紙本着色 閻魔府之図
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紙本着色 閻魔府之図 1幅
年代
江戸時代
法量
縦191cm 横154cm
所有者
東明寺(幸区塚越2-118)
指定
市重要歴史記念物 平成8年(1996)1月25日
解説
仏教美術史の中で近世の仏画は、類型化がすすみ、形骸化して芸術的生命力に乏しいというのが一般的な評価である。
しかし、地方寺院の文化財調査が進行するにともない、近世の仏画の中で、特に地獄絵のジャンルでは宗派を問わず多数の作例があり、なかに稚拙ながら評価すべきもののあることが明らかとなってきた。
本図はその例であり、大画面の上部に閻魔王を描き、人頭杖、浄玻璃の鏡、眷属などを配している。閻魔像は姿勢良く正面を向き、忿怒の相を呈しながら、その表情は明るく、リズミカルな手の動きとともに叱咤の声が聞こえてくるようである。
一方、上部右手には本地仏(ここでは閻魔王の本地である地蔵ではなく不動明王)と、これを拝する一老婆を、下方右手には賽の河原に石を積んだ幼童と、これを救済する地蔵菩薩、左手に血の池地獄と、これを救う如意輪観音と、同一画面中に三種の仏(ほとけ)を配する。
このように伝統にこだわらない大胆な画面構成と、登場する鬼卒の明るい表情など、地獄絵の近世的な新しい展開として注目される。作者不詳。
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