DX基本ガイド:中小企業のための手引き(2024年3月号)
- 公開日:
- 更新日:
このページは、広報誌「かわさき労働情報」のインターネット版です。
かながわ補助金研究会 中小企業診断士 山口 修平
はじめに
「DX」という言葉、最近よく耳にします。経済産業省が2018年に「DXレポート」を発表して以降、ビジネス界における重要な動きとして注目されています。このレポートは多くの企業がデジタル技術の導入を加速するきっかけとなり、新型コロナウイルス感染症の流行はこのプロセスを一層推し進めました。もはやDXは単なる流行語ではなく、経営戦略の中核的なキーワードになっています。
「DX」という言葉、最近よく耳にします。経済産業省が2018年に「DXレポート」を発表して以降、ビジネス界における重要な動きとして注目されています。このレポートは多くの企業がデジタル技術の導入を加速するきっかけとなり、新型コロナウイルス感染症の流行はこのプロセスを一層推し進めました。もはやDXは単なる流行語ではなく、経営戦略の中核的なキーワードになっています。
しかし、「DXって結局何だろう?」「デジタル化とはどう違うの?」といった疑問をお持ちの方も少なくないでしょう。本稿では、「DX」について基本から分かりやすく解説していきます。DXに対する理解を深め、実際の取組に繋げていきましょう!
1.「DX」とは、端的にいうと
「DX」とは、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略称です。経済産業省の「デジタルガバナンス・コード2.0」によると、以下のように定義されています。
『企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること』
つまり、DXは「デジタル化(D)=データとデジタル技術の活用」を通じて、「トランスフォーメーション(X)=組織やビジネスモデルの変革」を図り、競争上の優位性を築くことです。
ここで重要なのは、DXがゴールであり、デジタル化はその手段である、という点です。
2.DXに向けて、まずは手の届く範囲から始めましょう
DXをどう進めればいいでしょうか?重要なのは、デジタル化のプロセスを段階的に進めることです。ペーパレス化やIT化はDXに不可欠なステップであり、その次に続くのが「DX」です。自社の状態に応じて、できるところからスタートしてみましょう。以下に示すのはDXの3つのステップです。
- デジタイゼーション(≒ペーパレス化)
これまで紙で行ってきた業務をデジタル化するなど、アナログ・物理データのデジタル化 - デジタライゼーション(≒IT化)
業務の一部分を対象とするデジタイゼーションに対し、業務プロセス全体をデジタル化 - デジタルトランスフォーメーション(DX)
新しい価値を生み出すために、製品やサービス、ビジネスモデルはもちろん、組織全体をデジタルの力で変革し、高い競争優位性を確立
3.企業のDXへの取組状況と課題
2023年10月に(独)中小企業基盤整備機構が公開した「中小企業のDX推進に関する調査」によると、日本の中小企業の約70%がDXに取り組んでいないことが明らかになっています。主な理由は「DX・IT関連人材の不足」と「予算確保の困難さ」です。また、「何から始めたらよいか分からない」「具体的な成果が見えにくい」という、進め方や成果が不明瞭なことも理由として挙がっており、DXへの取組の敷居の高さが指摘されています。
これらの背景から、国の支援策に対する期待の声も多く、「補助金・助成金」や「DX推進指針の明確化」が特に求められています。
4.DX推進に向けた国の支援策
経済通産省は、産業界のDX推進に向けて、「デジタルガバナンス・コード」を中心に、産業界のDX推進に向けたさまざまな施策を提供しています。特に、中堅・中小企業に焦点を当てた「デジタルガバナンス・コード実践の手引き」は、DXを推進する上での具体的な方法と成功例を提供しており、DXの推進における不明瞭さを解消する良い出発点になります。
「何から始めてよいかわからない」「具体的な効果や成果が見えない」という課題に直面している場合は、「デジタルガバナンス・コード」から始めてみることをお勧めします。
DXに関連する多彩なサイトがあるのでその一部をご紹介いたします。
「ここからアプリ」 https://ittools.smrj.go.jp/外部リンク | 中小企業や個人事業主が経営課題の達成に役立つITサービスを簡単に検索できるウェブサイト |
「マイビDX(デラックス)」 https://manabi-dx.ipa.go.jp/外部リンク | デジタルに関する知識・能力を身につけることができるポータルサイト(無償の講座も多数あり) |
「みらデジ」 https://www.miradigi.go.jp/外部リンク | 中小企業・小規模事業者・個人事業主等に対し、デジタル化による経営課題の解決をサポートするサイト |
助成金や補助金の支援策を利用し、DXにおける人材や資金の課題解決を図りましょう。詳細については、必ず最新の公募要領等を確認した上で、公的支援機関や中小企業診断士などの専門家にご相談ください。
助成金 | 「人材開発支援助成金」 2023 年に高度デジタル人材訓練の対象講座が拡充されました。 |
補助金 | 「IT 導入補助金」「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」「事業再構 築補助金」「小規模事業者持続化補助金」などを利用できる可能性があります。 |
まとめ
DXの基本、課題、そして活用できる支援策を概観してきました。経済通産省が発表した「半導体・デジタル産業戦略」では、Society5.0の実現に向けた産業全体のデジタル化が国家戦略とされています。また、近年、生成AIが生産性向上やDXの新たなツールとして注目されており、DXは企業存続にとって喫緊の課題となっています。本稿がDXに関する理解を深め、実践への一歩へ繋がることを願っています。
お問い合わせ先
川崎市経済労働局労働雇用部
住所: 〒210-8577 川崎市川崎区宮本町1番地
電話: 044-200-2271
ファクス: 044-200-3598
メールアドレス: 28roudou@city.kawasaki.jp
コンテンツ番号158391