1-5-(1)　良質な水の安定供給

• 水道事業は、1921年に多摩川の表流水を水源として給水を開始して以来、人口の急増や産業活動の進展などによる水需要の増大に伴い、事業の拡張を続け、2003年度では1日98万7,900m3の給水能力を保有しています。しかし、近年の水需要は、市民の節水意識の浸透や節水機能を有する電化製品の普及とともに、産業構造の変化や回収水の再利用などによる大口使用の減少により、2003年度の1日最大配水量は53万1,100m3であり、給水能力と配水量の大きな較差が課題となっています。
• 水道施設の多くは、経年老朽化が進んでおり、今後水道施設全体にわたる大規模な更新時期を迎えます。そこで、将来の水需要に見合った給水能力に見直すことを基本にして、事業規模についても適正化を図り、効率的かつ効果的な水道施設に転換し、水道事業の経営に与える影響を低減する必要があります。その上で、経営の効率化をさらに促進し、持続可能な水道事業に再構築する必要があります。
• 安全なだけでなく、おいしい水を飲めるようにすることが、水道事業において求められている課題です。そのためには、生活排水などによる水道水源の水質悪化などに的確な対応ができるよう水質管理・監視体制の充実を図るとともに、水道水源の水質保全や浄化を図ることが大切です。
• 災害時においても飲み水などライフラインを確保することは重要な課題です。水道施設の耐震化を計画的に進めるとともに、災害発生直後の給水を確実にできるようにするため、バックアップ体制や応急対策の充実を図る必要があります。
• このような水道使用者が必要とするサービスの提供を確実に行うには、水道使用者との相互理解に基づく事業推進を確保しなければなりません。このため、より正確で客観的な情報発信を行うとともに、広聴事業の強化・拡充を図る必要があります。

現状と課題を踏まえ、以下の施策課題に取り組みます。

• 相模湖、津久井湖などの水源地の環境整備などにより、水質の安定した水道水源を確保するとともに、水質管理・監視体制の充実を図ります。
• 1950年前後に集中的に建設された導水施設など水道施設の老朽化が進んでいることから、引き続き良質で安定的な水の供給を確保するため、老朽配水管や給水管などの更新を計画的に実施していきます。
• 災害発生時における給水への影響を最小限にするため、施設耐震化実施計画を定め、水道施設の耐震化や耐震管路の整備を進めるとともに、被災住民に飲料水を供給するため、循環式地下貯水槽の整備を進めます。

• 広報誌やインターネットのホームページなどを活用して、水質情報や水道事業の経営情報などを発信するとともに、水道使用者の意見を水道事業に反映する取組を進めます。
• 受水槽を設置することなく、常に新鮮な水を給水できるようにするため、給水条件を満たす地域について直結給水の対象範囲を拡大します。
• 鷺沼プール跡地の有効活用を図るため、市民開放型の小学校や保育所を含む福祉施設とともに、市民意見を取り入れながら、市民の憩いの場としての広場やフットサルの運動施設の整備を進めます。

• 長期水需要予測に基づき、給水能力の見直しなどによる水道事業の再構築を進めるための基本計画を策定するとともに、これに基づき施設や事業所の統廃合など組織・職員数の見直しを進め、さらに効率的な経営に向けて取り組みます。
• 健全な水道事業財政を維持しながら、さらに民間的事業手法の導入を視野に入れて、需要に応じた負担のあり方を検証した上で使用者負担の見直しについて検討を進めます。
• 環境会計の手法により、環境保全への取組状況を水道使用者に情報公開するとともに、環境に配慮した事業運営を推進していきます。