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エコシティたかつ


「たかつ水と緑の探検隊」調査・作業日の記録


1  オリエンテーション

探検隊の概要説明(岸先生)
オリエンテーション
 今皆さんが立っているのは、下末吉台地の上である。
 本日は、その大地を刻む谷を巡り、その斜面の森の状態をご覧いただきたい。 みなさんと共に、適正な水循環及び生物多様性の危機と再生について一緒に考えいきたい。

2  調査

全員で森の環境状態等を確認
全員で歩道を確認1
全員で歩道を確認2
<岸先生の解説>
歩道の観察

 歩道の傾斜に育っている樹木は、シラカシ、シュロやアオキ、シロダモといった常緑樹が多く見られていて、冬でも地面に太陽の光が当たらない現状である。 下層植物が育たず、落葉樹もないため、葉っぱで土が覆われることもなく、そのまま土が流されてしまっているところもある。
 また、寒さに強いシラカシが本来ならば多く見られるはずであるが、温暖化の影響で、 常緑樹のシュロやアオキ、シロダモが増えている。 管理としては、シュロやアオキ、シロダモを伐採すれば太陽の光が差し込むようになる。 なお、クヌギのような落葉樹を一緒に植えることが好ましい。

 

谷戸の観察
 降った雨が集まってくる小さな谷をこのあたりの地域では 「谷戸」と呼んでいる。
 緑ヶ丘霊園のお墓のあるところは、昔、田んぼであった。 谷の斜面から水が染み出すころがあり、それを「絞り水」とこの地域では呼んでおり、 その絞り水を集めて田んぼに水を張っていた。

 我々の日常生活にガスが普及する以前は、木の直径が20㎝くらいになったら、 「薪屋」と呼ばれた専門家が伐採を行っていたため、現在のような太い木はほとんどなくクヌギやシイ、 細いササが広がっている雑木林になっていた。 木を切った後もドングリが落ちているため、15年くらいで成長して直径20㎝くらいの木になる。 木が育っている間は、芝刈り(小さな枝などを刈り取ること)をして、薪を集めていた。 生きものは明るい場所に集まってくるので、このサイクルによって生物多様性が守られていた。

 現在は、スギやヒノキを切っても売れずに、費用ばかりがかかるので誰も切らずに放置されており、台風や大雪で倒れたままになっている。
木を切って、冬は明るくて夏は涼しい雑木林を作ることができれば、生きものが賑わい、 地域の子供たちがすばらしい自然体験を行うことができる緑に再生できるだろう。

谷戸の観察1 谷戸の観察2

 

遊水地の生きもの調査
 あらかじめスタッフが見つけた池に住む生きものの観察
 
【見つけた生きもの】
  • アメリカザリガニ
  • ヨコエビ
  • ヌマエビ
  • ミズムシ
  • アカムシ

 湧水とは、雨水が地下に浸み込み土の中を流れて湧き出た地下水である。 この池はその湧水を利用したものである。 例えば、カワニナが繁殖して、ホタルを呼ぶことができるような池にするためには、アメリカザリガニを駆除する必要がある。
遊水地の観察1 遊水地の観察2

2  作業

トキワツユクサの駆除作業
 全員で、トキワツユクサの駆除を行った。
 現在、日本各地で「トキワツユクサ」が増えており、要注意外来植物に指定されている。 湿気の多い日陰に適する種であり、雪や霜が苦手なため根雪になる豪雪地帯ではあまり見かけられない。 今年は、高津区でも雪が降り、トキワツユクサも枯れたと思われたが、長い期間雪が残ることがなかったため、 元気はなくなっていたが、枯れることがなかった。

トキワツユクサは、折れた切れ端からまた根が出て新たな株として再生するため、 駆除の際は根から丸ごと取り、葉や茎の切れ端を残さないように細心の注意が必要である。 抜き取ったものは、黒い袋などに入れて光合成を遮断して長時間かけて腐らせるか、焼却処分をしなければ根絶できない。

 

作業前作業後

3  まとめ

参加者からの質問
 質問:トキワツユクサの何が困るのか?
 回答:繁殖力が強く、在来種が駆逐されてしまう恐れがある。

 質問:いつ頃来たのか?
 回答:それは、分からないが、花が綺麗なため園芸種として好まれるため、いつの間にか広まってしまった。

参加者による感想
 ・今までよく名前が分からなかったアオキ、シロダモなどの植物について理解が深まったので、覚えて帰りたい。
 ・外来生物を退治するのが、こんなにも大変だとは思わなかった。
 ・友人が茅ヶ崎公園の管理作業に携わっているが、そこは野の花がすばらしくきれいで、この緑ヶ丘霊園もそんな風になったらいいなと思う。

岸先生によるまとめ
 谷戸(小流域)の管理を間違えると、土が流れ落ち、治水といった面での課題が生じる。 最初に確認した坂道では、それが確認できた。次に確認した下の谷戸では、杉が大きくなっていたが、伐採しておらず、保水力が落ちつつあった。 今日の体験を通じて、谷戸の健康状態を少し気にしていただけるようになったと思う。
 それぞれの谷戸の生物多様性、水循環、防災、といった谷戸の健康の維持管理は、「エコシティたかつ」の目標である。
さらに、遊水地の現状確認も行った。皆さんは、ホタルを呼ぶ遊水地にするなど、楽しい将来イメージをされたと思う。 今後は、そういったイメージを、様々な谷戸でしていただき、それが「エコシティたかつ」と繋がるとよいと思う。
 ここは、すばらしい谷戸が多くある。今後も、活動をしていきたいと思う。
意見交換

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