ハートリレー第8回 拡大写本を弱視のみなさんへ「ルーペの会」

3分の3ページ目

「何かできないかな」という思いがきっかけに

 メンバーのみなさんに活動を始めたきっかけを聞いてみました。

 「何か私にもできないかなと思っていたら、この会の講習会を紹介されたんです。」「ここに来なかったら、今頃家で一日中テレビを見ていたかも。」「字が書ける人なら誰でも活動できますって聞いて参加してみました。それがこんなに奥の深い世界だったなんてね」と明るく笑い冗談を言い合う姿から、様々なノウハウや工夫を重ねながら身につけ、成果を形にしてきたやりがいと喜びが伝わってきました。

 ルーペの会では拡大写本の講習会を行っています。講習が終わったばかりのメンバーにも、先輩が丁寧に作業の仕方を教えます。一つのものをチームワークで作り上げる過程で、強い信頼感と連帯感が生まれていくのですね。文字を書くことが得意な方、資料の整理に長けている方、パソコンが得意な方、それぞれに欠かせない存在として活躍しているそうです。

 拡大教科書を必要としている子どもたち全員に教科書を届けたいという思いで活動していますが、担い手が足りないという悩みもあるそうです。経験の積み重ねが大切な拡大写本ですが「一人でも多くの方に関心を持っていただいて、参加していただけたら。」と話していらっしゃいました。

写真 文庫本の拡大写本、多くの人に読んでほしい

毎日が勉強なんですよと笑顔で

写真 製本まで全てが丁寧な手作業

今年の講習を受けて活動をはじめました

共通の思いは「本を通じて自分の世界を広げてほしい」

 私たち「おはなしの森」は、子どもたちの前で読み聞かせをするため、反応はその場で伝わってきます。ルーペの会は、心を込めて作り上げた教科書を子どもたちに届け、それが子どもたちを支えていく。そんな伝え方の違いこそあるものの、共通しているのは、子どもたちへの思いと愛情です。本と出会うことで、そこから何かを得てほしい、自分の世界をどんどん広げていってほしい。そのお手伝いができればという思いは、私たちにとっても切なる願いで、とても共感しました。また、活動しながら、繰り返し勉強していくことの大切さや、チームワークも共通していると思います。

 これまで知らなかった拡大写本の世界。拡大写本が必要な人がいたら、ぜひルーペの会を紹介したいなと思いました。ルーペの会さんとは活動場所も近く、これから何か協力していけるかもしれませんね。今後の交流に期待をふくらませています。

写真 左から志村さん、横山さん、川原さん。心を込めた拡大教科書を手に

左から志村さん、横山さん、川原さん。心を込めた拡大教科書を手に

「ルーペの会」のことをもっと知りたい!

  • 川崎市北部身体障害者福祉会館にて毎週金曜日、午後1時30分~3時30分に活動しています。
  • 弱視者、高齢者に向けた拡大写本を作っています。
  • 会員は年1回行う拡大写本講習会の受講修了者を中心にしていますが、途中入会も大歓迎です。
  • その他、視力障害者福祉協会の行事などに協力しています。
  • 拡大写本について知りたい方はお気軽にご相談ください。
以下、ページ移動用ナビゲーション
  1. << 前のページへ
  2. 1
  3. 2
  4. 3

取材先

ルーペの会

代表
横山サチ子さん
連絡先
北部身体障害者福祉会館
電話
044-811-6631
(金曜日 午後1時30分~3時30分)

取材者

写真 取材者

おはなしの森
伊藤さん(左)須加さん(右)

パークシティ溝の口自治会の集会室を拠点に月1回、第3土曜日におはなし会(絵本の読み聞かせ)を行っています。自治会会員に限らず、近隣住民にも無料で開放しています。また、第1木曜と第3土曜には、絵本の貸出しも行っています。