スマートフォン表示用の情報をスキップ

Language

1 川崎市子どもの権利委員会の意義と役割

ツイッターへのリンクは別ウィンドウで開きます

twitterでツイートする

2005年1月19日

コンテンツ番号4860

 川崎市子どもの権利委員会は、子どもの権利条例に基づいて設置されている第三者的機関である。この子どもの権利委員会第1期の活動を報告するに当たって、全国初でもあり、国際的にもほとんど類例のない子どもの権利委員会の意義、位置づけ、役割などについて述べておきたい。なお、第1期子どもの権利委員会の成果と課題については、「子どもの権利委員会の自己評価」で詳述している。

子どもの権利の視点に基づく子ども施策の検証

 子どもの権利委員会は、単なる第三者「評価」機関ではなく、子どもに関する施策を子どもの権利の視点から検証する機関である。ここでいう「検証」とは、子どもの権利に関する実態・意識調査等を通じて子どもの権利保障状況を把握し、また行政の自己評価に基づき行政や市民等と対話を行い、それらの結果をふまえ、子ども施策の進展にむけた提言を行う一連の活動である。なお、子どもの権利委員会は、子ども施策がもたらす個別の事例や事件を直接取り上げて審議する機関ではない。個別の事例や事件の背景にある施策の現状や課題について、行政の自己評価や対話等を通じて検証し、提言を行うのである。
 また、この検証のプロセスでは、子どもをはじめとする市民参加が重視される。子どもは、行政からすると、もっぱら施策の対象と位置付けられるが、子どもの権利条約や子どもの権利条例にあるように権利の主体である。子どもは権利の主体であるという視点から、子どもの権利がどこまで保障されているのかについて、行政の自己評価のみならず子どもをはじめとする市民の評価も含めて検証することが大切である。
 この検証のプロセスを貫くものは子どもの権利保障という視点である。これは、これまで国や自治体ですすめてきた事業評価や政策評価とは異なり、子どもの権利を基準にした新たな事業評価・政策評価と言えよう。これまでの事業評価・政策評価の主な課題は、厳しい財政状況のなかで事業や施策を中止したり、見直したり、予算や人を削減したりすることであった。その手法は基本的に行政の内部評価であり、そこでの主要な判断基準は、行政としての政策や事業等の当否であり、効率性である。しかし、事業・政策の多くは権利(人権)保障にかかわるので、評価の視点や方法に権利(人権)を含めることが重要である。子どもにかかわる事業や政策の評価にあたっても、その効果として予算や人の効率化、事業の改善、説明責任の向上、職員の意識改革などにとどまらず、子どもの権利保障にどこまで貢献したかという視点を位置づけることが不可欠である。
判断基準となる子どもの権利は、子どもの権利条約と子どもの権利条例に基づく。
 この検証のプロセスは、子ども施策の計画・実施・評価の総合化につながり、施策評価への子どもをはじめとする市民参加をすすめるものである。

条例の効果的な実施と検証につながる活動のしくみ

 第1期子どもの権利委員会は、まず、市長の諮問事項である「子どもの参加」を含む子どもの権利や権利条例にかかわる実態・意識調査を行った。その上で、子どもの権利委員会が設定した視点・項目等に基づく「子どもの参加」に関する施策の自己評価を行政に依頼した。この行政による自己評価の結果を広く市民に公表し、意見をいただいた。それらをもとにして、行政、子どもをはじめとする市民との対話を行った。さらに、子どもの権利委員会で審議し、市長へ答申をした。行政は、答申を受けて講ずる措置を検討し、子どもの権利委員会に報告をするとともに市民に公表した。このような検証結果をふまえながら、子どもの権利委員会は行政が策定する「子どもの参加」を中心とした第1期行動計画への意見具申を行った。
 この一連の活動は、条例の趣旨や具体的な規定を普及させるとともに、子どもの参加を中心とした施策を総合的かつ現実的に進展させることに貢献している。

子どもの権利委員会の組織と主体的な活動

 子どもの権利委員会の委員は、子どもの権利条例により、「人権、教育、福祉等の子どもの権利にかかわる分野において学識経験のある者及び市民」(第38条第4項)から構成されている。公募委員を含む委員の専門あるいは活動分野の多様性は、多角的な審議や効果的な提言をもたらしたと言えよう。
 子どもの権利委員会の実際の活動においては、委員が可能な範囲で学校や施設、さらには学校教育推進会議や川崎市子ども会議等の会場にも出かけていき、ヒヤリングや意見交換をするなかで、主体的に実態の把握や成果・課題の分析を行うようにした。そして、行政がつくった枠組や内容に対して質問したり、意見を述べたり、あるいは承認するというのではなく、委員同士の自由かつ活発な議論に基づき、委員会自らが視点・内容・手法を提示しつつ、検証、答申等を行った。
 また、行政は子どもの権利条例の施行に伴い、市民局に「子どもの権利担当」をおくとともに、関連部署で構成される「子どもの権利施策推進部会」を設け、施策の調整・推進を図っている。そして、関連部署の職員が、子どもの権利委員会を傍聴し、議論を直接聞くことによって、子どもの権利や条例について意識を高めるとともに、それを施策に反映させていこうとしている。

パートナーシップの視点と手法としての対話

 子どもの権利委員会は、委員、行政職員、市民によるパートナーシップ型の検証機関として位置づけられ、その活動もパートナーシップの視点と方法が重視されている。
 このことは、上で述べた子どもの権利委員会の意味や仕組みにも関係するのであるが、子どもの権利委員会は、行政の施策を追認したり権威づけたりする機関でもないし、(緊張関係はあるが)敵対的な関係の機関でもない。その活動においては、子どもの権利の実態あるいは子ども施策の現状等について、一定の基準に基づく第三者的な評価よりも対話的な手法のもとで、子どもの権利委員会と行政や市民等が理解を深めたり、成果や課題を見出したりするという方法を大切にしている。
 子どもの権利をはじめ権利(人権)の保障にかかわることがらの大部分は、議会や行政任せでは実現しない。市民あるいは市民グループのかかわりや参加が不可欠であるし、そのための条件整備が求められる。子どもをはじめとする市民の参加は、行政だけでは把握できない子どもの現実や取組の実態などを明らかにすることに貢献し、権利条例の内容とその実施をより現実的で効果的なものにする。そのなかでも、子ども自身の参加がいっそう重要であることは言うまでもない。
 子どもの権利委員会は、第1期を通じて、行政、市民・市民グループをパートナーとして位置づけ、協働で取組をすすめるという視点と方法を模索した。その中で、子どもの権利委員会という組織が全国初であったために、行政には子どもの権利委員会の意義、役割、仕組み等をきちんと理解してもらいつつ、検証作業等を進めるということを重視した。そのことにより子どもの権利委員会と行政のパートナーシップは着実に進展したと言えよう。しかし、子どもの権利委員会と市民・市民グループ、あるいは行政と市民・市民グループとのパートナーシップについては、課題は多いのが現状である。

条例の理解・啓発機能を持つ委員会活動

 子どもの権利条例が子どもをはじめとする市民参加のもとで丁寧につくりあげられ、議会でも全会一致で成立したにもかかわらず、子どもの権利及び子どもの権利条例についての理解は、行政においても市民においても決して十分とは言えない。このような中で、子どもの権利委員会の行った実態・意識調査、行政に示した自己評価実施計画、行政・市民等との対話、あるいは子どもの権利委員会での審議自体が、子どもの権利や子どもの権利条例についての理解・啓発の役割を果たしてきた。

着実に進展した「子どもの参加」

 このような子どもの権利委員会の活動の中で、子どもの権利条例の啓発・普及が進展している。また、子ども施策に子どもの権利の視点が広がってきている。さらには、子どもの権利委員会と行政との連携、行政内部の連携が強まっている。
 その結果として、第1期の検証テーマであった「子どもの参加」にかかわる施策は、第1期子どもの権利委員会の答申及びそれに対する行政の措置報告などを見ても明らかなように、着実に進展している。詳細は、本報告書の関係箇所にゆずるが、次のような点が指摘できるであろう。
 子どもの参加が進展することによって、子どもの自己肯定感が強まり、子ども同士、子どもと育ち・学ぶ施設の職員等との豊かな関係が広がりつつあり、子どもが社会を構成するおとなのパートナーとして自律的な力を得てきている。
 また、子どもの参加が進展しているところでは、おとなが、参加する子どもの姿とその力を見ることによって、子どもに対する見方が変わり、育ち・学ぶ施設の職員や行政職員の子どもへの向き合い方も変化しつつある。
 さらに、後述するように、条例に基づいて子どもの参加をすすめることにより、子どもにかかわる事業や施策に深まりと広がりができてきている。

国内外から高い関心と評価を受けている活動

 なお、付言すれば、子どもの権利条例がそうであるように、子どもの権利委員会の活動も子どもの権利条約をはじめとする国際水準を常にふまえている。だからこそ、子ども施策に取り組んでいる多くの自治体関係者や研究者等が子どもの権利条例とその実施に注目し、問い合わせ、調査に来ている。また、子どもの権利条例の制定に取り組んでいる韓国・富川(プチョン)市からも参考にされており、実際に交流も行われている。さらに、日本における子どもの権利条約の実施状況を審査した国連「子どもの権利委員会」でも委員から注目され、評価されるとともに、ユニセフがすすめる国際戦略「子どもにやさしいまち」事務局においても高く評価されている。

このページに対してご意見をお聞かせください

このページは役に立ちましたか?
このページは見つけやすかったですか?

いただいたご意見は、今後の当ホームページ運営の参考といたします。

お問い合わせ先

川崎市 こども未来局青少年支援室

〒210-8577 川崎市川崎区宮本町1番地

電話:044-200-2688

ファクス:044-200-3931

メールアドレス:45sien@city.kawasaki.jp