓発活動)では、手話を使った歌や踊りを行う機会があります。フラダンスのように、手の動きに一つひとつ意味があるものは、手話と共通する部分があります。こうした活動を通じて、手話と認知症ケアの接点を作り、お互いの交流のきっかけになればと思います。
玉村代表より
歌の手話はやったことがあります! 音が聞こえないため、面白くないと感じるろう者もいますが、最近の若い世代は目で見えるリズムや身体で感じる振動を楽しみ、ダンスをしている人もいます。
落語が得意なろう者もいます。手話で見る落語は非常にわかりやすく、話の内容を知らなくても、また手話がわからなくても理解できる点が興味深いです。
また、手話による能や狂言、さらにはスポーツの世界でも多くのろう者が活躍しています。今後もさまざまな交流を通じて、多様なコミュニケーション方法を普及させていきたいと考えています。
玉村しのぶさん(左)と日比百合花さん
「手話サークル さくらんぼ」のことをもっと知りたい
- 場所:神奈川県川崎市高津区溝口1-18-16(川崎市北部身体障害者福祉会館)
- 開催日:毎週火曜日の午前10時から正午まで
- 定員:75名
(常に満員のためキャンセル待ち。同じ施設で、手話サークル「クローバーの会」が毎週火曜日の18時30分から20時30分まで活動しており、こちらはいつでも見学、参加可能。) - 問合せ:北部身体障害者福祉会館内
電話 044-811-6631