国史跡橘樹官衙遺跡群

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2018年5月11日

国史跡橘樹官衙遺跡群とは

 国史跡橘樹官衙遺跡群(くにしせき たちばなかんがいせきぐん)は、武蔵国橘樹郡の役所跡である橘樹郡家[郡衙]跡(千年伊勢山台遺跡)と、その西側に隣接して造営された古代の寺院跡である影向寺遺跡から構成される古代官衙の遺跡です。

 橘樹官衙遺跡群は、地方官衙の成立から廃絶に至るまでの経過をたどることのできる貴重な遺跡で、その成立の背景や構造の変化の過程が分かり、7世紀から10世紀の官衙の実態とその推移を知るうえで重要であるとして、平成27(2015)年3月10日に川崎市初の国史跡に指定されました。

橘樹郡家[郡衙]跡 (千年伊勢山台遺跡)

 千年伊勢山台遺跡は高津区千年の丘陵上に営まれた縄文時代から中世にかけての複合遺跡です。このうち、古代橘樹郡の役所にかかわる遺跡を「橘樹郡家(郡衙)跡」といいます。

 郡家(ぐうけ)とは、古代の律令制度下でおかれた郡において、郡司(ぐんじ)以下の官人が政務をとった役所のことです(考古学の用語としては、郡家のことを郡衙と呼ぶこともあります)。郡家には、郡庁(ぐんちょう)・正倉(しょうそう)・館(たち)・厨家(くりや)などが設けられました。

 このうち、郡庁は郡の政務をとる庁舎、正倉は税として納められた頴稲(えいとう=穂首刈りをした稲穂)などを納める倉庫群で、溝や塀で区画された場合は正倉院(しょうそういん)と呼びます。館は宿泊施設、厨家は郡家で行われる給食や饗宴のための厨房で、その他に手工業生産のための工房や祭祀場などがおかれました。

整然と並ぶ総柱式建物

 橘樹郡家跡も、このような施設からなっていると考えられますが、現在のところ確実に判明している施設は、租税を納める倉庫が並んでいた正倉院のみです。
 橘樹郡家跡では、最も広い部分で東西約210m、南北約160mの東西南北を区画する溝の一部が確認されています。
 また、正倉院の西側には、さらに郡家に関連すると考えられる大型建物群が広がっていることが分かってきました。

成果をいち早くお知らせする現地見学会

 橘樹郡家跡の確認調査で発見された正倉院内部の建物跡は、建物の主軸方向がほぼ東西南北に沿っているグループと、建物の主軸方位がやや西側に振れているグループが存在しています。
 この違いは建物が建てられた時期の違いと考えられています。これらのグループの中でも建物どうしの重なりや規模などから、さらに新旧が分かれ、現在では7世紀後葉から9世紀後葉まで4時期の変遷を想定できます。

橘樹郡家跡の遺構配置

影向寺遺跡

 影向寺は、寺の縁起では天平年間の創建とされていますが、境内及び周辺での発掘調査の成果から、創建は7世紀終わりごろであることが明らかになりました。これは、橘樹郡家跡で確認された古い時期の建物群とほぼ同時期にあたり、古代影向寺の創建と古い段階(評)の役所の造営に関連があったことが推測されます。この古代寺院の遺跡を影向寺遺跡と呼んでいます。

古代の塔芯礎と考えられる影向石

 現在の影向寺は古代に創建されたころの伽藍は失われていますが、発掘調査の成果から7世紀の終わりごろに、現在の薬師堂とほぼ同じ場所に瓦葺の金堂が創建されたのが始まりと考えられます。
 境内からは「旡射志国荏原評(むさしこくえばらこおり)」や「都」とへら書きされた瓦が出土しており、古代影向寺の造営や修理にあたっては、隣接する荏原郡や都筑郡からの支援があったことが推測されます。
 また、8世紀に入り塔が整備されたあと、金堂の再建が行われたようです。再建された金堂の補修にあたっては、武蔵国府が管理する南多摩窯跡群で生産された瓦が利用されました。これらのことから、影向寺が橘樹郡だけではなく、武蔵国府が補修などに関わるような、南武蔵国の中心的な寺院であったことが想像されます。

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保存活用の取組

(指定まで)

(指定後)国史跡橘樹官衙遺跡群保存活用計画の策定(平成30年2月)

 現在、国史跡橘樹官衙遺跡群を将来にわたり保存し、史跡の価値と魅力を広く伝えていくため、史跡の適切な保存管理、活用、整備、管理運営体制等についての基本的な指針と、個別の取扱のための基準を定めるための保存活用計画を策定しました。

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  • 現在の進行状況

    国史跡橘樹官衙遺跡群保存活用計画の策定の状況について、パブリックコメントの実施状況等をお知らせしています。

国史跡橘樹官衙遺跡群整備基本計画の策定について

 『国史跡橘樹官衙遺跡群保存活用計画』を踏まえ、整備の具体的な取組や方の考え方と内容を示す計画の策定を進めています。

活用事業

詳しく知るために-刊行物のご案内-

川崎市遺跡リーフレット(1)「国指定史跡橘樹官衙遺跡群」

国史跡橘樹官衙遺跡群について、わかりやすく解説するリーフレットです。(無料)

たちばな遺跡マップ2015 古代川崎発見

 遺跡の範囲が地図に落とされた解説付き探訪マップ(無料)。

国史跡橘樹官衙遺跡群総括報告書(2014年刊)

川崎市埋蔵文化財調査報告書第8集。橘樹官衙遺跡群の総括報告書[古代編](有料頒布)。

橘樹官衙遺跡群保存活用事業 史跡めぐり

 橘樹官衙遺跡群やその周辺の文化財を、専門職員の案内で巡ります。

★★次回の史跡めぐりを平成30年6月16日(土)に実施します★★

応募申込は5月21日から5月30日までです。

詳しい案内・申込はコチラからリンクサイトへ

過去の史跡めぐり開催について

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