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夢見ヶ崎

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2010年12月27日

コンテンツ番号51

空から見た夢見ヶ崎

空から見た夢見ヶ崎

住所

幸区北加瀬1-13-1ほか(夢見ヶ崎動物公園内)

交通案内

JR・京浜急行「川崎駅」西口から、川崎市バス川63・64・66・83系統「夢見ヶ崎動物公園前」下車、徒歩約7分

地図

古墳群

三角縁神獣鏡

三角縁神獣鏡

 矢上川下流の広い沖積低地の中に、夢見ヶ崎(加瀬山)と呼ばれる標高30mほどの細長く突出した台地があります。太田道灌がこの地に城を築こうとしたが、鷲に兜を取られる縁起の悪い夢を見たために築城をあきらめたという伝承にちなんで、この地名が付けられたといわれています。

 夢見ヶ崎の台地上には、現在わかっているだけでも11基もの古墳や古墳と考えられる塚が築かれていました。これらの古墳は総称して加瀬台(夢見ヶ崎)古墳群と呼ばれており、4世紀後半から7世紀後半にかけて築造されたと考えられています。

 白山(はくさん)古墳は4世紀後半頃に築かれた武蔵国でも最も古い大形の前方後円墳で、全長は87mを測ります。昭和12(1937)年に発掘調査され、遺体を安置した主体部からは鏡類・玉類・鉄器類など多量の副葬品が発見されました。なかでも三角縁神獣鏡(さんかくえんしんじゅうきょう)と呼ばれる青銅製の鏡は初期の大和政権から分け与えられたと考えられるもので、中央との関係を物語る重要な資料です。

 第六天古墳は7世紀後半に白山古墳の西隣に築造された円墳で、墳径は19mを測ります。昭和12年の発掘調査では、横穴式石室から勾玉(まがたま)や金銅製鈴などの副葬品とともに11体もの遺骸が発見されました。

 白山古墳と第六天古墳は既に湮滅してしまいましたが、台地の上には現在7基の古墳や古墳と考えられる塚が残されています。

 このうち、第3号墳は7世紀後半に築かれた横穴式石室墓で、昭和26(1951)年の発掘調査では鉄釘や麻織物の断片とともに成人男子の人骨片が発見されました。台地中央部の了源寺境内にある第4号墳は5世紀後半に築造された円墳で、この古墳からは、明治末年に獣身鏡(じゅうしんきょう)2面と鉄斧が出土したということです。

 矢上川をはさんだ加瀬台古墳群の対岸には、日吉矢上古墳や観音松古墳などの日吉台古墳群があります。これらの古墳群は、矢上川流域の豊かな土地を背景とした地方豪族たちの台頭と変遷のあとを偲ばせてくれます。

秋草文壺

秋草文壺

秋草文壺

 秋草文壺(あきくさもんつぼ)は夢見ヶ崎の台地の西端、市内唯一の前方後円墳として知られる白山(はくさん)古墳の後円部下側から、昭和17(1942)年の土取り工事中に偶然発見されました。完全な形で掘り出されたこの壺は、粘土を敷きつめ河原石を積んだ遺構の中に置かれており、壺の中には火葬された人骨が詰まっていたということですから、骨壺(火葬骨蔵器)として利用されていたものと考えられます。

 高さ42cm、口径16cm、胴部径29cm、底部径14cmを測るこの壺は、口はやや外反して胴の上部が最もふくらみ、底に向かってすぼまっていく優雅な器形をしています。また、肩から胴の上部にかけて黄緑がかった自然釉(ゆう)がかかっていて、一段と壺の美しさを引き立てています。

 この壺の最も大きな特徴は、その名のしめすとおり、口から胴部にかけて刻み込まれた秋の風物にあります。ススキ・ウリ・柳などの秋草やトンボなどの文様が大胆とも思えるような構図で釘彫りされており、日本的な秋の風情を伸びやか、かつ情趣豊かに表現しきっています。

 このような文様の描き方は、従来からの中国陶磁の強い影響から抜け出して、日本人みずからが作り上げた新しい表現方法でもあったのです。この壺は、そうした日本陶磁の新しい動きを象徴する代表的な作品であり、平安時代末の12世紀後半頃に愛知県の渥美窯(あつみよう)で焼かれたものと考えられています。

 こうした日本を代表するような壺が、どうして南加瀬の地に骨壺として埋葬されることになったのか、また、この壺の中に遺骨を納められた人物はいったい誰だったのか。この壺をめぐる問題には非常に興味深いものがありますが、詳しいことは未だ謎に包まれています。

 この壺は発見当時の経緯から慶應義塾大学が所蔵するところとなり、川崎の地を離れてしまいましたが、昭和28(1953)年には国宝に指定され、現在は東京国立博物館で展示公開されています。

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