【川崎市 100年後の道路】 「私たちの道路の未来」の学習成果について
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本事業の概要
市制100 周年を契機として、道路行政や今後のまちづくりへの理解の促進を図るため、「課題研究」の授業の一環で川崎市立川崎総合科学高校に協力いただき、川崎市の道路の歴史に触れてもらい、今後の道路の役割など道路の未来について話し合い、川崎市の100 年後の道路像について研究していただきました。
学習成果
本市が抱える道路における行政課題の中で、高校生が道路行政の現状や抱える問題等を学び、100年後の川崎市がより良くなるための提案や考察を行いましたので、ご紹介します。
1.高齢者を取り巻く環境の変化
研究内容
進行する高齢化への対応の1つとして、全ての人がより安全に道路を通行できる環境を整備する必要があると考えました。横断歩道が付近になく、道路を横断するためには、エレベーターが設置されていない歩道橋を利用せざるを得ない道路に着目し、誰もが快適に利用できる歩道橋の姿を考察し、歩道橋の改良案を検討しました。
研究結果
歩道橋の改良案としてエレベーターやオートスロープ(動く歩道)を設置し、主要な駅と駅をつなぐ大きな歩道橋として延伸する案を検討していただきました。これにより自動車等と歩行者が通行する空間を物理的に分けることで安全性が高まると同時に信号待ち時間を短縮でき利便性が向上すると考えました。

歩道橋の現状

歩道橋改良案
2.自転車事故の多発への対応
研究内容
川崎駅周辺で現地調査を行った結果、放置自転車や押し歩きエリアでの乗車等ルールが守られないことが多く見受けられました。また、市内では毎年多くの自転車事故が発生しています。そのため歩行者空間と自転車の通行空間を分ける対策を検討しました。
研究結果
デンマークにあるサイクルスランゲン(自転車専用高架橋)を参考に、川崎市の玄関口である川崎駅周辺エリアにビルとビルを繋げる自転車専用高架橋の導入を検討しました。これにより歩行者、自転車両者の安全性が向上されることに加え、従来の自然を駆け抜けるサイクリングロードと異なりビル街を抜けるサイクリングコースが注目され、新たな観光スポットになるのではないかと考察しました。

川崎駅周辺の様子

成果図面

模型
3.維持管理費増大への対応
研究内容
道路の拡幅工事や新たに幹線道路を整備する際、多大な費用と時間が必要となり、道路を整備するための土地の一部が長い期間工事されないまま、管理されている土地があります。今回の研究では、そのような土地の中でもガードレールで車道と分離された土地をモデルに活用方法を検討しました。
研究結果
モデルとした土地の近隣に小学校があることから、小学校と町内会が連携し野菜を作り、販売するといった取組を検討し、企業訪問を行い野菜作りに関するアドバイスを頂きながらプランターを用いて野菜を育てる手法と太陽光発電や振動発電などにより電気を供給しながら行う水耕栽培の2つの手法を提案していただきました。これにより、小学生に対して、高齢化により人材が不足している農業への関心を持つ機会を与えるとともに、小学校と町内会が連携することで地域の活性化を図るといった効果が生まれると考察していただきました。また、野菜作りに利用する土地を小学校や町内会に美化活動などを行ってもらえれば維持管理の費用を抑えられると考察しました。

活用方法を検討した土地

企業訪問の様子
4.脱炭素への対応
研究内容
世界中で脱炭素への取組が必要とされるなか、道路舗装の大半を占めるアスファルトをより耐用年数が高く低炭素な材料に置き換えることで道路における脱炭素に繋がると考え、アスファルトより対応年数が長いコンクリートに着目し、より低炭素なコンクリートの製作ができないか実験を行いました。
研究結果
コンクリートの主な材料の1つであるセメントは製造時にCO2を排出します。そのため、火力発電所で排出される産業副産物であるフライアッシュにセメントの一部を置換することで従来より低炭素なコンクリートを制作することができます。今回、セメントの一部を置換した供試体を制作し、強度試験を行いました。試験結果としては、通常のコンクリートが最も強度が高い結果となりましたが、フライアッシュコンクリートは流動性が高く、CO2削減だけでなく施工性が高くなるなどの効果があることを確認し、100年後の道路ではアスファルトがコンクリートに置き換わる可能性もあると考えました。

コンクリート供試体制作の様子(1)

コンクリート供試体制作の様子(2)
研究成果の発表
令和7年2月5日に本市職員向けの研究成果の発表会を開催しました。

発表会の様子
お問い合わせ先
川崎市建設緑政局総務部企画課
住所: 〒210-8577 川崎市川崎区宮本町1番地
電話: 044-200-2783
ファクス: 044-200-3973
メールアドレス: 53kikaku@city.kawasaki.jp
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