スマートフォン表示用の情報をスキップ

Language

平成13年度市民自治の拡充に向けた制度・枠組み研究会

ツイッターへのリンクは別ウィンドウで開きます

twitterでツイートする

2004年11月11日

コンテンツ番号6430

平成13年度市民自治の拡充に向けた制度・枠組み研究会(かわさき市民自治基本条例研究会)

本研究会では、「市民自治の拡充に向けた新たな制度の意義・枠組み」を研究する一環として、川崎市における「自治基本条例」の導入を検討しました。

メンバー
(座長)
 辻山 幸宣 氏(中央大学法学部教授)
(委員)
 人見 剛 氏(東京都立大学法学部教授)
 小島 聡 氏(法政大学人間環境学部助教授)
 土山希美枝氏(龍谷大学法学部助教授)
 打越 綾子 氏(元川崎市総合計画課題専門調査員)

報告書は以下からダウンロードできます。

報告書概要

自治基本条例とは何か

(1)分権時代にふさわしい新たな自治システムの構築を目指して

 地方分権一括法の施行(H12.4)による国と地方の関係の変化:国家統治の一環と位置づけられた自治体から国と地方の対等な関係にたつ自治機構へ

国と地方の関係の変化

分権時代の地方自治体の役割
⇒それぞれの地域で、市民の信託に基づくさまざまな目的と達成する

 政策の策定や執行にあたって、市民の信託された範囲からの逸脱を回避する措置を講じ、常に市民の意思はどこにあるか、市民の地方自治体への信託内容の確認を図ることが必要

 しかし、いつも活動のたびに信託の内容を確定することは非効率である。

自治基本条例=分権時代にふさわしい新たな自治システムを構築する上で必要となる行動の指針や判断の指針
《分権時代にふさわしい「自治体」と「市民」の関係を明示する『自治基本条例』》

自治体と市民の関係

(2)自治基本条例策定の意義

  • 市民自治を起点として
    市民の名において、自治体行政・議会の役割そして市民自身の責務と権利を定義することで、市民からの信託内容が明らかなものとなり、市民自治の根拠法となる。
  • 画一的な法制度の枠組みを越える契機として
    全国一律の既存制度がそれぞれ特性を持った地域の政策課題に適合しないならば、自治基本条例の策定に伴い市民の信託内容を再確認することで、既存の法枠組みを超える内容を盛り込む可能性が生まれてくる。
  • 新しい市民自治理念の波及の場として
    地域総合性という観点から、行政分野を横断するシステムづくりなどの新たな取り組みに挑み、それが新たな法制度の構築につながる契機となることを目指すべきである。
  • 市民参加の根拠として
    これまで、さまざまな形の市民協働事業が展開されてきているが、参加と協働の原則等を改めて明記することで、自治体と市民の役割が明確となるとともに、市民による市政への参加がこれまで以上に容易になる。
  • 市職員の意識改革の手段として
    これまで実績として積み上げてきた諸制度や政策を市民自治の視点から体系化・規範化することで、市職員の行動規範を確立し、市職員の責任意識の向上を促すことが、自治体改革の手段となる。

(3)自治基本条例のタイプ

「権利のカタログ」「市民自治の体系(自治の機構と運営上の原則)」のどちらを目指すか

  • 権利のカタログ
    市民の権利を網羅的にまとめた一覧性の高いもの
  • 市民自治の体系(例:ニセコ町のまちづくり基本条例)
    「参加と協働の原則」と「情報の共有化原則」を掲げ,「まちづくりへの協働過程」「計画策定手続」「条例制定手続」「市民投票制度」「情報公開制度」「政策評価制度」などの規定を定めるもの



    市民のテキストとして,多くの市民が活用できるような「市民自治の体系」にすべき
    ⇒自治体の政策・施策等が市民意見を踏まえて形成されるよう、政策決定に至る「参加と協働の原則」や「情報共有化原則」等を規定し、市民にとって身近で、市政の姿を束ねるテキストとして,多くの市民が活用できるような「市民自治の体系」にすべき

「自治基本条例の最高規範性を何によって担保するか(最高法規or基本法規)

  • 自治基本条例は,市民の自治体に対する信託内容を明示する自治体憲法のような役割を担うものである。
  • 最高法規性に関して,議決要件の強化や住民投票手続等を盛り込むことも考えられるが,特別多数決の規定を盛り込むことは地方自治法(定足数規定,表決・特別多数決規定)との関係を整理する必要がある。
  • そのため,自治基本条例は,変動する社会のニーズ,市民のニーズに呼応し,社会の要請や法律の改正に伴い柔軟に対応できるものにすることが必要といえる。



    広範な市民参加によって作成し、実質的に最高位の条例となるようにすべき
    ⇒憲法のような硬性的な条例をつくるのではなく、軟性的な条例にすることが望ましい。すなわち、条例の正当性を高めるためには制度的な担保ではなく、条例制定の過程でどのくらい多くの市民がかかわり、市民同士の合意によって策定されたか等、実質的に担保して行く方法が望ましい。

自治基本条例の基本フレームについて

3つの原則を織り込んだ自治基本条例に

 自治基本条例は、

  1. 市民の信託に基づいて自治体が事業を遂行するという理念:「価値原則」
  2. 市民、行政、議会などの具体的な活動の方針や責任の明確化:「機構原則」
  3. 自治システム実現のためのルール:「運営原則(ガバナンス)」の3つにわけて検討する必要がある。
新たなかわさき版自治システム

(1)価値原則~自治基本条例の基本原理~

■信託関係の明示

  • 市民の信託に基づく自治の内容と責任の所在を明確にすることが必要である。

 

■市民の定義

  • 川崎市政への信託者を「居住者・住民」と考え,厳密にそれ以上の限定を図らないと考えるならば,あえて「市民」の定義をする必要はないようにも思える。
  • 市民の定義を具体的に検討する場合においては,市民の定義こそ,市民同士の議論の中から決められるべきものと考えることが適当であり,できる限り多くの市民の意見を参考にすべきである。

→市民の定義については,「川崎市に居住する者」と考えるが,いずれにしても,広範な市民の議論を踏まえて決定すべき

(2)機構原則~市民と市長、議会等との関係~

■市民の役割と責務

  • 市民自治とは,市民が地域の課題等の解決に向けて自ら行動することであり,市民自治を実現するためには,市民が,地域のまちづくりに主体的に関わっていく権利を有することを規定する必要がある。
  • 市民は,まちづくりへの参加の権利を行使する過程において,市民同士で自主・自立的な互いの行動を尊重しあい,自らの発言と行動に責任を持たなければならない。
  • 地域単位で豊かな暮らしを実現しようとするために形成されたコミュニティこそ,市民自治の原点であり,市民一人ひとりがお互いに助け合い,育ち合う心豊かな地域社会を目指すことが重要である。

 

■市長の役割と責務

  • 次のような規定を置くことで,市長の権限が市民の信託によるものであることが明確になる。
    →「市長は,市民の信託に応え,市政の代表者として市民自治の理念を実現するため,公正かつ誠実に市政の執行に当たらなければならない。また,他の執行機関も,それぞれの管理に属する事務について,市民自治の理念を体現しその権限と責任において,職務の執行に当たらなければならない。」
    →「市長は,就任に当たっては,その地位が市民の信託によるものであることを深く認識し,地方自治権の一層の拡充と憲法及びこの条例の理念の実現のため,公正かつ誠実に職務を執行することを宣誓しなければならない。」

 

■議会の役割と責務

  • 地方自治体の行動する根拠が法律に拠るばかりではなく,市民合意によっても行動の範囲や権限が与えられると考えれば,市民が,条例により議会の設置を確認し,その権限の範囲を設定することも可能になる。
  • 市議会は,議事機関としての責任を常に認識し,長期的展望をもって意思決定に臨むとともに,市民の意思が市政に正確かつ迅速に反映されることを念頭において活動しなければならない。

→市民自治を実現するための「市民」「市長」「市議会」の役割と責務を明確にすべき
・市政の代表者としての「市長」の役割と責務
・市民自治の主権者としての「市民」の役割と責務
・市民意思の反映者としての「市議会」の役割と責務

 

■行政権限の分節化~区行政改革の推進など

□今後の区行政改革の方向性について

  • 区ごとに市民の関心度や対象となる事案にも違いがある。このため,自治基本条例を策定する前提として,区の実状をきちんと把握し,区民の意見がきちんと反映できるようなシステムづくりが必要となる。
  • 区役所を専門性の高い「地域の総合行政機関」とするとともに,市民参加型事業に対する行政内のシステムづくりをすすめるためには,区役所を含めた連絡調整機能の強化が求められる。

市民と行政の協働拠点としてのあり方を考えるべき
⇒区は、市民にとって最も身近な行政組織であり、市は、区行政が、十分な市民サービスのために行われるよう最大限の配慮をしなければならない
⇒市民の自主的な活動を支援したり、関係局と市民との距離を縮めるなど、市民自治の内容を高めるため、区行政の拡充が求められる。

□区をどのように定義するか~自治体内分権(行政分権)OR自治体内都市連合(政治分権)

  • 川崎市の行政区の20万人程度という人口規模は,行政区という現行制度を離れ,都市連合的な制度を考えるには適当な大きさと考えられる。
  • 区が調整機能をもち,地域民主主義の拠点となるために必要な枠組みを具体的に検討することが必要になるが,自治基本条例でどこまで書き込むかについて,慎重な議論が求められる。

→どちらのイメージにたったとしても,市民に必要な業務の大半は区で仕事が済むように,区行政重視の基本原則を描くべき
また,区行政改革にあたっては,単に組織編成を変えるだけにとどまらず,区行政に区民意見を反映させる区民参加組織についても検討すべきである。

(3)運営原則~市政を運営するにあたっての原則~

  • 新たな川崎型市民自治システムのテキストとして「自治基本条例」を策定するためには,市民の信託(価値原則)に基づく自治体の機構(機構原則)の内容を定めるだけでなく,市政を運営するにあたっての原則(運営原則)を定めておくことが必要になる。
  • 運営原則については,「参加と協働の原則」がベースになるものの,条例で参加と協働を謳うだけでは真の自治を実現することは難しく,あわせて「行政情報の共有化原則」を打ち立てることが前提となる。また,これらの原則を実現させるための各種制度についても検討することが必要である。

 

■参加と協働の原則

  • 参加と協働の原則:市民自治のための基本原則を確立するために,市民の市政に参加する権利の保障を行ない,とりわけ,子ども,障害者,外国人などそれぞれの立場での参加のための配慮を行なうことも規定する必要がある。また,効率よく大きな効果を生むためには,市民参加原則に加え,市を構成する各主体がそれぞれの果たすべき責務と役割を自覚し,相互に助け合い,協力するために必要となる協働のルールを規定することも必要となる。
  • 計画・実施・評価等の各段階への参加:施策・事業等の計画,実施,評価等の各段階において,市政に対する市民の参加が円滑に行えるよう,市政遂行の各段階に応じ,必要な情報提供に努めるとともに,パブリックコメント手続に基づき市民意見を集約し,市民意見を採用できないときはできる限り詳しく具体的に,その内容を市民に説明することが必要となる。

→市民の市政への参加を担保する「参加と協働の原則」が必要
 ⇒施策の計画・実施・決定・評価の各段階への参加と協働
 ⇒計画策定過程への参加と協働のための市民ルール
 ⇒条例など策定過程への参加と協働

 

■行政情報の共有化原則

  • 「参加と協働の原則」を実現するためには,「行政情報の共有化原則」が必要となる。
  • 条例,規則,要綱,要領などについて,市民にわかりやすい検索システム等を検討することも必要である。

→「参加と協働の原則」の前提となる「行政情報の共有化原則」も必要
 ⇒政策形成サイクルの確立と政策評価
 ⇒行政情報の提供と説明責任の履行
 ⇒予算編成過程から決算の認定までをわかりやすいかたちで公表するシステムの確立
 ⇒公正の確保と透明性の向上のための行政手続の確立

 二つの原則を実現

■原則実現のための各種制度

  • 住民投票制度:自治基本条例には一般的な規定を定め,市政を二分するような具体的な問題・政策課題が生じたときに,別途,具体的な条例を定める方法もある。いずれにしても,住民投票の制度設計は慎重に行うべきである。
  • 市民活動のエンパワーメント:既定の「川崎市市民活動支援指針」に加え、自治基本条例で,行政が市民ニーズへの的確な対応を図ることや,市民活動支援の根拠となる規定を明記すべきである。
  • 住民救済手続:自治基本条例には,市民が川崎市政に意見を述べる機会のあること,行政の応答義務等を明記すべきである。また,市民の権利救済手続の一環として,今後の運用が期待される「人権オンブズパーソン制度(平成14年4月に施行)」との関係を記入しておく必要もある。
  • 行政評価制度:自治基本条例には,まちづくり事業等の妥当性評価や行政運営のサイクル(計画→実施→評価)の各段階での評価,評価の公表及び政策等への反映方法等,「政策評価条例」の原則的な部分を明記すべきである。

→「参加と協働の原則」「行政情報の共有化原則」を実現するための各種制度の検討が必要
⇒住民投票制度⇒市民活動のエンパワメント⇒住民救済手続⇒行政評価制度

自治基本条例と,基本構想,基本計画,個別条例等との関係

□基本構想,基本計画,実施計画との関係は?

  • 自治基本条例に掲げられた「参加と協働の原則」や「行政情報の共有化原則」など,各種の市民自治制度をもとに,市民はさまざまな場に参加し,主体的に行政施策に意見を反映させたり,事業執行の過程で行政と協働作業を行うことにより,基本構想の理想の実現に努めていくものである。
  • また,基本構想の中でしめされた都市像の具体的内容を実現するため,市民は自治基本条例を根拠として,基本計画,実施計画,具体的な事業内容づくりに積極的にかかわることができ,行政は計画づくりの段階において,具体的な計画内容や方向性を明確に説明する義務が生ずることになる。

→自治基本条例は,基本構想と共に都市像を市民が実現していくためのツール
⇒具体的な権利の内容は、政策・施策によって担保されるもの

 

□分野別基本条例との関係は?

  • 自治基本条例は川崎市としての市民自治のルールを制度化したものであり,分野別の個別的・具体的な事業についての方向性や理念をまとめたものが,環境や住宅など,各種政策に関する基本条例と考えられる。また,「介護保険事業計画・第二次高齢者保健福祉計画」「かわさきノーマライゼーションプラン」「青少年健全育成基本計画」「生涯学習推進基本計画」「川崎市環境基本計画」「産業振興プラン」「男女平等推進プラン」などの分野別の基本計画も,基本条例と同じ意味合いを持っている。

→自治基本条例=市民自治のルール(信託・自治)
 分野別基本条例=個別具体的な事業についての方向性や理念をまとめたもの

都市像を実現するためのツール

自治基本条例策定作業の進め方について

自治基本条例の有無による市民生活の違いについて

  • 市民側からみた基本条例の必要性:市民活動の支援や協働作業を行う上での重要な根拠
  • 行政側からみた基本条例の必要性:市民に対して,行政が行う事業等を説明する際の根拠。行政が行う事業スタイルの継続性を保つために必要となる行政内規律の共通基準。

→自治基本条例の有無による市民生活の違いを想定し,市民側・行政側の両面からみたメリットを整理することで,自治基本条例の必要性も明らかになる

市民参加手法について

□会議ルール等の市民参加手法の検討

  • 分権型自治体の担い手となる市民の意向を十分に反映させた自治基本条例を策定するためには,市民委員会の立ち上げ前に,市民参加の具体的手法(下図参照)や規模等を検討しておく必要がある。
  • なお,方式に関わらず,市民同士が議論し会議を運営していく上での会議ルールの設定は必要となる。
  • 平成14年度には,基本構想・基本計画の策定作業が市民参加ではじまることが想定されており,双方の策定作業の調整を行い,協力して作業を進めることが必要になるだろう。

 

□策定プロセス重視の条例づくり

  • パートナーシップ型で策定作業を進める場合には,市民の検討委員会において,市民同士が意見をぶつけあい,互いに譲歩と妥協を繰り返しながら基本条例をつくっていくというプロセスが重要である。
  • このようなプロセスを通じ,市民が住民自治に関する学習を積むことが大切である。

 

□自治基本条例の検討方針

  • あるべき論を議論するのではなく,具体的な事業をもとに,市民意見をどう反映させるか,市民にどう情報を伝えるべきか,実際のシミュレーションを通じての議論が有効と考えられることから,既存の条例策定手法とは違い,作成主体は市民とすることが望ましい。
  • しかし,制憲会議のような方式で行う場合には,議会など関係主体を包括的に入れ込む必要がある

市民の手で,合意形成しながら条例をつくっていくというプロセスが重要
 ⇒市民の手によって、会議ルールをつくって、議論をすすめていくべき
 ⇒条例制定の学習過程に大きな意味がある

(仮称)かわさき版市民自治基本条例検討委員会 フロー(案)

このページに対してご意見をお聞かせください

このページは役に立ちましたか?
このページは見つけやすかったですか?

いただいたご意見は、今後の当ホームページ運営の参考といたします。

お問い合わせ先

川崎市 市民文化局コミュニティ推進部協働・連携推進課

〒210-0007 川崎市川崎区駅前本町11-2 川崎フロンティアビル7階

電話:044-200-2168

ファクス:044-200-3800

メールアドレス:25kyodo@city.kawasaki.jp