上部消化管内視鏡検査(手技・治療)
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検査内容
1.Helicobacter pylori感染のチェック
胃炎や消化性潰瘍(胃・十二指腸潰瘍)の原因としてHelicobacter pylori(以下ピロリ菌)が重要な役割を果たしていることが明らかとなっています。胃潰瘍患者の65から80%、十二指腸潰瘍の90%以上にこの菌が証明されており、除菌が潰瘍の治癒や再発の防止に重要です。また、ピロリ菌の感染は胃癌発症と関連があることが分かっています。ピロリ菌感染のチェックには内視鏡を使用する方法と使用しない検査方法がありますが、ほとんどの場合には内視鏡検査の所見によってその場でチェックを行うことができます。除菌の適応・方法については外来で相談させていただきます。ただし、感染チェックの適応は、検査医が判断します。

2.色素内視鏡
早期癌診断に重要な検査です。通常の内視鏡観察後にチューブを使って食道や胃に特殊な色素を散布します。食道癌ではヨード(ルゴール)を使うことが多く、胃癌ではインジゴカルミンという色素を使います。食道癌のスクリーニング検査としてヨード染色は必須の検査です。また、色素内視鏡により病変の広がりや深さを評価し治療法の選択も行います。色素散布は人体への影響はないと考えられています。ヨードで胸やけを生じることもありますが自然に軽快します。また、ヨード散布後にはデトキソールを散布し中和しています。

3.拡大内視鏡
通常の内視鏡検査に引き続き、内視鏡の手元についたレバーを操作しモニター上に病変部位を通常観察の85倍まで拡大して観察することができます。この拡大内視鏡による病変の表面構造や血管像の詳細な観察は、早期食道癌や早期胃癌の診断と治療法の選択に欠かせない検査となってきています。

4.Narrow Band Imaging(NBI)内視鏡観察
NBIは通常の可視光域全体から、フィルターを用いて青(415nm)と緑(550nm)の二つの狭帯域光を照射し観察する新しい検査法です。当院でもこのNBIが可能な内視鏡装置を用いて検査を行っています。NBIは咽喉頭や食道癌のスクリーニングにヨード染色法と同様に適しています。このNBIを用いた拡大内視鏡観察は、早期食道癌・早期胃癌の診断・治療にきわめて有用な検査手技で、また、通常の内視鏡検査に引き続いて行うことが可能で患者さんの負担が軽い検査です。

5.早期食道癌・早期胃癌の内視鏡的治療
内視鏡検査により消化管の早期癌が多く発見されるようになりました。各種の癌治療ガイドラインにも示されているように、転移の可能性がきわめて低い病変に対しては内視鏡的治療が根治療法として施行されています。この治療法は通常の手術に比較し体に対する負担が少なく、食道や胃を切除せず消化管の機能が温存されるというメリットがあります。従来の内視鏡的粘膜切除術(EMR)に比較し、近年、開発された内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は広い病変の切除も可能で、当院では病変の大きさなどにより使い分けています。

6.内視鏡的粘膜切除術(EMR)・内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
早期食道癌や早期胃癌に対して行う内視鏡的治療です。通常は粘膜内にとどまっている浅い病変が対象です。EMRは比較的小さい病変に行います。内視鏡を挿入し病変の直下に薬液を局注しスネアなどを用いて切除する方法です。ESDはEMRで一括切除できないような大きめの病変に対して行います。内視鏡観察後に病変の周囲にマーキングを行い局注後に専用のナイフで病変の周囲粘膜を全周切開します。そして病変の下の粘膜下層を慎重に剥離し切除していきます。出血や穿孔などの偶発症の危険性や術後の食事指導が必要となりますので入院にて行います。
7.上部消化管出血に対する内視鏡的治療
食道や胃・十二指腸からの大量出血(吐血、下血)は血圧低下や脈拍の増加をきたし、時に意識混濁などを生じショックといわれる危険な状態になることがあります。原因としては食道静脈瘤や胃・十二指腸潰瘍、癌などが挙げられます。救命処置を必要とすることが多く、原因検索と治療(止血)のために緊急内視鏡検査を行います。当内視鏡センターでは24時間体制で消化管出血に対する緊急内視鏡治療に対応しています。内視鏡的に止血できない時には、血管造影による血管塞栓術(IVR)や手術的に対処することもあります。
8.内視鏡的止血術・内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)・内視鏡的硬化療法(EIS)
消化管出血に対する緊急内視鏡検査で出血部位を確認します。引き続き止血術を行いますが、止血方法としては内視鏡クリップを用いる方法や出血部位に薬液(エタノールや20%グルコース+ボスミンなど)を注入し止血する方法などがあります。出血部位や程度に応じてそれぞれの方法を選択したり、または組み合わせたりして治療しています。食道静脈瘤に対しては出血する危険性が高いと考えられるときには、静脈瘤の病態を検査した後に内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)や内視鏡的硬化療法(EIS)を行っています。

9.上部消化管狭窄に対する拡張術
食道や胃に狭い部分が生じると食事が通りづらくなりつかえ感を生じます。さらに狭窄が進むと飲み込みが困難になり、食べた物を吐いたりします。原因として食道癌や胃癌、また手術後の吻合部狭窄などがあります。このような患者さんに対して内視鏡下に風船のようなもの(バルーン)を用いて拡張することにより、症状を改善させることができます。当院では食道癌を患った患者さんが多く、この拡張術をしばしば行っています。

10.内視鏡的胃廔造設術(PEG)
食道癌や頭頸部癌の患者さんで狭窄が強くなり食事が通らなくなることがあります。また、脳卒中などで嚥下機能が障害され飲み込みがうまくできなくなってしまうこともあります。このような時に胃瘻と言ってお腹の壁から胃内に管を挿入し栄養管理をしばしば行います。従来、手術的に行ってきた胃瘻造設術も、近年は内視鏡を用いて行うことが多くなり患者さんの負担軽減につながっています。当内視鏡センターでは紹介患者さんの胃瘻造設術も行い、紹介していただいた施設にお戻りいただいております。
胃廔造設術の施術の前には上腹部の手術既往や血液、凝固系の異常、内視鏡検査による胃内の粗大病変の有無やCT検査による胃周囲の異常の有無を確認し、安全な手技を心がけています。内視鏡検査を行い胃内に十分に送気したのちに触診と透過光を用いて安全な穿刺部位を確認し、鮒田(フナダ)式胃壁固定具で腹壁と胃壁を固定後にPEGキットを用いて胃瘻造設を行っています。

お問い合わせ先
川崎市市立川崎病院事務局庶務課
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