条例制定の背景となった事情は何ですか。

　川崎市は、戦前・戦後を通じて京浜工業地帯の中核として発展してきた工業都市で、日本国内はもとより、海外からも多くの人が移り住んできた「多文化のまち」です。市内では、平成25年5月から平成28年1月までにかけて、計12回にわたり、JR川崎駅前の繁華街を中心として、本邦外出身者の排斥を訴える内容のデモが繰り返し行われ、地域に居住する市民の平穏な生活が脅かされました。平成28年6月2日には横浜地方裁判所川崎支部より「違法性が顕著である」としてデモを禁止する仮処分命令が発せられ、同年8月1日には法務省横浜地方法務局長より「他者の人間としての尊厳を傷つけるものである」として、同様の行為を行わないよう勧告が行われました。

　この条例は、上記の一連の事情を背景として、こうしたデモを再発させてはならないとの市の強い決意に基づき、制定に至ったものです。