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第2回川崎市住民投票制度検討委員会議事録

  • 公開日:
  • 更新日:

日時:平成17年12月27日(火) 18:30~20:50

場所:市役所本庁舎2階 特別会議室

出席者:
委員(学識者) 寄本委員長、金井副委員長、野口委員、橋本委員
委員(市民) 川﨑委員、竹井委員、中村委員、山下委員
市側 市長、曽禰総合企画局長
 (関係局課) 総務局法制課:吉田主幹  市選管事務局:選挙課小島参事、庶務課水越主査、選挙課濱野主査
 (事務局) 総合企画局政策部:小宮山部長、土方主幹、袖山主査、今村主査、松川職員、広岡職員、棚橋専門調査員

議題:

  1. 前回の議事録等の確認
  2. 個別論点の検討
  3. 委員紹介・事務局紹介
  4. 第3回・第4回検討委員会の論点説明
  5. その他

公開及び非公開の別:公開

傍聴者:なし

 

(委員長)

  • 昭和46年に伊藤市長が誕生し、しばらくして「川崎市都市憲章条例案」を議会に提案したが、その中には住民投票の仕組みが規定されていた。この都市憲章条例案は議会に2回提案されたもののいずれも否決されてしまったという経緯があり、今回の住民投票制度の検討は、川崎市で初めての試みということではないことになる。

1.前回の議事録等の確認

  • 資料説明(資料1「委員から寄せられた疑問点・意見への考え方(第1回分)」、資料2「自治基本条例第31条(住民投票制度)の解釈について」)
    →前回の議事録(案)について修正すべき箇所等があれば、年明けの1月5日(木)までに事務局までご連絡いただきたい。
    →『住民投票制度ニュースレター』については、すでに、区役所、市民館ほか公共施設や各区のまちづくり推進組織に配布したところである。

(委員長)

  • 前回の検討委員会で先送りになった市民委員選出の副委員長を選びたいと思う。

(委員)

  • 前回の検討委員会終了後、市民委員で話し合った結果、山下委員にお願いすることになった。
     委員一同承認→山下委員が副委員長に選ばれた。

(委員)

  • おそらく年長者ということで選ばれたのではないかと思っているが、よろしくお願いしたい。
  • 前回の自己紹介でも申し上げたが、私は自治基本条例の検討委員をやっていた経験を生かして、住民投票制度の主旨をわかりやすく説明するとともに、わかりやすい制度として構築することを心掛けたいと考えている。

(委員長)

  • よろしくお願いしたい。

2.個別論点の検討

  • 資料説明(資料5「個別論点の検討」、資料6「委員から寄せられた疑問点・意見に対する考え方」)
     ※以下、出された意見を論点ごとに整理したため、必ずしも発言順とはなっていない。

論点4:対象事項 について

(1)対象事項となる市政に係る重要事項の考え方《論点4-1》
(2)対象事項から除く必要があると考えられる事項の検討

(1)市の機関の権限に属しない事項《論点4-3》について

(委員)

  • 資料5の2ページのような文章では、対象事項に入れた方が望ましいという結論にならざるを得ない論理構成になっているように感じられるが、ここで書かれている論拠は「投票結果の尊重義務を考慮すれば(2ページ10行目)」という部分しかなく、対象事項から除くことが望ましいと考えられるという結論を導き出すためには少し論拠に乏しいと感じられる。
  • もし、ここに書かれているような結論を導きたいのであれば、投票結果の尊重義務として何を考慮したのかということを明確に記述する必要があると思う。

(事務局)

  • いまご指摘いただいた部分に限らず、その他の部分についても、昨年度までの検討経過や自治基本条例検討委員会での検討内容等を踏まえて整理させていただいているという性格の資料であるため、事務局としても、本日の資料の記述だけで、すべてが整理しきれていると考えているわけではないとご理解いただきたい。
  • ご指摘のあった部分については、ある結論を導き出そうとしているわけではなく、その方向性についても併せて議論していただきたいと考えている。

(委員)

  • ここでは、いわゆる許可権等といった権限ではなく、市政に係る権限を広く捉えようという記述になっているが、もう少し明瞭な理由が必要だろう。

(委員)

  • ここの項目についてネガティブリストに入れるべきかどうかという議論がある一方で、そもそもネガティブリストを設けるべきかどうかという議論も必要である。住民発議の要件をどのように設定するかという論点は、今後の論点に挙がっているが、大和市のようにネガティブリストを設けないという選択肢もあると思う。
  • 私としては、ネガティブリストを設けず、住民の間で住民投票を行おうという議論がホットになれば、まさしくそれを重要事項と捉えて住民投票を行うべきと考えている。
  • このように、市の権限に属しない事項であっても住民としての意思を表明することが必要であれば住民投票を行うことができるということを保証する条例であってほしいと思う。

(委員長)

  • 住民にとって重要な事項は、それが市、国、民間のいずれの権限に関するものであっても住民の意思表示が可能な仕組みとする必要があるのではないかという意見だったが、その他に意見があれば出してほしい。

(関係局課/選管)

  • 法的拘束力のない諮問型住民投票とすれば、国の事務であっても、住民投票の結果を尊重して市長が意見表明することは可能と考えられ、基本的に、諮問型住民投票であれば、何でも対象になると考えられる。

(委員長)

  • 先程の委員からの指摘は、具体的には、どのように文章を修正したらよいだろうか。

(委員)

  • この資料を読んだ限り、「本来的に市の機関の権限に属さないものについても、対象事項に含めることが望ましい」という文脈になっているという主旨で指摘したつもりである。
  • また、“権限”の概念が明瞭でないため、この部分は常に問題視されている論点でもある。例えば、市長が意見を表明するということが市の権限に属するのかといったときに、個別法上の細かな権限ではないにしても、地域の事務について意見を表明するという包括的な事務があると考えるのはごく一般的なことであり、もしそれが行えないとなれば、市長は何も言えないことになってしまい、市政は大混乱するはずである。
  • 市長の権限を広く捉えれば、原発だろうと米軍基地だろうと、それに対する意思を表明できるということになり、住民投票の対象事項となると考えられる。逆に、国や県に許可権がある事項について市長は意思表明できないと解釈するとすれば、それはわが国の地方自治の制度上非常に革命的な解釈であるといえるのではないだろうか。

(委員長)

  • この部分については委員の指摘を踏まえて事務局に再考してもらうことにしたい。

(事務局)

  • 昨年度の『住民投票制度検討委員会報告書』では、「住民投票制度は、地方公共団体の制度であるから、その団体で決定できること以外は対象にすることができないという見解がある」一方で、地方公共団体としての意見表明権などを踏まえれば、市の権限を広く捉えて住民投票を行うことも可能だろうと述べられている。そして、「「機関の権限に属しない」との規定では狭く解釈しえる余地があるため、規定の方法を検討すべきである。」とされており、事務局としては、何らかのご助言をいただきたいと考えている。

(委員)

  • “権限”という言葉の他に“事務”という言葉があり、「地域の事務に関わらないもの」という規定のしかたはあると思う。しかし、日本の場合、自治体が地域の事務と認めれば、それらが自ずと地域の事務と解釈されるため、そのような規定では事実上ネガティブリストにはならず、ネガティブリストとして規定することは困難であると考えられる。
  • あえて言えば、川崎市とまったく関係のない外国の市における争点を“地域の事務”と解釈することは難しいと思うが、そこには、姉妹都市の争点はどう解釈すべきかという新たな論点も生じる。

(委員)

  • 質問であるが、住民が住民投票のための署名を集めた事項が対象事項に該当するか否かを最終的に審査するのは市長ということになるのだろうか。

(事務局)

  • 自治基本条例の規定にあるように「市は、住民投票を実施することができます」とした場合、住民投票の対象事項として妥当であるかという判断は実施機関が行うことになると考えられるが、具体的にどのように判断するかについては制度の規定のしかたによると思う。

(委員)

  • 住民投票制度が存在することによる抑止力を期待するという考え方もあるようであるが、住民投票という制度をつくるからには、使いやすい制度にしたいという想いは持っている。
  • このため、最初から敷居を高くするのではなく、住民の関心が高まりをみせた事項については住民投票を行うことができるような環境を整えておく必要があると考えている。また、しばらく制度を使ってみて問題があれば見直していくというスタンスも必要だと思う。

(委員)

  • 本日の資料では、ネガティブリストとして(1)から(6)までが挙げられているが、(1)は特殊な項目であると感じられる。対象事項の前提を「市政に係る重要事項」とすれば、対象事項は市政に関係しなければならないことになるが、(2)の論点以降は市政に係る重要事項ではあるが住民投票には馴染まない事項として整理されているのに対して、(1)の論点は市政に関係するかどうかを一緒に議論しており、「市政に係る重要事項」を言い換えているだけというところに混乱が生じているのではないだろうか。本来、ネガティブリストは該当する事項の中で除外するものを挙げるという性格のものだと思う。
  • (1)の「市の機関の権限に属しない事項」について行った住民投票の結果は、国の施策を牽引することはできないにしても、住民の総意として国策等に対する自治体の意見を表明することはできると考えるべきである。
  • ここで議論している論点は発議要件にも大きく関わる論点だと思われるが、私は、住民投票制度をつくる以上発議要件を重くすることには賛成ではなく、その要件を満たした事項については、市政に係る重要事項として住民投票で住民の意思を確かめてみようと考えるのが住民投票制度の主旨といえるのではないだろうか。

(委員)

  • 住民にとっては住民投票を発議するための必要署名数というハードルがあり、議会にとっては多数決を得なければならないというハードルがあるのに対して、市長にはハードルが用意されていない。市長発議の住民投票に関しては、ネガティブリストが必要かもしれない。ネガティブリストに関しては、市長発議、議会発議の住民投票と、住民発議の住民投票について、分けて考える必要があるのではないか。

(委員)

  • 住民発議の場合は、署名を集めて対象事項であるかどうかのチェックを受けなければならないという仕組みが想定できそうだが、市長や議会は比較的容易に住民投票を発議できるということにするのであれば、発議要件を満たした住民発議はチェックなしで住民投票を行うことにすべきだと思う。

(委員)

  • この市長や議会の発議権に一定のチェックを掛けるという論点は、住民投票制度構築の入口として重要な論点であると思う。
  • ただ、「市の権限に属しない事項」の例として原発建設や米軍基地問題を挙げていることが混乱を招いているのではないだろうか。

(事務局)

  • 少なくとも、国策に関わる原発建設や米軍基地問題等についても自治体として意見表明できると考え、“権限”を“決定権限”といった狭い解釈で捉えるべきではないと考えている。
  • 2ページの文章表現がわかりにくいということもあるのだろうが、原発や米軍基地の問題が川崎で起こった場合、それは住民投票の対象事項になるだろうという考え方を示した上で、とはいっても他の自治体の問題で川崎に影響が及ぼされるものでないものについては除外すべきだろうという主旨で表現したつもりである。

(委員長)

  • そのように考えたとしても、他の自治体の問題で川崎に影響が及ぼされない争点が発議要件を満たすほどの署名を集めることができるとは考えにくいため、あえて規定を設ける必要はないと思われる。

(委員)

  • 例えば、横須賀で起こっている米軍基地の問題を川崎で住民投票にかけるということはあり得ないと解釈するということでよいか。

(委員)

  • 市民の多くが横須賀の米軍基地問題について関心が高くなり住民発議が起こることはないと断言することはできないが、それは署名が集まるかどうかに委ねるべきであり、最初から除外する必要はないと思う。
  • (1)の規定を設けたとしても、混乱を来すことはあってもメリットはないと思われる。

(事務局)

  • (1)の規定を設けないとした場合、明らかに市の権限に属しない事項をどのように除外したらよいだろうか。

(委員)

  • (1)は「市政に係る重要事項」の解釈に含まれると思われ、そのような事項をネガティブリストのひとつとして列挙することは望ましいと思わない。

(委員長)

  • 「(1)市の権限に属しない事項」はネガティブリストに含まないということにしておき、先に進みたい。

(2)法令の規定に基づき住民投票を行うことができる事項《論点4-4》について

(委員)

  • これは規定されるものが明確であり、ネガティブリストに相応しいと考えられる。

(3)市の組織、人事又は財務の事務に関する事項《論点4-5》について

(委員長)

  • 広島市では、数年前にごみの非常事態宣言を行い、ごみの減量作戦に取り組んでいるが、最初は市民からの反発が多かったものの、そのうち市民側にも定着するようになってきた。そして、1年後にごみの減量作戦を担当していた係長が人事異動になった際、市民側からごみ減量作戦を続けてほしいという要望が寄せられたという例がある。これも人事異動に対する介入といえば介入になるだろう。

(委員)

  • 事前の意見票としても出したが、行政と市民のパートナーシップによる事業を進める上では、組織構成や人事、予算といった要素が非常に大きく影響すると考えられるが、(3)をネガティブリストに入れるとした場合の理由を教えてほしい。

(委員)

  • 特定の人権に関することについて別途ネガティブリストを設けるかどうかは別として、例えば、「人事」でも個人の権利に関係する側面が強いものがあり、そのような事項は除外する必要があると考えられる。
  • 住民投票は一種の多数決といえるが、多数で少数をいじめるようなことはあってはならず、職員の人事でも、人事制度、給与制度、給与水準(若干権利に関わる側面あり)は対象に含むことができても、職員個人の権利に関する事項は住民投票にかけるべきではないと考える。
  • また、関連して、特定の集団に対して公的扶助を給付すべきでないといった個別の問題について、住民投票で多数の投票をもって決するということは避けるべきである。
  • 財務に関することについては、純然たる政策に関わるものを含んでいない機械的な事項でアウトソーシングできるような事項については、住民投票には馴染まないといえそうである。
  • 組織については、きわめて微妙な問題であり、政策判断の要素を含まない組織構成、内部管理に関するような事項は存在しないといえるのかもしれない。

(事務局)

  • 委員からご指摘のあったとおり、ここでは、かなり限定的なものを規定するということを意図している。
  • また、教育委員会のあり方といった事項はかなり大きな問題であるため住民投票の対象になりえると考えられるのに対して、小さな組織の改変は住民投票には馴染まないと考えられる。

(委員)

  • ネガティブリストに該当するか否かについては、制度の運用上で判断していくということでよいのだろうか。

(事務局)

  • 条例で規定するには限界があるため、運用上で判断していくことにならざるを得ないだろう。
  • この論点も「市政に係る重要事項」かどうかという議論になってしまうのかもしれないが、事務局としては、純然たる市長の権限の範囲内で内部組織を改変することは住民投票の対象事項からは除き、教育委員会を設けるかどうかなど内部組織といえないものは対象事項に含まれるという整理が妥当なのではないかと考えている。

(委員長)

  • 人事異動や組織編成などでは、住民の意思を反映させる方法は他にもあり、住民投票の対象事項として相応しいかどうかと考えた場合には相応しくないだろうという判断がされるということなのかもしれない。

(委員)

  • 市長の権限にたが(・・)をはめよう、または一定の方向性を決めようとするのが住民投票であり、市長の権限に含まれるということは住民投票にかけるべきでない理由にはならないはずである。逆に、市長の執行権の範囲内だから、住民投票を行い、市政に住民の意思を反映させようとする仕組みだと考えるべきだろう。
  • 市職員の個別の人事異動について住民投票で問うことは考えにくいが、例えば、区の廃止や予算編成(ある道路整備の是非を問うことができれば、自ずと予算執行を伴うはず)についても住民投票の対象になると考えられ、個人の権利に関する事項以外にネガティブリストで除外する必要がある事項は、私には思いつかない。

(委員長)

  • (1)の論点とも共通するが、住民投票に馴染むかどうかということは、住民の署名活動の時点でチェックできると考えられるため、細かく規定する必要はないと思われる。
  • ネガティブリストは、できる限り少ないことが望ましいと思う。

(委員)

  • 個人の人権に関わる人事異動は除くことをうまく表現できないだろうか。

(事務局)

  • 表現を工夫したい。

(委員)

  • 給与水準については、個人の給与カットを求める住民投票はないにしても、給与水準の一定割合のカットを求めるような住民投票は起こり得ると考えられ、これが基本権に係る事項なのか、財政上の市政の重要事項なのかという判断が非常に難しいと思う。

(委員)

  • 過去に、他の自治体で退職手当を巡って、市長と組合が争った事例があったと記憶している。
  • また、同じ財政縮減策といっても、人件費総額を削減することと、職員の給与水準を下げることは、やや性格が異なると思われる。
  • 職員の給与水準を下げる内容の条例制定の直接請求を行い、それが制定されれば給与水準を下げることは可能であるため、住民投票を行い、その結果をもって組合と交渉するということもあるように感じられる。このため、条例制定の直接請求が可能な内容については住民投票の対象と考えるという考え方もできるだろう。

(委員長)

  • 大阪市のヤミ手当問題を巡っては、市長の辞職に伴う出直し市長選が行われたが、これは一種の住民投票と考えることもでき、給与水準を争点とした住民投票はあり得ると思う。

(委員)

  • 東京都大田区でも職員数が非常に多いということが問題になり、その渦中で区長選挙が行われることになったが、シングルイシュウ(ひとつの問題)の区長選になってしまったようであり、この事例も住民投票に近い性格を持っている。

(委員)

  • 個人の人事に介入することを除けば、人事や財務の問題は住民投票の対象とすべきだと思う。

(事務局)

  • 表現については工夫したい。

(4)専ら特定の市民又は地域に関する事項《論点4-6》について

(委員長)

  • 迷惑施設の建設にあたっては、地域を限れば反対という結果が得られるであろうが、市全体で住民投票を行えば、必ずしも地域と同様の結果が得られるとは限らないだろう。

(事務局)

  • 地域と全体で明らかに異なる結果が出るであろう事項を住民投票の対象事項とすることに問題は生じないだろうか。

(委員)

  • 多数の意見で少数をいじめることになるような住民投票の仕組みは望ましくない。

(委員長)

  • 逆に、地域を限定した住民投票を行うことができるとすれば、少数意見をもって全体に制約を与えてしまうというケースも起こり得る。

(委員)

  • 論点4-6だけを独立して議論するのか、論点5-2、5-3を絡めて議論するのかによって、議論の仕方が異なるように思われる。
  • 川崎市の場合は、各区が相当数の人口を擁しているため、区を単位とした住民投票を行うことができるようにするか否かが大きな論点になると思われ、「区=特定の地域」と解釈することがあるのかということを確認しておく必要があると思う。

(事務局)

  • 「区民投票」については、あとで議論していただくことを予定しており、ここでいう「特定の地域」は行政区よりも小さな地域を想定していると考えてほしい。

(委員長)

  • 投票は市域全体で行うことを前提とするということでよいだろうか。そうだとすれば、少数者に不利な住民投票になってしまうおそれがある。

(委員)

  • 直接請求で学校の統廃合を求めている事例が多かったと記憶しているが、川崎市の場合、学校の新設や統廃合にあたってアンケート調査を行う場合、どれくらいの範囲の住民を対象として実施されているのだろうか。
  • というのは、小学校区あるいは中学校区程度の問題であるため、区民投票としても対象地域が大きすぎるように感じられるからである。

(委員)

  • 最近の事例では、宮前区の土橋小学校の新設を巡って、住民説明会等を行い通学区域等を決めていったと聞いている。

(事務局)

  • 学校の統廃合については、市内では、子どもが減少している地域、逆に子どもが増加しいている地域の両方があるという状況にあるが、土橋小学校は後者のケースである。おそらく、学校の統廃合等で直接の影響を受ける地域は、小学校区程度の範囲と考えてよいと思う。

(委員)

  • 土橋小学校は新設校であるため、あまり反発は起こっていないが、逆に人口減少地域の学校の統廃合は地域住民の意見が分かれることが予想される。

(事務局)

  • 一般的に、学校を新設する場合には、教育委員会が地域の声を聴き、その意見を反映させながら施設建設を進めていくわけであるが、このような場合には、多数意見で少数を押さえ込んでしまう性格を持った住民投票という手段を使うのではなく、その他の参加の仕組みを使って解決していくことが望ましいのではないかと考えている。

(委員)

  • 川崎区はホームレスの問題を抱えているが、多数決では少数者をいじめるかたちになるおそれがあるとともに、これは全市的な施設建設とは異なりごく限られた狭い地域での問題であるため、住民投票には馴染まないように思われる。

(委員)

  • 現在、宮前区で駅近くに温泉施設を建設するという計画が浮上し、その反対を求める署名活動が行われており、署名数は26,000(宮前区の人口約20万人の1割を超す)に達したと聞いている。地域住民には、施設建設に反対する人と温泉を歓迎する年輩者がいると聞いているが、このような問題が住民投票に馴染むかといえば、疑問を感じざるを得ない。

(委員)

  • 住民投票に馴染まないものをリストで除外するという考え方は理解できるが、実際問題として、ネガティブリストを用意して一刀両断に対象事項を選別できるかというと、かなり難しいのではないだろうか。仮に「専ら特定の市民又は地域に関する事項」をネガティブリストに挙げたとしても、全市的な理屈があると認めれば、住民投票にかけざるを得ない状況が生じると思われる。
  • 住民投票制度は、議論を封殺して物事を一刀両断に決めるという制度なのか、議論を巻き起こして偏った主張を指摘・転向させていく制度なのか、どちらを目指すのかということにかかっていると思われる。
  • このように考えると、少数者の権利を過度に侵害したり、逆に、少数者の過度に拒否権を認めたりするような、あまりに的はずれの住民投票が発議されれば、実施機関が判断するしかないのだろう。
  • また、規定の方法として、ネガティブリストをまったく設けない方がよいのか、機能は果たさないけれども、別途、訓示規定的に設けておく方がよいのかという議論はあると思われるが、現実的には、ネガティブリストで対象事項を明確に規定することは不可能と考えられ、曖昧に規定したのでは逆に住民監査請求が起こる可能性があると思われる。

(委員)

  • 限られた地域で住民投票を行えば勝つかもしれないが、全市で住民投票を行えば多数を獲得することが困難な争点と考えられる学校の統廃合やごみの処理施設・葬祭場等の建設などを住民投票にかけようと考える人はいるのだろうか。現在、町田の廃プラスチック処理工場計画を巡る問題が起こっているが、おそらく反対派住民は住民投票を求めないだろう。
  • このように、現実的には、地域限定の争点に関する住民投票が発議されるとは考えにくく、ネガティブリストに列挙することで逆に住民の反発を受ける可能性の方が懸念され、発議できないようにあらかじめ条例で縛る必要はないと思われる。

(委員)

  • 住民発議が事実上困難であるような事項を住民投票にかけたいと考えるのは首長側と思われるため、首長側に向けたたが(・・)として規定するという考え方はあると思う。

(委員)

  • 首長の発議にたがを嵌めるのは重要である。
  • 例えば、立地場所候補として選択肢が、全市的にバランスがとれて2つ以上あるのであれば、首長発議でも住民投票の対象事項になると思われる。しかし、1カ所では、特定の地域に押しつける選択肢を全市的に住民投票で問うことになり、適切ではないと考えられる。

(委員)

  • ある自治体で用地選定に関わったことがあり、十分に地域住民の方々の意見を聴いて行ったにもかかわらず、その地域住民が反対運動に立ち上がり、自主管理投票を行うことになった。その自主管理投票は、限られた地域で行われたため、80対20で反対が多数を占めた。そして、反対派住民はその結果を持って反対を主張してきたが、当然、認められるものではないものの、一定の結果は得られるということもできる。

(委員)

  • 住民投票制度があると、かえって住民投票の実施に向けた活動が促進されるおそれはある。

(委員長)

  • しかし、市の制度としての住民投票制度は、住民発議に必要な署名活動が大きなハードルになるはずであり、そう簡単に使えるような制度にはならないと思う。

(事務局)

  • この論点の整理としては、住民が発議しようとする場合は必要性は低いが、首長が発議しようとする場合に備えて設けておいた方がよい事項であるというまとめでよいだろうか。

(委員)

  • 精神規定にしかならないおそれはあるが、それを踏まえてその後の議論を提起する根拠にしようという効果はありそうである。

(事務局)

  • どのように表現するかという課題はあるにしても、特定の方の権利を制限することに住民投票制度を利用することは避けなければならないと考えている。

(委員)

  • 東京都世田谷区は、これまで社会的に大きな問題になった宗教団体のことででかなり苦労してきたが、この団体を締め出すための条例をつくれないかということで、団体名を入れることなく条例(区長提案)をつくったという経緯がある。これを宗教問題というかどうかについては難しい議論になってしまうため避けるが、このような団体が地域の中に移ってくるのを防いだり、立地計画が進んだ場合にその計画を撤回させたりといったことを争点とした住民投票は可能かもしれない。

(委員長)

  • (4)はどのようにまとめたらよいだろうか。

(委員)

  • 妥協案としては、書かれていてもあまり実効性はなく役に立たないかもしれないが、書いておくという選択肢もあるだろう。少なくとも、首長に対する牽制にはなると思う。

(委員)

  • ネガティブリストとして規定するのか、基本原則のようなかたちで精神論を規定するのかという2つの方法があると思われるが、他都市の条例では、あまり明確に対象事項を表さないかたちでネガティブリスト方式をとっているような印象を受ける。

(委員)

  • (3)と同様に、特定個人の人権問題と併せて表現することができるように思われるため、(3)と(4)を併せてコンパクトではっきりした規定になるように工夫することはできないだろうか。

(委員長)

  • 工夫してもらいたい。

(5)直接請求の除外事項《論点4-8》について

(委員)

  • これは(2)と同様に規定されるものが明確であり、ネガティブリストに相応しいと考えられる。

(委員)

  • ここで対象としているのは、(地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するもの)という部分だけを指していると考えてよいか。

(事務局)

  • そのように理解してほしい。

(委員)

  • ここで述べられている除外理由のほかに、多くの住民が請求してくるのを防ぐために、この規定が設けられたと私は認識している。
  • ある意味では、“民度”のレベルに関わることであり、現代社会の“民度”がどこに位置しているかを検証することが必要になるだろう。

(委員)

  • 正直に言えば、税金は個人の生活に直結するものであるため、市政運営が厳しくなるとわかっていても税率ダウンに賛成してしまうと思う。
  • このように常識では考えられないことが住民投票に請求されるおそれもあり、ネガティブリストで最低限の制限を設けておく必要があると思う。

(委員)

  • 誰しも税金が安いに越したことはないと考えるだろうが、地方自治法が改正された当時の自治省は大きな地方政府を目指しており、大きな政府を目指すためには1円たりとも税収を減らしたくないという政策的意図があったといえる。逆に、小さな政府を目指すという発想からすれば、税金を安くすることはサービスの低下につながるということを意味している。
  • このため、「自治体は小さな政府を目指すべきではない」「自治体は小さな政府を目指すといいつつ、借金を増やすだけに違いない」と考えるのであれば、(5)の規定は必要だということになり、(5)は市政の方針に関わるネガティブリストとして位置付けられるものと考えられる。

(委員長)

  • (5)はネガティブリストに残すということでよいか。
  • 起債の発行については、どのように考えればよいだろうか。

(委員)

  • 小さな政府を目指すというのであれば、住民投票にかけるべきだと思う。

(委員長)

  • 地下鉄建設に関するアンケート調査では、反対が多いという結果を得ているが、これは、少し便利になったとしても財政負担することは望まないという結果のあらわれであり、このような住民の意思を問う住民投票はあってもよいと思う。

(委員)

  • 起債については住民投票の直接請求を行うことはできるのか。

(事務局)

  • 可能である。

(委員長)

  • (5)はネガティブリストに残すということにしたい。

(6)その他住民投票に付することが適当でないと認められる事項《論点4-7》について

(委員)

  • “認める”のは実施機関である市長ということになるのか。

(事務局)

  • 実施機関である市長がそのような役割を担うということが一般的だとは思われるが、別の仕組み方もありうると思われる。

(委員)

  • 仕組み方としては、市長の裁量に議会をかませるという方法がある。

(委員)

  • 別途、審議会などの第三者機関を置くという仕組み方もあるだろう。

(委員)

  • 昨年度の検討では、オンブズマンを使えないかという議論をしたように記憶しているが。

(事務局)

  • オンブズマンについては、報告書論点19の「異議の申出」で触れられており、この部分に限らず制度全体の不服を申し立てられるような制度として報告を受けている。

(委員)

  • 住民発議の入口で門前払いされることを避けるため、事前署名を設け、有効数を上回れば正式署名に自動的に移ることができるような仕組みを設けることはできないだろうか。
  • 「その他…」の規定は、他の条例等でも後付の理由をつけるための規定と捉えられている場合が多いと感じているが、そのような意味で設けるのであれば必要ないと思う。

(事務局)

  • 条文では明確にならない部分が発生するのではないかという懸念から設けた方がよいと考えている。

(委員)

  • 先程の議論で、そのような事項は署名が集まらないと考えられるため、実際に住民投票の実施までは至らないだろうという意見も出ていたが。

(事務局)

  • 署名が集まる可能性が残されている以上、何らかの規定が必要だと考える。
  • ただし、(6)の規定を根拠に対象事項としない場合には、合理的な理由が求められることは言うまでもないだろう。

(委員)

  • この規定を残すのであれば、市長や議会だけでなく、住民の立場も考えて判断してくれる機関等をかませる必要があると思う。

(委員)

  • 予測できないことが起こる可能性があるため、(6)のような“逃げ”の規定は必要だと思う。

(委員)

  • そうだとしても、住民にとって、“良い逃げ”と“悪い逃げ”があるため、それを中立的にジャッジ(審判)できる仕組みが必要だと思う。

(委員)

  • ネガティブリストは、○×で判断できるほど基準が明瞭であることが望ましいが、想定外のことが起きる場合に備えるためには異議の申出などと絡めて第三者機関による手続き的な仕組みを設けるほかないと思う。

(委員長)

  • 残しておくことにしたい。

(事務局)

  • 予定時間を過ぎているため、5ページの(4)以降の残ってしまった論点については次回以降に検討することとして、事務局で検討スケジュールを再考したい。
     →一同承認

(委員長)

  • それでは、ここで本日の議論のまとめを事務局にお願いしたいと思う。

議論の確認事項

論点4:対象事項 について

(1)対象事項となる市政に係る重要事項の考え方

  • 住民投票の対象事項は、「市政に係る重要事項」として広く捉えることとする。
  • 住民投票の対象事項は、その置かれている地域社会の状況等を踏まえて、個々の事案について相対的に捉えられるものと考えられる

(2)対象事項から除く必要があると考えられる事項
 (1)市の機関の権限に属しない事項

  • 市の機関の「権限」の定義が不明瞭であることから、混乱を招くおそれがあり、また、このリストは「市政に係る重要事項」の考えに包含されるものでもあることから、ネガティブリストに含める必要はないと考えられる。

 (2)法令の規定に基づき住民投票を行うことができる事項

  • 規定される内容が明確であり、かつネガティブリストに相応しい項目である。

 (3)市の組織、人事又は財務の事務に関する事項

  • ここでいう組織、人事、財務について、除外すべき事項を限定的に捉えるとしても、個々の事案によっては対象事項となるか否かの判断が難しいものもあり、このままの規定では不都合がある。
  • ただ、市職員個人の人事異動など、個人の権利に関係する側面が強いものについては、除外する必要があると考えられる。

 (4)専ら特定の市民又は地域に関する事項

  • 専ら特定の地域又は市民に関することについて、多数の意見が少数の意見を封じ込めるような住民投票は望ましくないと考えられる。
  • この考えに基づき、ネガティブリストとして規定するのか、あるいは、基本原則のようなかたちで精神論を規定するのか、いずれかの方法により規定を設ける必要はある。
     ※(3)と(4)については、併せてコンパクトで、はっきりした規定になるような工夫をする必要がある。

 (5)直接請求の除外事項

  • 規定される内容が明確であり、かつネガティブリストに相応しい項目である。

 (6)その他住民投票に付することが適当でないと認められる事項

  • 不測の事態に対応できるようネガティブリストに含めておくことは必要と考える。
  • この場合、その判断を実施機関が行うにしても、中立的な判断を行えるような仕組みが必要と考えられる。

(3)対象事項の規定方法

  • 住民投票の対象事項を「市政に係る重要事項」としたうえで、そこから住民投票に馴染まない事項を除外するネガティブリスト方式を採用することが確認された。
     ※残された論点については、次回以降の検討委員会で検討することになった。

3.意見交換会の開催について

  • 資料説明(資料7「意見交換会の開催について」)

(委員)

  • 外国人市民との意見交換会は1時間だけか。

(事務局)

  • 午後から外国人市民代表者会議の会議があり、その前の1時間をこの意見交換会に充ててもらっている。

(委員)

  • 意見交換会の時間が短いため、あらかじめ資料を送付しておく必要があると思う。

(事務局)

  • 外国人市民代表者会議からは一昨年に提言をいただいており、その中で住民投票制度についても触れられていたという経緯があるため、当時の委員を中心に意見交換させていただくことを予定しており、住民投票制度に関する知識もある程度あることから、多様な意見をいただくことができると期待している。

(委員)

  • 高校生との意見交換会が平日であるが、授業に影響はないのだろうか。

(事務局)

  • 前期選抜の入試の日程に重なっているため、授業には影響はなく、5校の校長先生の了解を得ている。

4.第3回・第4回検討委員会の論点説明

  • 資料説明(資料8「第3回・第4回検討委員会の論点」)
     →本日の委員会の遅れを考慮した検討委員会のスケジュールは年明け早々に連絡することとしたい(意見票も改めて送付)。

(委員)

  • 単独で住民投票を実施した場合の費用が3~4億円かかるといわれているが、同日実施した場合の費用はどれくらいになると想定されているのか教えてほしい。

(関係局課/選管)

  • やり方によって異なるが、5億8千万円程度かかると概算されている。

(委員)

  • 一般に、小規模自治体の場合は、選挙事務に係る費用の1.5倍といわれているようである。

(委員)

  • なぜ、住民投票にそれだけの費用がかかってしまうのか。

(委員)

  • 人を張りつけなければならないため、どうしても人件費がかさむということである。

(委員)

  • 方法によっては縮減できると考えられるが。

(委員)

  • ボランティアの活用やアウトソーシングなども可能だろう。

(委員)

  • 住民投票が必要なのであれば、コストをかけてでも実施する必要があり、コスト縮減効果ありきの議論は避けるべきである。

5.その他

次回の日程等

(事務局)

  • 次回の委員会資料については、委員会開催日の10日前を目途に事前配付する予定である。
  • ホームページの作業が少し遅れているが、年明け早々に掲載する予定である。
  • 4月以降の委員会日程については、次回に調整させていただくこととしたい。

 

《次回以降日程(予定)》

  • 第3回検討委員会:平成18年 1月27日(金) 18:30~20:30 於:高津区役所
  • 第4回検討委員会:平成18年 2月10日(金) 18:30~20:30 於:高津区役所
  • 第5回検討委員会:平成18年 3月23日(木) 18:30~20:30 於:高津区役所

お問い合わせ先

川崎市市民文化局コミュニティ推進部協働・連携推進課

住所: 〒210-8577 川崎市川崎区宮本町1番地

電話: 044-200-2168

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