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第9回川崎市住民投票制度検討委員会議事録

  • 公開日:
  • 更新日:

日時:平成18年7月24日(月) 18:30~20:45

場所:高津市民館 第5会議室

出席者:
委員(学識者) 寄本委員長、金井副委員長、野口委員、橋本委員
委員(市民) 山下副委員長、川﨑委員、竹井委員、中村委員
市側
 (関係局課)
 総務局法制課:野村主幹
 市選管事務局:小島次長、水越課長、中村主査、浜野主査、上條書記
 (事務局)
 総合企画局自治政策部:太田部長、土方主幹、五十嵐主幹、今村主査、松川主査、西山職員、小栗職員、棚橋専門調査員

議題:

  1. フォーラムの結果概要
  2. 報告書の構成
  3. 個別論点の検討
  4. その他

公開及び非公開の別:公開

傍聴者:1名

1.フォーラムの結果概要

  • 資料説明(資料1「フォーラム等の結果概要」、資料2「フォーラム等で出された市民意見」)

2.報告書の構成

・資料説明(資料3「報告書の構成」)
 →事務局では、より市民にわかりやすいように、報告書の他に概要版を作成してはどうかと考えている。

・質疑

(委員)

  • 構成はよいと思うが、今後の検討委員会のスケジュールをどのように考えているのか教えてほしい。

(事務局)

  • 事務局としては、今後3回の検討委員会を開催することを予定している。
  • 資料4に《整理が必要とされる論点》として、これまでの検討で両論併記とされている論点やフォーラムで多くのご意見をいただいた論点など10項目を挙げているが、これらの10の論点について、今回と次回(8月28日)の検討委員会で議論していただきたいと思っている。
  • これ以外に再整理が必要な論点については、各委員からの意見に基づき、この10の論点の検討が終わった後に議論をしていただきたいと考えている。
  • 本日の検討委員会で1~8の論点を議論していただき残りについては、次回の検討委員会でご議論いただきたいと考えている。また、次回の検討委員会(第10回)でこれまでの議論を踏まえて事務局から報告書案を提示させていただき、9月22日の検討委員会(第11回)で、最終確認をするというスケジュールを考えている。

(委員長)

  • フォーラム後に意見は寄せられているのか。

(事務局)

  • フォーラム後、メールやファックスでいただいたご意見については、資料2に盛り込んである。現時点で150以上のご意見が寄せられているが、引き続き8月4日までご意見を募集する予定となっている(ホームページ等を通じて広報)。
  • なお、一人でいくつもの論点についてご意見を出されたものについては、各論点に細かく分けて整理している。

(副委員長)

  • 本日の委員会では、事務局で提示した論点を整理していくということか。

(事務局)

  • 特に異論が無ければ、そのような方向で進めていただきたいと考えている。

3.個別論点の検討

(1)対象事項(資料2「フォーラム等で出された市民意見」、資料4「個別論点の検討」)
 →ネガティブリストについて、直接請求の除外事項等をすべて除外するのは問題があるのではないかというご意見をいただいている。事務局としては、単に財政的な理由で、住民税の税率を上げることなどは住民投票にはなじまないが、新たな施策として目的税のようなものを設ける場合は重要な政策判断を伴うテーマと考えられることから、住民投票の対象事項に該当するのではないかという考え方もあるのではないかと考えている。このような点を含めてご議論いただきたい。

(副委員長)

  • これまでの議論としては、資料5-p.4にあるように、重要事項ではあるが排除する必要がある事項として3つのネガティブリストを想定していたと思う。
  • このうち、「地方自治法による直接請求で除外されている事項」は、明確なようで実は曖昧な規定だと感じられる。例えば、レジ袋税の導入やリサイクル推進のための施策を講じる際、それが税金に関わる事項となると住民投票で問うことができないのかということが論点になると思うが、政策的なものであれば、住民投票で問うことが状況によってはあり得ると考えられる。
  • このように、お金に関わることでも市政に係る重要事項であれば、住民投票の対象事項としてもよいのではないかと考えられ、あまり機械的に除外事項を設定し直接請求の除外事項すべてを対象事項から外してしまうと、そのような事項が発議できなくなってしまうため、“ネガティブリストのネガティブリスト”を設けておくことも必要と思われる。
  • 「直接請求の除外事項」の定義をよく理解しているわけではないが、お金に関わることすべてという定義だとすれば、ネガティブリストとしては少し広すぎるように思う。

(委員長)

  • チューリッヒでは、ゴミの処理の約8割は手数料でまかなわれ、税金は約2割となっているが、もう少し引き上げないと苦しいということで住民投票にかけられた。結果としては、住民から拒否されたのであるが、住民の意見を聞いて判断されていることには大きな意味があると思う。また、ワシントン郊外のカウンティで、リサイクル関係の手数料を引き上げたいということで住民投票が行われ、こちらは認められている。
  • このように、先進諸国でもお金に関連する住民投票はかなり行われており、これを排除すると、負担との関係から住民が主体的に考えるという機会を逃してしまうおそれがあることが懸念される。
  • また、発議要件を満たす署名が集まるような案件にもかかわらず住民投票が行われないという事態は自治の精神を制限してしまうことになりかねないため、何らかの処置が必要だと思われる。

(副委員長)

  • フォーラムでは、対象事項の判断基準が明確ではないという意見が多かったように思う。このため、住民投票にかけることができる事項は何かということを解説の中でしっかり明示することが必要なのではないだろうか(例えば、大規模事業や財政問題、重大な環境問題など)。
  • また、ネガティブリストについても同じように明確に示すことが望ましいのではないだろうか。そうしないと、住民投票そのもののイメージが湧きにくいように思われる。

(事務局)

  • これまでの検討委員会の議論では、その事案のおかれている地域社会の状況等をふまえながら、個々の事案について相対的に捉えられ判断すべきものであることから、これらを具体的な事案として確定的に表すことは困難と整理されている。

(委員)

  • 「法令の規定に基づいて住民投票を行える事項」は定義が明確であるため、問題ないと思う。
  • 「多数の意見が少数の意見を封じ込めるおそれのある事項」を細かく規定することは難しいと思う。
  • 「地方自治法による直接請求で除外されている事項」をどのように考えるかであるが、いま発議に要する署名数を10万人と設定しているが、10万人以上の署名が集まれば、重要事項と判断されるべきではないかと思う。さらに、大事業を自動的に住民投票にかけるべきという指摘に対しては、予算を承認した議会に対する解散請求という手段に出ることも可能であると思われるため、必ずしも自動的に住民投票にかける必要はないと考えられる。

(委員長)

  • 住民投票の対象事項を具体的に示してあげることは親切だとは思うが、住民投票を行いたいと考える側は十分に勉強を積むはずであり、あまり心配する必要はないと思われる。

(副委員長)

  • 重要かどうかというのは相対的に判断されるべきであり、自動的に住民投票を行うことにすることは望ましくないという考え方がある。そして、重要かどうかを誰が判断するのかと考えれば、それは発議者ということになり、発議者側できちんと考えて発議してもらうということになると思う。
  • ネガティブリストについては、市長が発議の申請を受け付ける際に行うネガティブリストに該当するか否かの判断がもめる原因をつくることになると考えられる。
  • その対処策のひとつとして、このようにネガティブリストとして規定する方法があるだろう。そして、2つ目の方法として、ある意味、訓示的事項として、住民投票制度を使うときの理念、作法のようなものとして位置付ける方法があると思う。
  • ネガティブリストを掲げると市長の判断が必要となるため、場外戦での争いを避けるためには、住民投票制度を使う際の訓示的な責務や理念規定として処理しておき、実際の政治過程で良識に基づいて判断されるべきと考えることもひとつの方法であると考えられる。
  • このように考えるとネガティブリストを縮減するという方法も選択肢に含めてもよいと思われる。

(委員)

  • 法的に問題がないのであれば、「地方自治法による直接請求で除外されている事項」はネガティブリストに入れなくてもよいと感じている。

(副委員長)

  • いろいろな考え方はあると思うが、最終的には、住民投票に付することが適当でないと明らかに認められる事項などを規定せざるを得ないと思う。

(関係局課/選管)

  • 直接請求の場合、請求代表者証明書の交付申請があった段階で地方自治法施行令に規定された審査を行うことになるが、明確な誤字・脱字等は修正していただくが、それ以外は形式審査で受理するという運用がなされている。
  • 住民投票の場合においては、最初の請求代表者の交付申請があった際に、申請事項がこの条例の対象事項に適合しているのかどうかという判断を行っておかないと、フォーラムでもご意見があったように、署名を集めてしまってから対象事項ではないと判断されたのでは問題が大きくなってしまうことになる。このため、請求代表者証明書の交付申請の際の審査のイメージをある程度確認しておく必要があると思われる。
  • 直接請求は形式審査であるが、住民投票の場合に、そもそも、形式審査とするのか実質審査とするのかということを確認しておく必要があるだろう。

(委員長)

  • 私は、少し異なる意見をもっている。
  • 住民運動というのは、やり出すと非常に高水準な知識と判断力を使いながら進められるものであるため、住民投票を行いたいと考えれば、住民投票を行えるように理論武装してくるはずであり、あえて、こちらから具体的事項を示してあげる必要はないと思われる。

(関係局課/選管)

  • 具体的事項を示すというよりも、市の内部としてある程度の判断基準みたいなものがないと、出てきたものに対する判断が不明瞭になると感じられる。
  • 具体的には、請求代表者になろうとする人は、市長サイドの事務担当と選挙管理委員会の三者で、事前打合せを行いながら、お互いに内容を精査していき、意思統一を図ったうえで書類申請をしていただくという流れになると思われる。

(副委員長)

  • いまの議論は、異議の申立てと非常に密接な関係にあり、どの段階で審査するのかということに大きく関わっていると思われる。それについては、どの段階で実質的なチェックがあるのか、どういう争いがあり得るのかという整理がされないと議論することは難しいと思う。
  • 議論を戻すと、3つ目のネガティブリストは、その内容があまりに広すぎると感じられるため、できれば設けない方がよいのではないかと考えている。ここで意図しているのは、税金を払いたくないという安易な住民投票が行われても、その結果を尊重できるかどうかは不透明であるため、そのような住民投票は行うべきではないということだと思うが、政策として税金を下げるんだという確固たる意思があれば住民投票で問うことは可能と考えられる。

(事務局)

  • いま、3つのネガティブリストが挙がっているが、この表現のままネガティブリストになるとは考えておらず、このようなものは除外事項とする必要があるのではないかという考え方を示してもらったと認識している。
  • このまま規定したのでは、2つ目の「多数の意見が少数の意見を封じ込めるおそれのある事項」は非常にわかりづらい規定になってしまう。また、3つ目の「地方自治法による直接請求で除外されている事項」についても政策に絡む事項は住民投票の対象事項になり得るのではないかと考えている。

(委員)

  • これまでの議論を聞いていると、これまで検討してきた内容を再度検討し直そうという流れになっているように感じられる。フォーラムでいただいたご意見を踏まえて見直そうということであればわかるが、そうでないとすれば、今までの議論をすべてやり直すことになりかねないのではないか。

(委員)

  • フォーラムで出された意見を踏まえて議論しているのであり、すべてやり直すということではないと思うが。

(副委員長)

  • 3つ目のネガティブリストは、ある意味、両論併記の状態でフォーラムに示されたものである。そして、フォーラムで出された意見は、対象事項の判断が曖昧では困るという趣旨のものであった。このため、両論併記で、かつ曖昧である3つ目のネガティブリストをどうするかということをここでは議論しなくてはならないことになる。
  • 当初の整理では、政策的なものを含むのであればお金に絡む事項であってもネガティブリストにはあたらないのではないかという考え方だったと思われる。その判断基準がクリアにされれば、自ずと結論は出ると思われる。

(委員)

  • 政策的な判断にかかわる事項というのは、すぐに区別できるものなのだろうか。

(事務局)

  • 確かに、曖昧な部分を完全になくすことは難しいと思う。

(委員)

  • 但し書きを付けることにより、さらに曖昧になるように思われるため、それであれば、ネガティブリストに含めない方がすっきりすると思われる。

(事務局)

  • もともと「地方自治法による直接請求で除外されている事項」は住民投票になじまないのではないかと整理されており、これを基本として、再度政策的な判断にかかわる事項は対象事項になるのではないかという議論を行っている。

(委員)

  • ただ、フォーラムでは曖昧な基準は望ましくないという意見が出されている。考えてみれば、除外規定の但し書きが曖昧であることは当然である。
  • わかりやすくするのであれば、法律的な不整合がなければ除外事項には入れないという考え方をとるのが望ましいと思われる。

(事務局)

  • 特に、使用料や手数料については、受益者負担の考え方から住民の方々にどの程度負担していただくかという議論が必要になる。住民の負担に関する事項をすべて対象事項から除外するということではなく、このような性格のものについては、住民投票で住民の意思を問うというよりも、受益者負担のバランスという視点から代表制民主主義の下で判断されるべき事項だと考えている。

(副委員長)

  • 今日の議論では、フォーラム時の資料で両論併記だったものに結論を出し、また、曖昧な規定は望ましくないという意見に対しては、曖昧さが残らざるを得ないと判断するのであれば仕方ないと割り切るしかないと思われる。
  • 3つめのネガティブリストについては、直接請求で除外されている理由は理解できるが、それに該当するからといって、住民投票ではお金にかかわる事項すべてを排除するというわけではないということになると思われ、曖昧な規定になることは仕方ないのではないだろうか。
  • あとは、異議や争訟の手続きを入口段階でやるか出口段階でやるかという議論になるのではないだろうか。

(委員)

  • ということにするのであれば、「例えば目的税の導入や○○の使用料の改定など」と、重要な政策判断を伴う事例が具体的に何を指すのかを示さないと住民は理解できないと思われる。

(委員)

  • 例示する場合は、住民投票になじむ事項を積極的に列記することは難しいと思われるとともに、それを条例で規定することにより、権力者側にうまく利用されるおそれも生じると考えられる。
  • このため、明らかに除外する事項だけを規定しておき、曖昧な事項は“できる”と解釈するほかないと思う。これは、直接請求制度を考えても同様であり、除外事項が示されているだけで、このようなものを直接請求してよいという規定にはなっていない。
  • ネガティブリストを明らかにするということであれば、但し書きを設けるよりも、例えば、「地方税の賦課徴収」と規定せずに、「地方税の減免のみを目的にするもの」を除外するという規定の仕方はあると思う(“のみ”や“主に”という表現も考えられ、この判断が難しくなるという問題はあるが)。

(委員)

  • 今のご提案は、非常にすっきりしていてよいと思う。

(副委員長)

  • 私も、「地方自治法による直接請求で除外されている事項」と規定するのではなく、表現を工夫することで対処できると思われる。ただ、“減免”とすると、企業誘致のための減免なども考えられるため、慎重に表現する必要があると思う。

 

(2)住民発議に要する署名数(資料2「フォーラム等で出された市民意見」、資料4「個別論点の検討」)
 →フォーラムでは、住民発議に要する署名数として設定した「10万人」に対して、緩くすべき、厳しくすべきという両方の意見をいただいており、「10万人」という設定の妥当性についてご議論いただきたい。

(副委員長)

  • 検討委員会での議論を経て「10万人」という数値を設定したが、フォーラムでは多すぎるという意見と少なすぎるという意見があったことを踏まえれば、およそ妥当な水準ではないかという心象を持っている。

(副委員長)

  • フォーラムの参加者は、「10万人」の署名を集めることは大変なことだという先入観があるように感じられたが、他の市町村で有権者の3分の1の署名が集められている事例も多くあることを考えれば、集めようと思えば集められる数値であり、「10万人」という要件設定は妥当だと思っている。

(委員)

  • 私も「10万人」でよいと思っているが、理由付けをしておく必要があると思う。やはり、住民全体に関心をもってもらうためには、10万人ぐらいの署名が妥当ではないかと思っている。
  • 市長選の得票数や市議選における与党の得票数を踏まえても、住民が関心をもっているということをアピールするためには10万人ぐらいの署名が妥当だと思う。

(委員)

  • 「10万人」を7区で割れば1万数千人ということになり、「10万人」という設定は妥当だと思う。

(委員長)

  • それでは、フォーラムで示した案どおり「10万人」としておきたい。

 

(3)成立要件(資料2「フォーラム等で出された市民意見」、資料4「個別論点の検討」)
 →絶対得票率の方がよいのではないかというご意見もあったが、フォーラムの際の案では両論併記というかたちでまとめられている。成立要件を設けるべきかどうか、設けるとしたらどのように定めるかということについて、ご議論いただきたい。

(副委員長)

  • 成立要件の考え方としては、投票結果を成立させるための要件という意味だけではなく、投票する側の住民投票のテーマに対する関心の度合いを明らかにするという意味もあることを考慮する必要があるだろう。このように考えれば、成立要件を認めた方がよいということになるが、投票率で規定するのか、絶対得票率で規定するのかについては、議論があるところだと思う。

(事務局)

  • フォーラムでは、成立要件を設けるのであればその理由を明確にすべきだというご意見もあった。

(副委員長)

  • 発議に必要な署名は絶対数での規定を設けているため、制度のつくりとして絶対数の規定を設ける方がすっきりすると考えれば、絶対得票数で成立要件を規定するということがひとつの方法といえるのかもしれない。
  • 絶対得票率で規定すればボイコット運動は意味を持たなくなるため、成立要件があることによるボイコット運動の危険性を回避でき、かつ、必ず開票する必要が生じることになる。このため、絶対得票率で規定することは、合理的で、かつ制度としてのバランスがとれる方法だと思っている。

(委員長)

  • 私は、無関心な人のせいで住民投票が成立しないという事態は避けるべきだと思っている。

(委員)

  • これまでの議論では、「成立要件を設ける」が少数意見であり、「成立要件を設けない」が多数意見だったと記憶している。
  • 選挙の投票率が決して高くない川崎市の実情を考えると成立要件は必要ないと思う。

(事務局)

  • 成立要件を設けない方向が望ましいと整理したうえで、少数意見として、設けるとすれば絶対得票率による成立要件を設けるという意見があったというまとめ方でいかがだろうか。

(委員長)

  • そのようにしたい。

 

(4)不服申立て・異議の申出等(資料6「不服申立て・異議の申出に関する論点整理」)
 →重要な論点ではあるが、かなり専門的な部分もあるため、これまでの検討委員会では議論が及ばなかった論点である。

(委員)

  • ここに挙げられた他の制度を使えば対応できるという解釈でよいのだろうか。

(事務局)

  • 他の制度では対応できない事項は、名簿の登録に関することということになるが、広島市では、「異議の申出」の仕組みを別に設けて対応している。

(委員長)

  • この種の裁判にはどれくらいの時間がかかるのだろうか。

(委員)

  • 専門分野であるため、補足を含めてお話ししたい。
  • 自分に対して不利な行政処分を直接受けた場合には、当然、救済を求めることができることが大原則となる。例えば、住民投票の署名収集人が、その活動を止められたような場合には、行政不服審査法、行政事件訴訟法という法律に則って、不服申立てを行うことができることになる。
  • 名簿については、職権で載せることになるため、名簿の縦覧の際に自分の名前が載っていないことがわかった場合、自分の名前を載せろという要求ができるシステムをつくり、その要求に対して載せませんよという判断がなされた場合に、それが「行政処分」ということになる。このように、載せませんよという判断をさせたうえで、その「行政処分」の取り消しを申立てるという方法をとることができれば、考えられるすべてのケースについて法律で対応できることになるはずである。
  • 「異議申立て」と「審査請求」の違いについては、処分した者に対してもう一度考え直せというのが「異議申立て」であり、処分した者とは異なる者に対して直してというのが「審査請求」ということになる。このように考えれば、選挙管理委員会の行った判断に対して不服申立てをするのが「異議申立て」ということになり、選挙管理委員会が行った判断に対して市長を審査長にしたうえで市長に対して「審査請求」をするという仕組みも可能である。さらに、市長が行った処分に対しては、新しい組織を作らない限り「異議申立て」をするしか方法がないことになるが、特別委員会を設置して「審査請求」を行うという仕組みをつくることも可能である。
  • これらの「異議申立て」や「審査請求」は、通常の裁判を起こすことを考えていれば、あまり意味を持たず、最初から裁判に訴えればよいことになる。
  • しかし、実務的に考えると、住民投票の告示から投票までの期間が非常に短いため、このような制度に実質的な効力があるのかといえば、通常の裁判では結論が出るまでに2~3年かかってしまうため、まったく機能しないことになる。
  • そこで、どうすればよいかというと、先般、行政不服審査法と行政事件訴訟法が改正されたことにより、仮に効力を止めておけ、あるいは仮に効力がある状態にしておけという「仮の処分」が可能になったため、それを使うことができる。例えば、名簿に自分の名前を載せろという要求をして、それが拒否された場合、裁判所に対して、その拒否されたという行政処分の取り消しを求めるのと同時に、仮の処分として、仮に自分の名前を載せろという命令をしてくれという申立てをできることになったのである。一般的な例を出せば、会社を解雇され雇用関係の存在確認という訴訟を起こした場合、結審までには何年もかかってしまうため、仮の処分として、仮にその会社の社員である地位を認めるという処分が行われる場合があるというのと同じである。
  • このように、仮の処分を使って不服申立てを行うというのが現実的な対応だと思う。ただ、この仮の処分を行ってもらうためには、裁判所を説得することが必要となるが、結審までに数年かかるところが、およそ1か月程度で仮の処分を受けることができることになる。

(副委員長)

  • 今の説明で整理されたように思われる。
  • どちらの仕組みを使うかは当該住民の選択に委ねられることになるのだが、行政事件訴訟法の「仮の処分」による本筋の対応とは別に、バスケットクローズ的に市長に対して異議申立てができることを規定しておくかどうかという議論をしておく必要はないだろうか。
  • また、市長が行った処分に対する異議申立てに対応する第三者機関をつくるかということも論点になると思われるが、今日の資料では他の制度を使って裁判所に訴えるか、オンブズマンに苦情を申し出ることで対応できるのではないかという流れで整理されている。

(委員)

  • 情報公開などで開示拒否した場合、審査会を開くことになっていると思うが、実際に審査期間はどれくらいかかっているのか。
  • この審査会がよい例だと思うが、現実問題として、第三者機関をつくったとしても審査に時間がかかってしまい実際には機能しないおそれがあるのではないだろうか。

(副委員長)

  • それは情報公開審査会の場合であり、要は、第三者機関の審査を急がせるかどうかということになるだろう。

(委員長)

  • 私は、第三者機関に異議を申し立てる仕組みをつくっておいた方がよいと思っている。

(副委員長)

  • 実質的に対応が早いのは裁判所の「仮の処分」を得るか、オンブズマンに申し出るかということになるだろうが、バスケットクローズとして第三者機関による審査の仕組みを用意しておくことは意義があると思う。
  • ただ、名簿登録を拒否された場合の異議は、手続きの方法を慎重に検討しなければいけないと思う。というのは、名簿の縦覧が行われないため、自分が名簿に載っているかどうかを判別できるのは、自分で閲覧しに行かない限り、投票券が送られてくる投票日の1週間ぐらい前になる可能性があると考えられるからである。このため、これを救済するためには、すぐに救済できる仕組みがないと意味がないという点を考慮して検討する必要があると思う。

 

(5)対象事項に該当するかの判断の仕組み
 (資料2「フォーラム等で出された市民意見」、資料4「個別論点の検討」)
 →この論点については、フォーラムで多くのご意見をいただいており、市長が判断するということであれば、異議の申出等で対応するということも考えられるが、どのような判断の仕組みを設けるべきかについてご議論いただきたい。

(副委員長)

  • フォーラムでの意見をうかがった限り、「入り口で審査してほしい」「入り口で確定してほしい」という意向が強かった印象がある。
  • 判断を入り口で行い、その段階でもめた場合は投票は行われないことになるため、裁判に訴えることで決着をつけるということが可能だと思われる。

(委員)

  • 早い段階で判断してほしいというのは、よく理解できる。
  • 仕組みのつくり方としては、「署名収集の請求をする最初の段階で実施機関が該当する・しないの判断をしなければならない」、さらに「その請求があった場合には、何日ぐらいで判断をしなければならない」といった規定を設けることを検討してはどうだろうか。

(委員長)

  • 判断までの期間に条件をつけるということでよいだろうか。

(委員)

  • 実際は、請求者と選管との間で事前のすり合わせが行われることになると思うが、そのような協議の場がまったくなく、突然申請された場合に効力をもつ規定になると考えられる。

(副委員長)

  • 住民発議の場合は今提案された手続きでよいのだが、議会発議の場合に、どの段階で判断するのかについては、別途、検討する必要があると考えられる。
  • 議会発議された事項が対象事項に該当するかを判断する時期は、当然、議会の議決の後になると思うが、議決が同時に発議行為と考えることができるため、議会の発議にも判断の仕組みを適用することにすれば、この場合のみ、手続きの時期がずれることになると思う。

(事務局)

  • それについては議会との協議が必要と考えられるが、報告書を受け取ってない段階で議会との協議の場を設けることが難しい。

(副委員長)

  • 住民発議にだけハードルを設けるとしたのでは住民の理解が得られないと思われるため、そのような仕組みが必要と考えられる。ただ、どのような手続きを設けるかについては、議会との協議を経て詰めていくということでもよいと思われ、検討委員会として、議会発議の場合にも対象事項に該当するかの判断の仕組みを適用するべきだという方向を確認しておけばよいと思う。

 

(6)外国人の投票資格
 (資料2「フォーラム等で出された市民意見」、資料4「個別論点の検討」、資料7「外国人の投票資格に関する論点整理」)
 →外国人の投票資格については、在留年数要件をどの程度にするかという結論が出ていない状況にある。また、フォーラムでは、外国人市民に対して在留年数要件を設ける理由をきちんと説明してほしいという意見もいただいたが、これまでの検討委員会では、生活の本拠が日本にあるかないかを判断基準として在留年数要件を設けることは妥当との方向性が確認されていたと認識している。
外国の住民投票制度で外国人に対してどのような要件を課しているのか等について、野口委員にご教示いただきながら、ご議論いただきたい。

(副委員長)

  • フォーラムでは、日本人と一律に同じ条件にしてほしいという要望が非常に多かったように思う。
  • 日本人と一律の条件を与えるとしても、市内在住要件を同じにするという点について差し支えないと思うが、日本人の場合には投票資格を得るまでに18年程度かかることを考えると、永住者や特別永住者であれば問題はないのだろうが、突然日本に来た外国人に、在留年数要件を設けずに住民投票に参加してもらうとするのには無理があると思われる。
  • このため、在留年数要件をどのくらいに設定するのかということを議論しておく必要があり、外国人代表者会議の提言では1年とされているが、私は、岸和田市の考え方に基づく3年という要件が妥当であるように考えている。

(事務局)

  • フォーラムでは、定住意思という考え方についての説明が足りなかったため、外国人市民の皆さんの理解を得にくかったのではないかと感じている。

(委員長)

  • 選挙権について欧米諸国は随分開放的だといわれるが、EU加盟国やイギリス連邦のメンバーの国民であるという条件がついているケースが多いという実態がある。

(委員)

  • これまでの議論では、在留年数要件を1年にするというのが妥当ではないかという流れだったように認識している。
  • また、フォーラムの意見は、日本国籍を持つ人と条件に差を設けることをきちんと説明してほしいという趣旨であったと思われるが、在留年数要件を設けた場合、日本国籍を持っている人が、例えば、生まれてからずっとアメリカに住んでいて、日本に帰ってきたようなケースについて、日本国籍を持っていれば日本に1年住んでいなくても住民投票の参加資格を得られることの妥当性をきちんと説明する必要があると思う。
  • そのように考えると、日本国籍の有無にかかわらず、日本に一定期間居住することを要件とするという考え方の方が理解しやすいといえるのかもしれない。

(委員長)

  • 住民投票に参加してもらうには、日本のことを多少知ってもらわないと困るという考え方はあると思う。

(副委員長)

  • この議論は、市民の中にカテゴリを設けることが問題だということに発しているため、永住資格者及び特別永住資格者と他の外国人を分けると、そこでもう一度線を引くことになり、本来なら避けた方がよいと考えられる。
  • 本来、日本人についても同じ来日期間を要求すれば、論理的には整合がとれるのではないだろうか。これが実務的に可能かどうかわからないが、観念的には、統一的な基準を設けることが好ましいと思われる。多くの日本人国籍を有する人はその要件を満たすため、実務的に可能であれば、そうすることが望ましいのではないだろうか。
  • 岸和田方式とすると、永住資格者等と外国人を区別することになるため、あまり好ましくなく、川崎市の施策とも整合しないことになるだろう。

(事務局)

  • 他の自治体では、永住資格者ないし特別永住資格者でないと投票資格が得られないという規定が多くなっている。

(副委員長)

  • 市内在住要件で日本人と外国人を区別しないのであれば、在留年数要件で多少は理解が得られるかもしれない。

(副委員長)

  • 永住資格者や特別永住資格者は、必ず1年以上日本に居住していると考えてよいのだろうか。

(事務局)

  • おそらく、資格を得るためには1年以上居住しているものと考えられる。

(委員)

  • 「市内在住3か月以上とし、日本人と外国人に差を設けないこととする。」ということは第4回の検討委員会ですでに確認されていることではないのだろうか。

(事務局)

  • 市内在住要件については特に問題になっているわけではない。
  • 在留年数要件を設けるべきか、設けるとするとその期間をどれくらいに設定するかということについては、検討委員会の議論でも先送りになっている事項であり、それについて議論していただきたいということである。

(委員長)

  • 理念的には、日本人と外国人に同じ要件を課すことが好ましいのだろう。

(関係局課/選管)

  • 諸外国における外国人参政権の状況としては、ニュージーランドでは1年以上在住、スウェーデンとデンマーク、ノルウェーでは3年以上在住、オランダが5年以上在住となっている。

(委員)

  • 韓国では外国人の地方参政権が認められているため、その意見を出されたのが韓国籍の人であれば、そのような状況をよくご存知であるからこそ、そのようなご意見を出されたのではないだろうか。
  • 韓国で設けられている要件の設定理由がわかれば、参考になると思われる。
  • ちなみに、韓国では住民投票法も制定されている。

(関係局課/選管)

  • 現在は継続審査になっているが、日本においても外国人の地方参政権を認める法案が審議された経緯がある。その法案は、一般永住資格者と特別永住資格者について、当該市町村に3か月以上居住していれば参政権を認めるという内容になっており、一般永住資格者と特別永住資格者は、そもそも日本国内に生活の根が張っているという前提に基づいている。
  • また、住所要件については、永久選挙人名簿との整合性を考慮して、3か月以上とされている。
  • さらに、在外選挙制度という仕組みがあり、国外の住所を管轄する領事官の管轄区域に引き続き3か月以上の在留資格をもって居住している方に在外選挙権を与えている状況にある。

(事務局)

  • 外国の制度については、設定されている要件とその理由を調べて整理したい。

 

(7)市長発議(資料2「フォーラム等で出された市民意見」、資料4「個別論点の検討」)
 →市長の発議について議会の議決をかませるということは、市長の発議権を侵してしまうのではないかという懸念もあるが、これまでの検討委員会では、議会から十分な意見をもらうという方向で整理されてきたという経緯がある。議会発議と住民発議とのバランスを踏まえて、市長発議に対する要件について、ご議論いただきたい。

(委員)

  • 議会の会期外に市長発議が行われた際は、どのように対応することになるのだろうか。

(副委員長)

  • 定例会は年4回開かれているため、その時期に報告して意見をもらった上で判断すればよいのではないだろうか。おそらく、議案ではないため、会期外だからといって招集はできないことになるだろう。

4.その他

次回の検討内容

(事務局)

  • 次回の検討委員会(当初予定していた8月10日ではなく8月28日(月)に変更)では、本日議論できなかった「8.再発議の制限期間」とそれ以降の検討を行うこととさせていただきたい。
  • 検討資料については、整理でき次第、送付させていただくこととしたい。
  • なお、資料4に挙げた10項目の論点について、フォーラムでいただいたご意見等を踏まえて、このように修正したらよいのではないかなどのご意見やご提案等があれば、8月5日くらいを目途にお寄せいただきたい。

 

《次回以降日程(予定)》

  • 第10回検討委員会:平成18年 8月28日(月) 18:30~20:30 於:高津区役所 第1会議室(予定)
  • 第11回検討委員会:平成18年 9月22日(金) 18:30~20:30 於:高津区役所 第1会議室(予定)

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