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2.1.2 子どもの権利に関する実態・意識調査

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(2) 参加しにくい子どもへのヒアリング等調査(2002(平成14)年11月)

ア 調査の目的

 このヒアリング等調査は、子どもの権利委員会が,親が外国人の子ども,障がいのある子ども及び児童養護施設等に入所している子どもから聴き取り等により意見を聴くことで、川崎市の子どもの権利に関する実態・意識をより包括的に把握することを目的とした。

イ 調査結果

1 親が外国人の子ども

 ニューカマーとオールドカマーの子どもの権利の実態と参加状況について聴き取り等の調査を行った。ニューカマー5人の子どもについては個別に聴き取り調査を行い、他の子どもについては調査票に記入してもらう方式とした。その調査結果を概観する。

 

質問項目別の傾向
a 学校で学びたいことを学んでいるか
 「学びたいことを学べたと感じている、ほぼ感じている」と答えているのは59.1%であるが、ニュ-カマ-の子どもは77%が、そう感じているのに比べ、オールドカマーの子どもは33.3%に止どまる。
b なんでも話せる人は身近にいるか
 「何でも話せる人がいるか」に関しては、外国人の子どもは36.4%が「いない」と答えている。特に、オールドカマーの子どもでは44.4%が「いない」と答えている。また、「誰」に関しては、ニュ-カマ-の子どもが、「親、友人」であるのに対し、オールドカマーの子どものほとんどが「友人」と答えている。
c 学校忌避の理由
 「学校に行きたくない」理由として、「行事が嫌だ」と答えた子どもがいる。これは、学校の行事が母国と違うこと、自分の居場所が与えられていないため、参加意欲が失われているためと思われる。
d 外国人という理由での差別やいじめ
 「外国人という理由で差別やいじめで困った」子どもは22.7%であった。聞き取り調査では、日本語が分からなかった時には、さまざまないじめがあったと答えた子どもが何人かいた。また、名前が変だとからかわれた子どももいる。
 そうした差別やいじめにあったとき、誰かに相談している子どもが多い。また、解決策としては、嫌な人に近付かない、喧嘩をする、一生懸命日本語を勉強するなどがあげられる。さまざまな方法で、学校での自分の居場所を取り戻そうと努力している子どもの姿が浮かんでくる。
e 生活習慣や宗教・文化の違いで困ったこと
 「日本の生活習慣などで困った」子どもは22.7%。学校生活でのシステムの違い、学校内で食べ物が買えない事、あいまいな言い回しが理解できない事などがあげられた。これらに関しては、問題にぶつかった時に日本語指導等協力者に説明してもらい、理解するよう努力していることが多いようである。
f 日本語を十分に話せないことで困ったこと
 「日本語で困った」子どもは18.2%と低いが、オールドカマーの子どもは別としても、低年齢で来日した子どもは日本語能力が高まり「(今は)ない」と答えている可能性がある。「ある」場合の例としては「授業が分からない、友達とコミュニケーションが取れない、テストで実力が発揮できない」などである。
g 日本語以外の支援
 「日本語以外に助けてほしいこと」では、「自分の国の言葉を先生や生徒が少しでも知ってくれること、困った時に手を差し伸べてほしいこと、授業内容のこと、学習面でのサポート」などがあげられている。
h おとなと話し合う場所への参加意欲
 「大人たちとの話し合いの場への参加」は、「思う、やや思う」と答えた子どもが68.2%であり、特にニュ-カマ-の子どもでは77%と高い。
i 地域への発言の意志
 「地域で発言したい」と答えている子どもは45.5%であるが、オールドカマーの子どもの場合はわずか11.1%である。
j 自国(地域)の文化を発表する機会
 「自分の文化を発表する機会」に関しては、68.2%が「ある」と答えている。学校で「民族文化講師ふれあい事業を実施した時、母国を取り上げてもらい、自分の事を知ってもらえたのが良かった」という子どももいた。しかし、「ない」と答えた子どもも27.3%いた。

 

親が外国人の子どものまとめ
 当初聴き取り調査のみを考えていたが、予想以上に子どもへの聞き取り調査が難しいことや時間等の制約から調査票による調査を併用した。それでも調査の母数が22と少なく、外国人の子どもの実態をそのまま捉えているとは言いがたい。今後調査手法を検討する必要がある。
 また、国際結婚による子どもに関しては、国籍が日本人であるために抽出は不可能であった。現実には、ダブル1の子どもたちのなかで問題を抱えているケースもあり、そうした子どもたちへの配慮も必要であろう。
 日本語の分からない子どもに関しては、日本語指導や学校生活全般の理解を深めるための母国での情報提供、相談などの他、子どもが学ぶための道具としての学習言語習得、学習内容の把握に関しての対応も必要である。例えば、高校進学を迎える中学生にとっては、学習内容が分からないことは、本来の実力に合った学校への進学を断念せざるを得ないということであり、子どもの将来の進路に多大な影響を与える虞がある。
 また、いじめの原因の一つとして、異文化に対する理解不足、思いやりの欠如などが、今回の調査でも明らかであった。
 参加しにくい子ども-外国人の子どもに関して、どうすれば「参加」できるのか、また、「参加」するためにはどういう支援が必要なのかを各分野で十分検討する必要がある。

2 障がいのある子ども

 対象者数及び回答数が少ないので,同じ質問であっても子ども本人と保護者,又は子どもやおとな一般の結果と単純に比較するのは難しいものがあるが,いくつかの特徴的な傾向が見られる。
 ただし,子ども本人と保護者の比較では,障がいの種類による違いがあることも考慮する必要がある。

 

質問項目別の傾向
a 権利条例の認知度
 保護者の「知っている」との回答は73.7%で,子どもでは50%であった。
また,条例に基づいた制度の認知度でも,保護者の「川崎市子ども会議」に対する認知度が85.7%で、子どもにおける「学校教育推進会議」の認知度が66.7%であった。
b 話したいことをなんでも話せる人
 子ども(75%)も保護者(92.3%)も「親」との回答が最も多いが,子どもが第2位にあげている友人(66.7%)が保護者では第5位(7.7%)となっている。
c つらい体験の有無
 「ある」という回答は子どもで71.4%,保護者で41.2%だった。
d 行事への参加
 家庭では「買物」「旅行」への参加が多い。
 学校行事にはほぼ満遍なく参加している。(子どもにおいて音楽会への参加が低いのは,回答者が聴覚障害の子どもであるためと思われる。)
 地域では,子ども,保護者で参加が最も多い「お祭り」であっても半数に達していない。
e 生活していく上で必要な情報
 情報の入手先としては,家族と学校をあげている回答が多く,次にテレビ・ラジオ・新聞といったメディアがあげられている。
 必要とする情報は,子どもも保護者も「学校についての情報」が多い。保護者では「福祉サービスの情報」への希望が高い。
f 地域社会への参加・活動を進めるための生活環境の整備
 子ども・保護者ともに「トイレ」を一番にあげている。「母親と一緒に入れるトイレ。外出時の一番の悩み。」との具体的な意見もあった。

 

障がいのある子どものまとめ
 今回の調査からは,障がいのある子どもがつらい体験をしながらがまんしていること,また家庭や学校に比べると地域での参加が少ないとともに家庭や学校に多くの点で強いつながりをもっているといった現状がうかがえる。
 また,保護者の要望として,自由意見に一番多く寄せられた意見がボランティア等に関するもので,とりわけ子ども期の特徴である成長に合わせた,例えば年齢が近いとかスポーツができるとかといったボランティアをあげている。これは,家庭や学校という場と違う地域や社会への障がいのある子どもの参加に対する支援要請ともいえる。
 障がいのある子どもからの聴き取りによる調査では、学級全員の調査でないこと,保護者への配慮,拘束時間と授業時間や帰宅時間等の学校生活への影響などを考慮して,調査用紙を渡し,郵送による回収方式で実施した。
 しかし、障がいといっても非常に幅広くどのような障がいのある子どもにするのかが問題になった。今回は、自ら調査票に回答できる子どもと、自ら回答できない子どもの保護者に用紙を配布する方法をとった。結果として、回答者の子どもは聴覚障害児が多くなってしまい、他の障がいのある子どもの意見が不十分になってしまった。少数者の子どもの中で更に意見を表明しにくい状況に置かれている子どもの意見表明をどう保障していくのかが今後の課題である。

3 児童養護施設等に入所している子ども

 一般の子ども、おとな、職員を対象とした調査票を児童養護施設及び児童相談所一時保護所で生活している子どもの状況に合致するよう、一部選択肢の文言を修正した調査票で調査を実施した。

 

質問項目別の傾向
a 権利条例の認知度
 「知っている」と答えた割合は55.2%である。
b 権利条例に記載されている権利に対する認識
 2つまで選択をまとめた複数回答の割合は、「安心して生きる権利」58.6%、「ありのままの自分でいられる権利」48.3%、「自分を豊かにし、力づけられる権利」27.6%が上位3つであった。
c 親からたたかれた経験と子どもをたたくことについて
 「よくある」、「ときどきある」をあわせて48.2%であった。「体罰はあってはならない」が37.9%、「自分が悪いのだから少しは体罰を受けてもしかたがない」37.9%と2分されている。
d 学校や施設の先生からたたかれた経験と子どもをたたくことについて
 「まったくない」は58.6%であった。一方、「体罰はあってはならない」とする割合は34.5%であった。
e 安心して相談できるところの有無や安心してくつろげる場所
 生活の場に安心して相談できるところはあるかという問に対して「ある」と答えた割合は24.1%、安心してくつろげる場所はあるかという問いに対して「ある」は、86.2%、であった。
 また、ほっとできる場所については、現在の生活の拠点である「自分の施設」56.0%と6割弱である。他には「公園」や「ゲームセンター・カラオケボックス」、「コンビニ」が挙げられている。
f なんでも話せる人は身近にいるか
 自分が話したいことを何でも話せる人が身近にいますかという問に対しては、「いる」が72.4%、「親」とする割合は33.3%であり、施設票のみ設定した選択肢「児童福祉施設の先生」とする割合が23.8%、「児童相談所の人」4.8%であった。
g つらい体験の有無とその内容
 つらい体験が「ある」とする割合は65.5%、その内容のうち、「友達から」は42.1%である一方、「家族から」52.6%、「施設の先生から」31.6%、「おとなから、体をさわられたり、変なことをさせられたこと」21.1%。また、つらいことがあったとき「誰にも相談できなくて、つらいままだった」とする割合が42.1%であった。
h まわりの人から大切にされていると感じているか
 「あまり感じていない」「感じていない」とあわせると31.0%であった。
i 地域における参加・発言について
 「学校の先生・職員、親、地域の人たち、子どもが一緒になって話し合う場が学校などの生活の中にあれば、あなたは参加してみたいと思いますか」という問に「思う」「やや思う」としたのはあわせて17.2%であった。
 また、「あなたは、地域の環境や活動について自分の意見を言える場があれば、発言してみたいと思いますか」に「思う」「やや思う」としたのはあわせて施設17.2%であった。

 

児童養護施設等に入所している子どものまとめ
 本調査はサンプル数の限界性があるものの、会場で回答に十分な時間をとっての自計式であり、児童養護施設・児童相談所一時保護所で生活する子どもがおかれている環境の一端が浮き彫りになった結果ではないかと思われる。
 施設で生活する子どもたちが置かれている状況は、現在の周りの専門職に問題があるとは限らず、入所前の親を中心とした大人との不幸な関係性が現在のその子どもの心性を形成・規定している要素は多分にあるだろう。しかしだからこそ入所後の適切なかかわりと信頼関係の構築にさらなる努力が必要となり、権利擁護のシステムが重要性を帯びてくるのである。
 身近な応援者として信頼してもらえるか、子どもたちに意見表明と参加の意欲と力をエンパワーできるか、今後の権利擁護の具現化への取り組みが子どもたちから試されていよう。

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