たかつハートリレー第11回でご紹介するのは、「点字サークル 芽の字会」さんです。点訳活動を中心に、視覚障害者団体への参加・協力、小中学校での点字体験授業の協力などを行っています。
点訳を通して 依頼者の暮らしを支えたい
カタカタカタカタ…、機械の音が響き渡る廊下を抜けて、会場に入ると賑やかな話し合いの声。40名ほどが6つのテーブルに分かれて、それぞれ作業をしています。編集社のようでもあり、町工場のよう…。点字のことをよく知らない私たち、「点字サークル 芽の字会」さんは、どんな活動をされているのでしょうか?
「点字サークル 芽の字会」では、視覚障害者の方のために、文字で書かれた文章を点字に翻訳する「点訳」を中心に活動を行っています。利用者からの依頼を受けて、書籍、各種資料、料理レシピ、時刻表など、幅広い内容の点訳を行っています。
入会年数ごとのテーブルに分かれて作業
点訳は相談を密に進めます。会場のあちこちで相談の輪ができています
文庫本を囲んで点訳前に規則を再確認
道具の手入れをしながらも、笑顔がはじけます
パソコンで点訳したデータを印刷へ…
廊下で音を立てていたのは、点字のプリンターでした
聞けば、書籍1冊の点訳を行うのに、半年から1年近くもかかるそうです。
リクエストなどを受けてなにを点訳するか決定してから、書籍なら数人で分担して点訳に取り組みます。月2回の定例会では、点訳に関する打ち合わせがほとんど。担当者で相談と点訳の規則の勉強を重ねます。固有名詞などの「読み」を調べ、担当者間で統一する下調べの作業も、時間がかかる作業です。実際の点字を打つ作業は、自宅でコツコツと時間をかけて進めます。なんども点訳規則を再確認しながら校正、さらにまた校正と繰り返し、やっと完成したものを製本。依頼者に発送するところまでを行っているそうです。
会として設立から30年間守っていることは、「信頼を失わない」こと。読む人の立場に立って、心を込めて正確に…手間ひまのかかる責任ある活動に、心を打たれました。
取材者の私たちも点訳体験!点訳規則の奥深さを感じました
細かく根気のいる作業にびっくり
入会したばかりの30期生のグループに1期生が入って点字を読む練習をサポート
点字はすべて仮名表記なので、読みやすくするための規則がたくさんあり、ベテランでも悩みながら勉強の連続。それだけにボランティアの養成には長い期間が必要です。今はパソコンで点字を入力し、プリンターで打ち出す方法が主流ですが、校正は点字を読まなければならない。だから、入会すると自分の手で点字を打つことから始めています。
専門性が高い点訳だからこそ、経験にあわせて仲間と切磋琢磨、フォローし合って取り組んでいるのですね。